今週は古馬牝馬のG戦
2月14日と言えば日本ではチョコレートの宣伝に使われていますが、もちろんアメリカにはそんな習慣はありません。競馬の世界ではヴァレンタインの「ヴァ」の字も無く、淡々とG戦が行われるだけ。
それでも今週は古馬牝馬の比較的名前が知られているグレード戦が多いのが特徴で、月曜日のプレジデンツ・デイの休日まで3日間連続でG戦が組まれています。その初日は4つの競馬場で1鞍づつ、順に見ていきましょう。
最初はローレル・パーク競馬場のバーバラ・フリッチー・ハンデキャップ Barbara Fritchie H (GⅡ、3歳上牝、7ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して10頭立て。G戦2連勝中で7ハロンを得意とするサムズ・シスター Sam’s Sister が2対1の1番人気に推されていました。ここまで6戦して5勝のスピード馬。
レースは並んだ2銀人気(5対2)のレディー・サベリア Lady Sabelia が飛び出し、2番手を追走した同じ2番人気のプリンセス・ヴァイオレット Princess Violet に1馬身半差を付けたまま鮮やかな逃げ切り勝ち。6番手から内ラチ沿いに追い込んだ人気薄(60対1)のエクスプレッション Expression が3着に食い込み、サムズ・シスターは5番手から馬3頭分の外を追い上げましたが、最後の伸びを欠いて4着敗退。7戦目で2度目の敗戦を喫しました。
ロビン・グレアム厩舎、ホレーショ・カラマノス騎乗のレディー・サベリアは、これがG戦初挑戦ながらステークスは5勝目、4連勝となるとなる5歳馬。去年は目を故障して4戦しか出来ませんでしたが、3歳から5歳までの3年間、毎年の様にロールで6ハロンから7ハロンまでの一般ステークスに勝っており、得意のコースト距離で通算8勝目を記録しました。目が完治すれば更に上を目指せるでしょう。
続いてガルフストリーム・パーク競馬場からはハリケーン・バーティー・ステークス Hurricane Bertie S (GⅢ、4歳上牝、6.5ハロン)。馬場は fast ながら2頭が取り消して5頭立てと寂しいメンバーになりましたが、短距離のアローワンス戦を2連勝中のモア・ザンナ・パーティー More Than a Party と、前走シュガー・スワール・ステークス(GⅢ)を制したメリー・メドウ Merry Meadow がイーヴンで1番人気を分け合います。
レースもこの2頭が終始主導権を争い、2番手で控えたメリー・メドウが直線で逃げるモア・ザンナ・パーティーを交わすと後は独走、そのままモア・ザンナ・パーティーに9馬身半差を付ける圧勝劇となりました。半馬身差で離れた後方2番手から伸びた最低人気(22対1)のガリアーナ Galiana が3着。
このレースを2002年と2003年にゴールド・ムーヴァー Gold Mover で制しているマーク・ヘニング厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のメリー・メドウは、去年5月にベルモントでヴァグランシー・ハンデ(GⅢ)にも勝ち、休養後の12月しはシュガー・スワールを制してG戦3連勝。レース間隔を空けた方が良いタイプとのことで、次は何処を目指すのでしょうか。
この日三つ目のG戦は、ゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場のエル・カミノ・リアル・ダービー El Camino Real Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。勝馬にはケンタッキー・ダービーへの10ポイントが加算されるトライアルで、タペタ・コースでポイント対象になっているのは、このレースを含めて3レースだけ(あとは去年10月に行われたカナダのグレイ・ステークスGⅢと、3月に予定されているターフウェイ・パークのスパイラル・ステークスGⅢのみ)。10頭が挑戦してきました。11月末にデル・マーでセシル・B・デミール・ステークス(芝GⅢ)に勝って以来となるコンケスト・タイフーン Conquest Typhoon が1番人気。
レースは3番人気(5対1)のインディアノーティー Indianaughty が逃げ、コンケスト・タイフーンは3番手からの競馬。本命馬は早目に仕掛けて一旦は直線入口で先頭に立ちましたが、前半は後方3番手の内に待機した並んだ4番人気(6対1)のメタボス Metaboss が直線では外に出すと一気に前を捉え、インコースを衝いて伸びた同じく4番人気のクロス・ザ・ライン Cross the Line に2馬身半差を付けて快勝。コンケスト・タイフーンは首差の3着に終わりました。
ジェフ・ボンド厩舎、アレックス・ソリス騎乗のメタボスは、1月4日にサンタ・アニタで9ハロンの未勝利戦に勝っての挑戦、これで5戦2勝、2着と3着が夫々1回づつとなります。名前のメタボスは「メタボ」の複数形ではなく、父ストリート・ボス Street Boss から来たもので、決して太目残りの大型馬ではありません。
土曜日最後はサンタ・アニタ競馬場のサンタ・マリア・ステークス Santa Maria S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)。fast の馬場に2頭が取り消して8頭立て。9対5で前走ラ・キャニャーダ・ステークス(GⅡ)に勝ったザガールインザットソング Thegirlinthatsong と、やはり前走同じコース、同じ距離の一般ステークス(パシアーナ・ステークス)を制したウォーレンズ・ヴェニーダ Warren’s Veneda が並んでいましたが、僅かの差でザガールインザットソングが1番人気。
レースは5番人気(8対1)のスイート・マリーニ Sweet Marini と同じ勝負服の4番人気(7対1)のオウサム・ベイビー Awesome Baby が雁行する形でハナを争う展開。ザガールインザットソングは後方3番手、一方ウォーレンズ・ヴェニーダは最後方からの待機策。競り勝ったスイート・マニーニが先頭で直線に入りましたが、3番手から進出した最低人気(50対1)のユジール Uzziel が外からこれを捉えて先ず先頭。しかし更に外を回ったウォーレンズ・ヴェニーダが鋭く伸び、ユジールに2馬身4分の3差を付けての快勝。内から伸びたザガールインザットソングは1馬身差の3着でした。
クレイグ・アンソニー・ルイス厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のウォーレンズ・ヴェニーダは、一昨年ハリウッド・パーク時代のバヤコア・ステークス(GⅡ)で3着、去年の12月6日はロス・アラミトスに移ったバヤコアでも2着していたものの、G戦は初勝利となる5歳馬。前走1月11日のパシアーナ・ステークスで9連敗に終止符を打ち、これでステークス2連勝、なお成長を続けていることを証明しました。
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