読売日響・第546回定期演奏会

読響のシーズンは親会社(多分?)の会計年度に合わせて4月スタートなので、昨日のサントリーホールで行われた3月定期はシーズン最終回ということになります。先週行われた名曲シリーズも指揮したコルステンの指揮。
実はこのプログラム、2011年の3月に予定されていた指揮者・プログラムと全く同一のものですが、4年前はあの震災により開催が中止になった経緯があります。本来はコルステン夫人でもあるエヴァ・メイの歌うモーツァルトを含むプロでしたが、メイが他の公演に出演することになり止むを得ず変更されたもの。

ということで、オーケストラと指揮者にとっては復活公演でもありました。しかしながら今回も当初予定されていたコンマス(ダニエル・ゲーデ)が来日できず、長原幸太に変更。何かと因縁が付き纏うコンサートでもあります。

モーツァルト/歌劇「劇場支配人」序曲
モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」
~休憩~
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
指揮/ジェラール・コルステン
コンサートマスター/長原幸太
フォアシュピーラー/伝田正秀

さてコルステンのモーツァルト、私はサントリー名曲も聴いていたので、その特徴はその会のレポートにも書きました。定期のジュピターに加え、ハフナーとプラハ、モーツァルト六大交響曲の半分を聴いたことになります。
今流行のピリオド系奏法を取り入れた演奏で、正直私の好みではありません。第1主題を構成する二つの性格(フォルテとピアノの交替)を強調したいのでしょうか、フレーズの間に僅かな隙間が入るのも気になります。これがモーツァルト特有の爽やかな音楽の流れを阻害してしまう。
譜面には指定の無い慌ただしいクレッシェンドが頻繁に出てくるのもこの指揮者の癖で、少なくとも私は聴いていて落ち着かない。指揮棒を下に下げ、川底で魚を追い立てるようにして脚をバタバタさせて靴音を響かせるのも、その印象を増幅します。3曲(交響曲)に共通しているのは繰り返しの対処で、どの楽章も前半の繰り返しは実行し、後半は省略する。

それでも私は極力耳を集中させて聴いていましたが、会場の彼方此方でチラシを落とす音が・・・。良く見ると私の周りは首をうなだれて寝込んでいる様子。隣も前も後も。
退屈な演奏、と言っては奏者に失礼になりますから言わないことにして(言ってるじゃないか!)、要するに心地良く、いつの間にか睡魔と友達になってしまう様な気持ち良さだったのでしょう。
これって大事なことで、物凄い名演か余りにも酷い演奏は寝ていられないけれど、それ以外は自然と眠くなるものなんです。これは私の意見ではなく、その昔のラジオで故岩城宏之氏が語っていた感想ですからお間違いなく。

後半のシュトラウス、こちらは流石に眠くはならなかったようで、定期会員の諸氏も大いに大音量を楽しんだ様子。指揮者の優れた解釈、というより名手揃いの読響の豪快なアンサンブルに助けられた印象。
指揮者がソリストたちを立たせると、その都度ブラヴォ~が掛かっていました。しかし何故か指揮者に対しては声は掛からず。それはチト邪見じゃないかと思いましたが、いつもの定期に比べると大人しい客席という感想です。

ところでこの日は気温も上がり、月曜日に開花した東京の桜も本格的に開き始めました。いつもとは違う出口を出てホールを囲むアーク・ヒルズを見て回ります。コンサート帰りの人はもちろん、酔客を含む新入社員と思しき一団も皆スマホや携帯で、しっかり一眼レフを構える外国人観光客も交えて桜の撮影会状態。
今や東京の桜名所の一つとなったアークヒルズ、ライトアップの効果もあって桜ファンは音楽以上の楽しみだったのかも。この土日で一気に満開まで突き進む勢い、コンサートの後は(もちろん前も)桜見物がお薦めです。
で、週末のサントリーは何があるのかな。 えっ、ロス・フィルと辻井君のリサイタル? 私には関係ないや、残念!

 

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