地元勢が強かった仏ギニー

既に枠順を紹介していたように、昨日の日曜日、ロンシャン競馬場で仏2000ギニーと仏1000ギニーが同時に行われました。この日は他にもG戦が2鞍行われていますが、先ずは気になるクラシック・レースから先にレポートして行きましょう。
昨日の馬場状態は good to soft 、高速馬場を得意にする馬には不利な条件だったようです。

最初に行われたのがプール・デッセ・デ・プーラーン Poule d’Essais des Poulains (GⅠ、3歳牡、1600メートル)。所謂仏2000ギニーです。枠順通り18頭が参戦し、結局27対10の1番人気に支持されたのは、アイルランドからオブライエン厩舎が送りこんだ2頭の中、今期初戦にも拘わらずライアン・ムーアが騎乗したハイランド・リール Highland Reel でした。やはり英国の結果が影響したのでしょう。絶好の7番枠も人気の要因。
続いてはジェベル賞2着のメイク・ビリーヴ Make Believe が6対1の2番人気、1勝馬ながらディープインパクト産駒のテイル・オブ・ライフ Tale of Life が何故か15対2の3番人気に上がっています。日本から大量の馬券購入があったのでしょうか? まさか!

レースは最初からペースを支配する積りだったメイク・ビリーヴが逃げ、ハイランド・リールもこれをマークして追走。しかし逃げ馬のスピードは卓越していて、結局は鮮やかに逃げ切ってしまいました。後続集団の中から16番枠の不利を克服して9番人気(213対10)のニュー・ベイ New Bay が追い上げ、最後の50ヤードで2番手に上がりましたが、勝馬は3馬身前を行っていました。先行から一旦は2番手に上がった5番人気(114対10)のミスター・オーウェン Mr Owen が1馬身半差で3着。
以下4番人気(44対5)のカラー Karar が4着、下から3番目人気(50対1)のサー・アンドリュー Sir Andrew が5着の順。ハイランド・リールも前を何時でも捉えられる位置に付けていましたが、休養明けもあってか伸び脚を欠いて6着に終わり、ディープ産駒テイル・オブ・ライフは13着の大敗です。

終わって見れば圧勝のメイク・ビリーヴ、枠順さえ良ければもう少し善戦出来たかも知れないニュー・ベイは、共にアンドレ・ファーブル師の管理馬で、これが仏2000ギニー6勝目となるファーブル師のワン・ツー・フィニッシュ。騎乗したオリヴィエ・ペリエは、このクラシック2勝目です。
既に紹介したように、勝馬は2歳時2戦2勝。ドーヴィルの新馬戦とサン=クルーの条件戦を連勝し、今期初戦のジェベル賞(GⅢ)でライド・ライク・ザ・ウインド Ride Like The Wind とは頭差の2着でした。仏ダービーにも登録があり2冠の可能性もありますが、陣営は同馬のスピードが卓越していることもあり、目標はむしろロイヤル・アスコットのセント・ジェームズ・パレス・ステークスに置いているようです。

続いては仏1000ギニーに相当するプール・デッセ・デ・プーリッシュ Poule d’Essais des Pouliches (GⅠ、3歳牝、1600メートル)。こちらも登録通り14頭が出走し、前評判通りトライアル勝ちのエルヴェディヤ Ervedya が13対10の1番人気。オッズから見ても牡馬版よりは信頼度の高そうな本命です。
やはりトライアルのグロット賞を制したメキシカン・ゴールド Mexican Gold が43対10の2番人気で続き、G戦初挑戦ながら今期2連勝と上がり馬のセント・アマランテ Sainte Amarante が11対2の3番人気でした。

レースは4番人気(13対1)で吉田勝巳氏がイタリアから購入したフォンテーヌリス Fontanelice が逃げましたが、先行していた英国遠征の伏兵(63対1、11番人気)アイリッシュ・ルーキー Irish Rookie が一気に先頭を奪い、先頭で直線。そのままリードを広げて安全圏化と思われた時、自信満々で後方に待機していた本命エルヴェディアの末脚が爆発、アイリッシュ・ルーキーに4分の3差を付けて人気を証明しました。首差で外からメキシカン・ゴールドが3着に追い込んでほぼ人気通り。
以下逃げたフォンテーヌリスが4着、最低人気(107対1)のカタール・ダンス Qatar Dance が5着に食い込んで、これはサプライズ。

ジャン=クロード・ルジェ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗のエルヴェディヤは、ローカルのタルブ競馬場でデビュー勝ちした馬で、メゾン=ラフィットの条件戦、ドーヴィルのカブール賞(GⅢ)と3連勝し、モルニー賞3着、マルセル・ブーサック賞も2着とGⅠでも着実に入着。今期初戦のアンプルーダンス賞(GⅢ)でもアメーナー Ameenah (ギニーは6着)以下を破ってクラシック本命の座を確実なものにして来ました。G戦は3勝目。
ルジェ師は彼女をマイラーと明言し、仏オークスではなくロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークスを目指すことになるでしょう。ルジェ師にとって仏1000ギニーは去年のアヴニール・セルタン Avenir Certain 、2009年のエルーシヴ・ウェイヴ Elusive Wave に続き3勝目。スミオン騎手は2003年ミュージカル・タイムス Musical Times 、2007年ダージナ Darjina 、2008年ザルカヴァ Zarkava 、2012年ビューティー・パーラー Beauty Parlour と5勝目。不思議なことにルジェ/スミオンのコンビでは初めての仏1000ギニーとなりました。
仏1000ギニーで話題になりそうなのが、2着に大健闘したアイリッシュ・ルーキー。英国のマーチン・ミード厩舎、ファーガス・スウィーニー騎乗という普段は余り目立たない小厩舎ですが、先週の英1000ギニーにも出走していて6着に入っていました。クラシックの連闘も驚きですが、共に好走は見事。彼女を物差しにして英仏3歳牝馬の能力比較も可能でしょう。

仏ギニー回顧の後は前後に行われたG戦から。先ずクラシック・レースの前に行われたオカール賞 Prix Hocquart (GⅡ、3歳牡牝、2200メートル)は言うまでもなくダビ―・トライアル(英仏共)で、相変わらず小頭数の5頭立て。注目されていたエピキュリス Epicuris は結局参戦できず、デビュー戦に勝ったばかりのアンペール Ampere がイーヴンの1番人気。
3番人気(31対10)のカンダル Canndal が逃げましたが、最後は4番手で待機したアンペールと3番手に付けた2番人気(11対5)でオブライエン/ムーア・チームのケープ・クリアー・アイランド Cape Clear Island の叩き合いに。先に抜けたケープ・クリア・アイランドをアンペールが1馬身差競り勝っての優勝です。2馬身半差でカンダルが3着、オブライエン厩舎のもう1頭で2番手を進んだ4番人気(68対10)ロイヤル・ネイヴァー・シップ Royal Navy Ship は4着でした。

またもアンドレ・ファーブル厩舎、こちらはミケール・バルザロナが騎乗したアンペールは、4月に新馬勝ち(オルフェーヴル賞!)したばかりで2戦2勝。当然ながら無敗で仏ダービー挑戦を宣言しました。バルザロナは去年夏まではニューマーケットを本拠にしていましたが、ゴドルフィンのフランス・チームの主戦騎手に選ばれて渡仏。2011年にプール・モア Pour Moi で英ダービーを制覇した古巣で、今度は仏ダービーを狙うことになりそうです。
2頭を出走させたオブライエン師は、結果に満足。2頭のレース内容から、ケイプ・クリア・アイランドは10ハロンに、ロイヤル・ネイヴィー・シップは1マイル戦で使って行く、とのコメントを出しています。

ロンシャンの最後はクラシックの後で行われたサン=ジョルジュ賞 Prix Saint-Georges (GⅢ、3歳上、1000メートル)。12頭が出走し、前年の勝馬で、前走フォンテンブロー競馬場のリステッド戦を勝ったキャットコール Catcall が21対10の1番人気。
3頭ほどが一団となって逃げ、その中から外目を先行していた3番人気(73対10)のメッカズ・エンジェル Mecca’s Angel が抜け、同じく先行した2番人気(53対10)ロベール・ル・ディアーブル Robert Le Diable に2馬身差を付けて快勝。4分の3馬身差で5番人気(8対1)のホット・ストリーク Hot Streak が3着に入り、キャットコールは後方から追い上げたものの5着まで。

勝ったメッカズ・エンジェルは、英国のマイケル・ダッズ厩舎、ポール・マルレナン騎乗の4歳馬。3歳シーズンの終戦にニューバリー競馬場でワールド・トロフィー(GⅢ)をG戦初挑戦で制していました。今期はこれが初戦で、アスコットのキングズ・スタンド・ステークスに14対1のオッズが出されましたが、良馬場は苦手の同馬、馬場が固ければ出走しないと明言しています。実際、先月ニューマーケットのパレス・ハウス・ステークスも重馬場が望めなかったことから取り消したほどでした。

 

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