いざ! ダービー

ヨーク競馬場の5月開催、二日目のG戦も2鞍ですが、何と言っても注目は最も信頼のおけるダービー・トライアルとなるダンテ・ステークス。しかしその前に・・・。

この日最初のG戦はミドルトン・ステークス Middleton S (GⅡ、4歳上牝、1マイル2ハロン88ヤード)。馬場は good to soft 、所により good と相変わらず力の要る馬場で、1頭が取り消して8頭立て。
10対3の1番人気に支持されたシスル・バード Thistle Bird は、去年秋のロンシャンでオペラ賞(GⅠ)3着の実績。 そのときの勝馬ダルカラ Dalkala が去年のこのレース勝馬と言うこともあって、これが今期初戦ながら1番手に支持されていました。

あまり差の無い2番人気(9対2)には3頭が並ぶ混戦の中、その一角でゲートインを嫌っていたアンビヴァレント Ambivalent が先頭に立ってペースを作ります。シスル・バードをこれをマークしながら先行しましたが、ズルズル後退して6着敗退。替って去年のオークス2着馬で同じ9対2のシークレット・ジェスチャー Secret Gesture が逃げ馬に並び掛けましたが、アンビヴァレントも譲らず、結局1馬身4分の3差での逃げ切り勝ち。更に1馬身差でオデリズ Odeliz が3着に入りました。
ロジャー・ヴァリアン厩舎、アンドレア・アズテニ騎乗のアンビヴァレントは、去年のミドルトン2着馬。このあとアイルランドに遠征してGⅠのプリティー・ポリー・ステークスを制していました。トルコ遠征でも2着し、今期も既にドバイでシーマ・クラシックで3着。この秋は再び海外遠征でGⅠを狙う計画のようです。
それにしてもドバイのシーマ・クラシック、2着だったシリュス・デ・ゼーグル Cirrus des Aigles は先のガネー賞で凱旋門賞馬トレーヴ Treve を破って優勝しましたから、勝ったジェンティルドンナの実力が如何に優れているかが判ろうというもの。改めてドバイのレヴェルが見直される結果となりました。

そして愈々ダンテ・ステークス Dante S (GⅡ、3歳、1マイル2ハロン88ヤード)。ミドルトンと同じ距離のダービー・トライアルです。本番に向けた最後の大きなトライアルでもありますね。6頭立て。

レース前はダービーの2番人気に上がっていたゴドルフィンのトゥルー・ストーリー True Story が8対13で1番人気。2歳時2戦目で初勝利を挙げ(初戦は2着)、今期初戦のリステッド戦(フィールデン・ステークス)を2着に7馬身差を付けて圧勝して有力なダービー候補に上がってきた馬です。

伏兵オデオン Odeon が後続を6馬身引き離して思い切った逃げ、2番人気(9対2)バンカー Bunker が2番手に付け、4番人気(9対1)のザ・グレイ・ギャッツビー The Grey Gatsby が3番手。トゥルー・ストーリーはそのあと、4番手で機を窺います。
直線、バテたオデオンに替って前3頭の争いになりましたが、先に抜け出したザ・グレイ・ギャッツビーが急に右に寄れてスタンド側に向かって進路を変えます。この結果、追い上げに掛かっていたトゥルー・ストーリーは前をカットされる不利。最後はザ・グレート・ギャッビーが、最後方から伸びた3番人気(8対1)アロッド Arod に4分の3馬身差を付けて先頭でゴール。更に4分の3馬身でトゥルー・ストーリーは3番手での入線となりました。
当然ながら審議となりましたが、ザ・グレイ・ギャッツビーの斜行が無くても結果には影響しなかったという判断が下され、入線通りで確定。しかし勝馬に騎乗していたライアン・ムーア騎手には不注意騎乗の廉で2日間(5月29日と30日)の騎乗停止処分が課せられました。

ケヴィン・ライアン厩舎のザ・グレイ・ギャッツビーは、前走2000ギニーで10着に敗れていた馬。その前のクレイヴァン・ステークスでは2着でした。この馬にはダービーの登録が無く、陣営も追加登録料を支払う意思もない様子。そもそも1マイル半は長過ぎると見做しており、仏ダービーに向かう予定です。ムーア騎手は“早く先頭に立ち過ぎた”ことに加え、距離がこの馬には長いことも斜行の原因に挙げていました。
一方2・3着馬は予定通りエプサムに向かいますが、このトライアルはやや失望でした。馬場が良化し、距離も更に伸びることに期待を抱くということになりましょう。両馬共に結果を反映してオッズは16対1に変わりました。

以上で主なダービー・トライアルはほぼ終了。この結果を受けて2000ギニー3着馬でエイダン・オブライエン厩舎のオーストラリア Australia が1番人気に推されています。オッズは様々ですが、10対11が最も高い(配当の少ない)オッズでしょうか。
ギニーではオーストリアに6馬身離されたザ・グレイ・ギャッビーがダンテに勝ったことから、改めて2000ギニーの評価が高くなっているようです。
さて本番は如何に。

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