トレーヴ、圧巻の始動

5月29日、サン=クルー競馬場で注目のコリダ賞 Prix Corrida (GⅡ、4歳上牝、2100メートル)が行われました。去年より1週間ほど遅れての開催です。何が注目かと言えば、凱旋門賞3連覇を目指す女傑トレーヴ Treve が今期初戦を迎えるからです。
good の馬場に1頭が取り消して8頭立て。去年トレーヴはシーズン初戦のガネー賞(GⅠ)で2着に終わり、生涯初黒星を喫しました。その後プリンス・オブ・ウェールズ(GⅠ)でも3着、前年制したヴェルメイユ賞(GⅠ)でも4着と徐々に着順を落し、トレーヴはもう終わったか、と思わせたもの。しかしご存知の様に凱旋門賞では大復活し、クリティック・ヘッド=マーレク女師の信念の強さをも証明したのでしたね。

一旦は引退が報じられたトレーヴですが、陣営は前代未聞の凱旋門賞3連覇にチャレンジすると表明、5歳の彼女の動向が注目されていたのでした。そして選んだのが昨日のコリダ賞。これまでと違ってGⅡ戦からデビューというのには不安もありました。そう、1年以内にGⅠに勝っている4ポンドのペナルティーですね。それに加えて休養明けの不安、去年はシーズン初戦で敗退した事実もありました。
それにも拘わらず、トレーヴは7対10の圧倒的1番人気、ヘッド姉御が出してくる以上は自身があってのことと言う評価でしょう。ペナルティーについても、彼女の他に2頭がGⅠ馬。オペラ賞を制したウィー・アー We Are が9対2の2番人気で続き、去年のドイツ・オークス馬フェオドラ Feodora (144対10、6番人気)を加えた3頭が同じ斤量での出走。

トレーヴ陣営はペースメーカーも用意して準備は充分、最低人気(67対1)のシルヴァプラーナ Silvaplana がレースを引っ張って強いペースを作ります。トレーヴは中団、例によって内の6番手に待機し、コンビを組むティエリー・ジャルネ騎手は直線に入ると外に出し、残り1ハロンからスパート。そこからが凄かった! 記者の表現では「瞬きする間に4馬身」、同じく中団から伸びたGⅠ馬ウィー・アーを4馬身切って捨てる圧巻のシーズン・デビューです。
短頭差で3番人気(6対1)、前走アレ・フランス賞(GⅢ)に勝っているメイヘム Mayhem が3着、独オークス馬フェオドラも1馬身差で4着と続き、去年のコリダ賞の勝馬シルジャンズ・サガ Siljan’s Saga は5着に終わりました。

これ以上ないような理想的な形でシーズン初戦を快勝したトレーヴ、それでもヘッド女師は“今日は80%の出来、次のサン=クルー大賞典には100%で臨めるは。”と満足げ。記者が凱旋門賞について尋ねると、“凱旋門?・・・そうねえ、200%かしら”との答え。
レース前の時点でも4対1と凱旋門賞本命に上がっているトレーヴ、この勝利でオッズは更に7対2、ブックメーカーによっては3対1を出すところも出てきました。単に凱旋門賞だけでなく、今年トレーヴが無敗のままシーズンを終えるか、についての賭けもあるようですね。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください