ロイヤル・アスコットへ、夫々の道
5月も残り少なくなり、来月第3週のロイヤル・アスコットが近付いてきました。この時期になると、各陣営共、どの持ち駒でどのレースに向かうか頭を悩ませます。昨日はそうした馬たちにとっても絶好のトライアルとなるG戦2鞍がサンダウン競馬場で行われました。
good to firm の馬場、先ずはゴールド・カップを目指す馬たちが揃うヘンリーⅡ世ステークス Henry Ⅱ S (GⅢ、4歳上、2マイル78ヤード)。去年カドラン賞を制したハイ・ジンクス High Jinx はGⅠ勝ちのペナルティーと馬場の固さを嫌って結局取り消し、7頭立て。前走アスコットのサガロ・ステークス(GⅢ)で人気薄ながらミッズー Mizzou の2着したヴァン・ド・フォース Vent De Force が6対4の1番人気。ここを使う予定だったミッズーは回避し、アスコットに直行する模様です。
そのヴァン・ド・フォース、今回は作戦を変更したようで、スタートから先手を取る逃げ作戦。直線、先ずは2番人気(11対4)のフォレヴァー・ナウ Forever Now が、続いては4番人気(7対1)のシメノン Simenon が本命馬に挑みましたが果たせず、5番手を進んでいた3番人気(4対1)のトリップ・トゥー・パリ Trip to Paris が逃げ馬に迫りましたが1馬身4分の3差まで。新戦術が奏功しての逃げ切り勝ちです。半馬身差で最低人気(40対1)のオッシ―・レインズ Aussie Reigns が3着。
勝ったヴァン・ド・フォースはハギー・モリソン師が大いに期待を掛けている4歳馬。リチャード・ヒューズ騎手の好判断もあり、これがG戦初勝利となります。去年夏まではハンデ・クラスでしたが、フランスでジャン・ド・ショドネー賞(GⅡ)で2着してからはG戦の常連、ゴールド・カップのオッズはレース前の16対1から10対1に上がりました。更に4ハロン伸びるゴールド・カップ、スタミナが保つかはやって見なければ判りませんが、モリソン師の期待は更に高まってきたようです。
また2着に食い込んだトリップ・トゥー・パリ、ゴールド・カップには登録がありませんが、パターン・レース初挑戦での2着、陣営は追加登録すべきか思案のし所でしょう。
サンダウンのもう一鞍は、中距離のブリガディア・ジェラード・ステークス Bridadier Gerard S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。こちらも1頭が取り消して5頭立てとなり、このレースに最近9年間で3勝しているサー・マイケル・スタウト厩舎のアラブ・スプリング Arab Spring が9対4の1番人気。前走ジョン・ポーター・ステークス(GⅢ)に勝ったペナルティーもありますが、ライアン・ムーア騎乗でG戦2連勝を目指します。
そのアラブ・スプリングも積極的な逃げ作戦。そのまま逃げ切るかに見えましたが、4番手を追走していた2番人気(11対2)ウエスタン・ヒム Western Hymn の末脚が良く、最後は2頭による首の上げ下げ。結局接戦を制したのはウエスタン・ヒムで、頭差アラブ・スプリングに競り勝ちました。半馬身差で3番手を進んだ最低人気(25対1)のナイスオブユートゥーテルミー Niceofyoutotellme が3着。この日は最低人気馬の躍進が目立っています。
2頭出しで臨んだジョン・ゴスデン厩舎、ジェームス・ドイル騎乗のウエスタン・ヒムは、去年ここサンダウンでクラシック・トライアル(GⅢ)に勝ち、挑んだダービーは6着でした。その後フランス遠征でユージェーヌ・アダム賞(GⅡ)を制し、今期も前走ゴードン・リチャーズ・ステークス(GⅢ)に勝ってG戦は4勝目。但しペナルティーの対象は1年以内ですから、アラブ・スプリングと同じGⅢ勝ちの3ポンドで済んでいたわけ。ロイヤル・アスコットではプリンス・オブ・ウェールズ・ステークスに向かうことになるでしょう。
一方ゴスデン厩舎でデットーリが騎乗して4着だったイーグル・トップ Eagle Top も、3着馬とは1馬身4分の3差で、こちらはシーズン初戦でもあり内容は満足の行くもの。アスコットではハードウィック・ステークスを目標にするとのことでした。
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