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昨日のカラー競馬場、春(と言っても既に夏競馬ですが)のクラシック最後となるアイルランド・オークスが行われました。やや意外な結果でしたが、それでもフロックという内容ではありません。
クラシックのレポートに入る前に、この日行われたG戦をレース順に取り上げていきましょう。馬場は雨の影響で goot to yielding の状態でしたが、後半は急速に回復していたようです。

先ずは2歳戦のアングルジー・ステークス Anglesey S (GⅢ、2歳、6ハロン63ヤード)。エイダン・オブライエン厩舎が2連勝中のレースですが、今年は5頭立て。オブライエン厩舎の1頭は漸く未勝利を脱したばかりで、人気も最低人気と今回はチャンスは無なさそうです。前走新馬勝ちしたばかりの2頭が人気となり、ファイナル・フロンティア Final Frontier が5対6の1番人気。
3番人気(6対1)のローグズ・ギャラリー Rogues’ Gallery が逃げましたが、最後方に控えたファイナル・フロンティアが外に持ち出し、残り1ハロンで先頭。しかし3番手を進みながら内で包まれる不利のあった4番人気(10対1)の牝馬ミス・ケイティー・メイ Miss Katie Mae が最後で猛烈に追い込み、際どい勝負。写真判定の結果ファイナル・フロンティアが首差で先着し、同時に2着入線馬の進路が狭くなったことに対しての審議も行われましたが、入線通りで確定しました。2馬身4分の3差で2番人気(5対2)の牝馬クイーン・オブ・シシリー Queen of Sicily が3着。

ジェシカ・ハリントン夫人が管理し、シェーン・フォレーが騎乗したファイナル・フロンティアは、6月27日にカラーの6ハロン戦でデビュー勝ち、これで2戦2勝。4頭立てのデビュー戦は1番人気、2着に4馬身半差を付ける楽勝でしたが、今回は先頭に立つのが速過ぎたために最後で詰められたとの弁。次走はナショナル・ステークスになるでしょう。

続いてはサファイア・ステークス Sapphire S (GⅡ、3歳上、5ハロン)。去年まではGⅢでしたが、今年からGⅡに格上げされました。去年は愛ダービー当日の開催で、今年は2週間ほど遅れての施行。見直しが進むヨーロッパ短距離路線の一つと言うことでしょう。
7頭が出走し、昨シーズン終戦から今期初戦とG戦を2連勝しているメッカズ・エンジェル Mecca’s Angel が8対11の1番人気。

逃げたのはジョイント3番人気(6対1)の6歳馬ステッパー・ポイント Stepper Point で、メッカズ・エンジェルは2番手。一旦は逃げ馬に並び掛けた本命馬でしたが、ステッパー・ポイントが二の脚を活かして振り切り、最後は首差でメッカズ・エンジェルに逆転勝ちです。4分の3馬身差で4番手を追走していたジョイント3番人気のムーヴィエスタ Moviesta が3着。
ウイリアム・ミュイール厩舎、パット・スマーレン騎乗のステッパー・ポイントは、去年9月のフライング・ファイヴ(GⅢ)以来の勝鞍。昨シーズンはアベイ・ド・ロンシャン賞9着で終え、今期はドバイ(アル・クォーツ)9着を皮切りにパレス・ハウス(GⅢ)4着、グロ・シェーヌ賞(GⅡ)7着、キングズ・スタンド(GⅠ)16着(18頭立て)、前走サンダウンのザ・スプリント(GⅢ)4着と短距離G戦を続けて走ってきた6歳馬。回復した馬場を味方に付けての勝利でした。

そして最後にアイリッシュ・オークス Irish Oaks (GⅠ、3歳牝、1マイル4ハロン)。枠順は既に紹介しましたが、馬場を理由に英オークス馬クオリファイ Qualify が取り消してしまったため9頭立て。やはり今期4戦無敗のカーヴィー Curvy が15対8の1番人気に支持されていました。ミュンスター・オークスに勝って2戦2勝のワーズ Words が7対2の2番人気、何れも地元アイルランド調教馬が優位と言う評価です。
レースはオブライエン厩舎のジョイント4番人気(7対1)トゥギャザー・フォーエヴァー Toghether Forever (ヘファーナン騎乗)が後続を引き離して思い切った逃げ。そのまま直線に入りましたが、これを2番手で追走していたジョイント4番人気のカヴァート・ラヴ Covert Love が残り1ハロンで逃げ馬を捉えると、5番手から追い上げた3番人気(11対2)のジャック・ネイラー Jack Naylor を1馬身4分の3差抑えての優勝。人気のカーヴィーは4番手を進みましたが、末脚は今一つで2着馬とは頭差の3着に終わっています。逃げたトゥギャザー・フォーエヴァーが4着に粘り、6番人気(12対1)のスピーディー・ボーディング Speedy Boarding が5着。後方に待機したワーズ(ジョセフ・オブライエン騎乗)は伸びを欠いてブービーの8着でした。

これがG戦初勝利となるカヴァート・ラヴは、英国のヒューゴー・パーマー厩舎。英国調教馬の愛オークス優勝は、最近7年間で5勝目となります(他の2頭はオブライエン厩舎と、フランスのロワイアー=デュプレ厩舎)。尤もその前はエイダン・オブライエン師が3連覇していたクラシックでもあります。パーマー師はクラシック・レースそのものが初制覇。
また騎乗したパット・スマーレンは、この日ハットトリックを達成し、サファイア・ステークスと合わせてG戦ダブル。スマーレンにとって愛オークスは初制覇ですが、アイルランドのクラシックは8勝目となります。
勝馬のオーナーはフォーモ・シンジケートという組織で、愛オークスには追加登録料4万ユーロを支払っての参戦、あくまでも入着狙いだったというのが正直な所でしょう。2歳のデビュー戦はリングフィールドでの5着、3歳になってからチェスターの未勝利戦、ヨークのハンデ戦、ニューキャッスルの牝馬限定リステッド戦と3連勝し、遂にGⅠ馬にまで登り詰めました。これまでの5戦、全て騎乗したジョッキーが異なるというのも異例なクラシック馬と言えそうです。

スタミナと成長力で愛オークス馬となったカヴァート・ラブ、その血統プロフィールは後日詳しく紹介しますが、この後はヨークシャー・オークスに向かうのが順当でしょう。その結果によってはセントレジャー挑戦の可能性もあり、レジャーには8対1のオッズが出されました。

 

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