ネルソンス、最後の第9

一日ずれてしまいましたが、今日は先週日曜日のプロムスを聴きました。

7月19日 ≪Prom 4≫
ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
ジョン・ウールリッチ John Woolrich/Falling Down (ロンドン初演)
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第9番
 バーミンガム市交響楽団
 指揮/アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons
 コントラバスーン/マーガレット・クックホーン Margaret Cookhorn
 ソプラノ/ルーシー・クロウ Lucy Crowe
 メゾ・ソプラノ/ゲルヒルド・ロンベルガー Gerhild Romberger
 テノール/パーヴェル・チェルノック Pavel Cernoch
 バス・バリトン/コスタス・スモリジナス Kosata Smoriginas
 合唱/CBSO合唱団

アンドリス・ネルソンスは2008年からバーミンガム市交響楽団の音楽監督を務めてきましたが、今回のプロムスがシェフとしての最後のコンサートになるそうです。そこで、メインはベートーヴェンの第9が選ばれました。
最初の序曲を含め、ネルソンスのカッチリした音楽作りが楽しめます。作品について特に記すことも無いでしょう。言及されていませんが、恐らくベーレンライター版を基本とした演奏で、スコアに手を入れるようなことの無い原典主義。
なお、テノールは当初発表のドミトロ・ポポフ Dmytro Popov からチェルノックに交替しました。

ということで何か触れるとすれば、間に挟まれたウールリッチ作品でしょう。ウールリッチは1954年生まれの英国の作曲家で、オールドバラ音楽祭のディレクターを務めたこともある重鎮。日本ではほとんど知られていませんが、数多くの作品が出版されています。
今回がロンドン初演となる「フォーリング・ダウン」は、転落とか墜落の意味で、実質はコントラバスーン協奏曲です。バーミンガム市交響楽団が委嘱し、今回もソロを務める同オケの奏者マーガレット・クックホーンが2009年に初演、作品も彼女に捧げられています。

演奏時間は15分ほど、単一楽章の作品で、出版はフェイバー・ミュージックです。タイトルは「協奏曲」とは書かれず、カプリッチョとなっているのも作品の特質でしょうか。墜落を意味するように、冒頭は最高音から最低音まで一気に急降下、その最後にコントラバスーンの超低音からソロが開始されるという具合。
フェイバーのホームページには何と「スコア・ライブラリー」というタグがあって、そこをクリックするとスコアを全曲閲覧できるサービスがあります。ウールリッチ作品も数多く見ることが出来ますが、嬉しいことにこの作品も全曲スコアが掲載中。

http://scorelibrary.fabermusic.com/Falling-Down-23593.aspx

要するにこのページをパソコン画面に呼び出し、BBC3の放送に繋げばスコアを見ながら聴くことが可能。私もこうして楽しみましたが、指揮者の振り間違いも判っちゃったりして、当事者には却って迷惑かもネ。恐ろしい時代ではあります。
ウールリッチ作品はナクソス・ライブラリーからも何曲か配信されていますし、ヴィオラ協奏曲はNMLとフェイバーのスコア・ライブラリーを参照しながら聴くことも出来ます。お試しあれ。

 

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