後方一気でGⅠ戦2連勝

8月のアメリカ競馬は土曜日に全てのG戦が集中するような週は少なく、今週も金曜日から日曜日までバランス良く配置され、レポートする身にとっては比較的楽な季節ではあります。
それでもやはり土曜日はメインとあって、三つの競馬場でG戦が行われました。

最初はモンマス・パーク競馬場のジャージー・ショア・ステークス Jersey Shore S (GⅢ、3歳、6ハロン)。去年は8月16日の施行でしたが、今年は本来の次期に戻っての開催となりました。1頭が取り消して6頭立て。ここまでの7戦全てが異なる競馬場と言うプレッチャー厩舎のブレイム・ジム Blame Jim が1対2の1番人気。
並んで3番人気(5対1)のジョー・フランクリン Joe Franklin が逃げ、ブレイム・ジムは2番手追走。しかし3番手に付けた3番人気のダブリュー・ヴィー・ジェットセッター W V Jetsetter が内ラチ沿いにスルスルと伸びて直線で先頭に立つと、前半は最後方に待機していた2番人気(9対2)のヘブロンヴィユ Hebbronville が馬4頭分の外を通って追い上げ、最後は力で捻じ伏せるようにタブリュー・ヴィー・ジェットセッターを首差捉えて優勝。6馬身4分の3の大差が付いて逃げたジョー・フランクリンが3着に粘り、2番手を追走していたブレイム・ジムは4着敗退。
リン・ホワイティング厩舎、トレヴァー・マカーシー騎乗のヘブロンヴィルは、去年10月のベルモントでフューチュリティー・ステークス(GⅠ)で2着していた3歳馬。ステークスに6連戦したあと前走7月3日にエリス・パークでアローワンス戦に勝ち、これで2連勝。G戦は初勝利となります。

次にサラトガ競馬場から2鞍。先ず初日のスカイラーヴィル・ステークスの牡馬版に相当するサンフォード・ステークス Sanford S (GⅢ、2歳、6ハロン)は、fast の馬場に1頭が取り消して10頭立て。前走6月5日にベルモントで一般ステークス(トレモント・ステークス)に勝ったコックト・アンド・ローディッド Cocked and Loaded が2対1の1番人気。
5番人気(13対1)のマグナ・ライト Magna Light が逃げ、快調に直線。外から7番人気(19対1)のパーコレイター Percolator が迫ってきた時にホセ・オルティスの左ムチ3発に驚いたか、マグナ・ライトは大きく外に膨れ、更に折り返すように内に切れ込みます。それでも立て直したマグナ・ライトが6番手から外を通って追い込む3番人気(4対1)のアンクル・ヴィニー Uncle Vinny に4分の3馬身差を付けて先頭でゴールしました。半馬身差でパーコレイターが3番手入線。しかしこの大きな斜行は直ぐに審議となり、結局マグナ・ライトがパーコレイターの進路を妨害したとの採決でマグナ・ライトは3着に降着。繰り上がってアンクル・ヴィニー1着、パーコレイター2着と公式に確定しています。
結果はその通りでしたが、この日は明らかにアクシデントが無くてもマグナ・ライトが勝っていたでしょう。寧ろ大きな不利があったのは、連れてパーコレイターの内を抜けようとしていた2頭の様にも見えました。人気のコックト・アンド・ローディッドは5番手追走も6着と奮わず。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のアンクル・ヴィニーは、デビュー戦を4馬身半差で快勝し、前走トレモント・ステークスでは1番人気に支持されながら6着に敗退していました。そこからの巻き返しでステークス、G戦共初勝利。今年の新種牡馬アンクル・モー Uncle Mo 産駒のステークス初勝利でもあります。

そして昨日のメインは、古馬牝馬の頂上対決ダイアナ・ステークス Diana S (芝GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。firm の馬場に7頭が出走し、去年のダイアナで首差2着、フラワー・ボウル(GⅠ)勝馬のステファニーズ・キッテン Stephanie’s Kitten が2対1の1番人気。これもGⅠ(ジャスト・ア・ゲイム・ステークス)勝馬テーピン Tepin が3対1の2番人気で続きます。
ハナに立ったのは最低人気(26対1)のキッテンズ・クィーン Kitten’s Queen 、これをテーピンが2番手でマークし、3番人気(7対2)のマイ・ミス・ソフィア My Miss Sophia が3番手。しかしその後は15馬身程の大差が開き、ステファニーズ・キッテンを含む4頭が後方待機するという奇抜な展開。逃げたキッテンズ・クィーンを外からテーピンが捉えて勝負あったかに見えましたが、後続グループの先頭で追っていた5番人気(6対1)のハード・ノット・トゥー・ライク Hard Not to Like が外から猛追、ゴール直前でハナ差だけ抜け出すという劇的な幕切れとなりました。2着テーピンと3着キッテンズ・クィーンとの着差も首差という大接戦です。本命ステファニーズ・キッテンも最後方から伸びるも5着に終わりました。勝時計1分45秒22はコース・レコード。
クリストフ・クレメント厩舎、サンフォードに続いて連勝となるジョン・ヴェラスケス騎乗の6歳馬ハード・ノット・トゥー・ライクは、前走ゲイムリー・ステークスに続いてGⅠ2連勝、去年のジェニー・ワイリー・ステークスを含めて三つ目のGⅠタイトルとなります。今期は1月にエンデヴァー・ステークス(芝GⅢ)で1着入線も2着に降着、4月には前年に制したジェニー・ワイリーで3着し、これがシーズン4戦目でした。

土曜日の最後はデル・マー競馬場のサン・ディエゴ・ハンデキャップ San Diego H (GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。1頭が取り消して7頭立て。去年のハスケル・インヴィテーショナルとBCクラシックを制したGⅠ2勝馬バイエルン Bayern が7対5の1番人気。BCのあとの今期2戦は何れも奮いませんが、ここをステップにして8月22日のパシフィック・クラシック(GⅠ)への準備にしたいところ。
そのバイエルンが例によってスタートから先手を奪いましたが、今回は4番人気(9対1)のアピーリング・テイル Appealing Tale に終始絡まれる展開。2頭が競り合いながら3番手以下を5馬身引き離して直線に向かいましたが、ここでバイエルンが後退。替って3番手を追走していた3番人気(3対1)のキャッチ・ア・フライト Catch a Flight が外からジワリと差を詰め、ゴールでは粘るアピーリング・テイルを頭差捉えての優勝、正に漁夫の利という印象でした。1馬身4分の1差でバイエルンが何とか3着を確保し、バファート厩舎もう1頭のGⅠ馬で2番人気(5対2)のホッパチュニティー Hoppertunity がハナ差で4着。
リチャード・マンデラ厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のキャッチ・ア・フライトは、前走サンタ・アニタのゴールド・カップ(GⅠ)では距離が長く(10ハロン)ホッパチュニティーの3着に敗れていましたが、1ハロン短いこの距離ではこれでアメリカに転戦してからは4戦4勝。5月初めののプレシジョニスト・ステークス(GⅢ)、5月末のカリフォルニアン・ステークス(GⅡ)に続くアメリカG戦3勝目となりました。父ジャイアンツ・コーズウェイ Giant’s Causeway は、去年のフェド・ビズ Fed Biz に次いでサン・ディエゴ2連覇達成となります

 

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