ヒンズー教から生まれた名曲たち

1945年生まれの作品、パリ生まれの作品と続けてきたプロムス、今回はインド哲学でもあるヒンズー教との繋がりが深い作品で構成されたプログラムを聴きました。

8月13日 ≪Prom 38≫
ジョン・フォウルズ John Foulds/3つのマントラ Three Mantras
     ~休憩~
メシアン/トゥーランガリラ交響曲
 BBCフィルハーモニック
 指揮/ファンホ・メナ
 ピアノ/スティーヴン・オスボーン Steven Osborne
 オンド・マルトノ/シンシア・ミラー Cynthia Millar
 合唱/ロンドン・シンフォニー・コーラス(女声合唱)

プログラム前半のフォウルズを知っている、あるいは作品を聴いたことがあるという方は極めて少ないと思慮します。私もこのプロムスを見て色々調べ、聴いてみた作曲家。オックスフォードのミニ音楽辞典には1880年にマンチェスターで生まれ、1939年に享年58歳の時カルカッタで病没(コレラ)した作曲家とあります。
あまり作品も出版されていないようで、IMSLPに登録されている楽譜も2曲ほどでした。現在はウィキペディアという便利なツールがありますから、簡単なプロフィールはこちら↓

https://en.wikipedia.org/wiki/John_Foulds

ダイジェストに纏めた日本語版もありますから、横文字を読むのが面倒な方はそちらをクリックしてください。ハンサムな顔写真に吃驚してしまいますヨ。
後半で演奏されるメシアンと繋がりがあるのは、フォウルズがインドの民族音楽を収集し、インドの伝統楽器のためにも作曲していること。これにはフォウルズ夫人のモード・マッカーシーがインド音楽の権威であったことも大きく関係しています。
更に若き日のメシアンが、フォウルズ夫人の講演に出席して啓発されたという記述も見逃してはなりません。メシアンのトゥーランガリラ交響曲には、インド音楽の伝統リズムの一つが用いられていることはご存知の通り。恐らくメシアンはこれらをフォウルズ夫人から教示されたのでしょう。

今回演奏された3つのマントラは、本来は歌劇になるはずの楽曲ら組曲として残った作品。マントラとは梵語で「真言」のことで、作品は、
①Mantra of Activity 行動のマントラ
②Mantra of Bliss 幸福のマントラ
③Mantra of Will 意志のマントラ
から成ります。②には歌詞の無いヴォカリーズで女声合唱が入り、3曲の中では最も長い楽章。

メシアンがこの作品を知っていたのではないかと思われるのが、①の出だしがトゥーランガリラの冒頭と何となく似ていること。これまでトゥーランガリラ交響曲の解説では読んだことがありませんでしたが、音楽の世界は知れば知るほど興味深い話題にぶつかるものですね。
この作品はサカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団のCD(EMI盤)がNMLでも聴けるので、聴き比べもまた一興。

後半は知り尽くしていたと思っていたトゥーランガリラ交響曲。今回はフォウルズを知った上での試聴。また異なった感慨を持ちました。

 

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