ワシントンのアイドル、ストライカー・ピーエイチディー

アーリントンの祭典が終了した翌日の日曜日も、アメリカではG戦が続きます。例によってサラトガとデル・マーに加え、昨日は珍しいワシントンのG戦もありました。

最初はサラトガ競馬場の伝統ある2歳戦、サラトガ・スペシャル・ステークス Saratoga Special S (GⅡ、2歳、6.5ハロン)。創設が20世紀初めの1901年ですから、既に100年以上の歴史があります。今年は fast の馬場に6頭が出走。先のサンフォード・ステークスをアンクル・ヴィニー Uncle Vinny で制し、サラトガ2歳戦総なめを狙うプレッチャー厩舎の、その名もサラトガ・ミスチーフ Saratoga Mischief がイーヴンの1番人気。
最低人気(18対1)のジョン・キュー・パブリック John Q. Public が逃げ、サラトガ・ミスチーフは2番手追走。直線、逃げ馬を交わして先頭に立ったサラトガ・ミスチーフでしたが、1番枠スタートから終始内ラチ沿いの最後方を進んでいた3番人気(9対2)のエクサジェレイター Exaggerator がバテた逃げ馬を巧みに交わして内ラチ沿いに伸び、本命馬を4分の3馬身差捉えての逆転劇。4馬身4分の3の大差が付いてやはり9対2のハマーズ・ヴィジョン Hammers Vision が3着に入りました。
西海岸を本拠とするキース・デサーモ厩舎、ジュニア・アルヴァラード騎乗のエクサジェレイターは、前走2戦目でデル・マーの未勝利戦に勝ったばかり。これで3戦2勝とし、遠征の甲斐があったことを証明しました。なお、6月のデビュー戦は出遅れ、ダートが顔に掛かるのを嫌ったこともあって5着。その経験を活かし、今回はダートを避けてラチ沿いを走ったのが好結果を生んだそうです。

次にカリフォルニアのデル・マー競馬場からランチョ・ベルナルド・ハンデキャップ Rancho Bernardo H (GⅢ、3歳上牝、6.5ハロン)。こちらも fast の馬場に7頭が出走し、右前足首骨折から7か月の休養明けながら既にGⅡ戦に勝っているタリス Taris がイーヴンの1番人気。
逃げた6番人気(23対1)ウエイステッド・アット・ミッドナイト Wasted At Midnight の2番手に付けたタリス、第4コーナーで先頭に立つと、4番手から追い込む2番人気(5対2)のバルータ Baruta に2馬身4分の3差を付けて堂々人気に応えました。首差で3番手を進んだ4番人気(11対1)のユージール Uzziel が3着。
サイモン・キャラガン厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のタリスは、去年10月にトッド・ベアーティ厩舎所属でレイヴン・ラン・ステークス(GⅡ)を勝った後、競売でクールモアが入札し、キャラガン厩舎に転じた馬。12月に新しい陣営の元でラ・ブレア・ステークス(GⅠ)に出走しましたが、故障もあって2着敗退。今回が新陣営での2戦目、初勝利で通算成績は6戦5勝2着1回。今年のBCフィリー・アンド・メア・スプリントの候補に挙がってきました。

8月16日の最後は、ワシントン州のエメラルド・ダウンズ競馬場へ飛びましょう。この競馬場で唯一のG戦となるロングエイカーズ・マイル Longacres Mile (GⅢ、3歳上、8ハロン)。1頭が取り消して11頭立て。地元ワシントン産馬で去年の覇者ストライカー・ピーエイチディー Stryker Phd の連覇に期待が掛かり、6対5の1番人気。
レースは大外発走の8番人気(24対1)モダーン Modern が逃げてハイペースを創りましたが、前半は後方に待機していたストライカー・ピーエイチディーが第3コーナーから捲るように大外を上がり、3番手で直線入ると桁違いの末脚で抜け、後方から追い込む3番人気(6対1)のサミー・マンデヴィル Sammy Mandeville に1馬身差を付けて見事2連覇達成です。半馬身差で4番手を進んだ2番人気(4対1)のアラート・ベイ Alert Bay が3着と順当。
共に去年と同じラリー・ロス厩舎、レスリー・モーウィング騎乗のストライカー・ピーエイチディーは、エメラルド・ダウンズで一般ステークスに2連勝中(6月のバドワイザー・ハンデ、7月はマウント・レイニアー・ハンデ)で、これでステークスも3連勝となる6歳せん馬。2013年のこのレースは2着で、同競馬場のステークスはこれで7勝目と、正に地元のアイドルです。
ロングエイカーズ・マイルの2連覇は、80回の歴史の中で1980年と81年のトゥルーパー・セヴン Trooper Seven 、1988年と89年のシンプリー・マジェスティック Simply Majestic に続いて3頭目の快挙となりました。なお1987年の勝馬は、日本で種馬として成功したジャッジ・アンジェルーチ Judge Angelucci で、日本でも満更無関係のG戦ではありません。

 

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