本場のニールセンを聴く
20日のプロムスは海外からのオーケストラによる演奏会、今年生誕150年のニールセンを祝してデンマーク国立交響楽団が本場の演奏を聴かせてくれました。
8月20日 ≪Prom 46≫
ニールセン/ヘリオス序曲
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
~休憩~
ニールセン/3つのモテット
ニールセン/愛の讃歌 Hymnus amoris
ニールセン/交響曲第2番
デンマーク国立交響楽団 The Danish National Symphony Orchestra
指揮/ファビオ・ルイジ Fabio Luisi
ヴァイオリン/ニコライ・ズナイダー Nikolaj Znaider
ソプラノ/アンナ・ルチア・リヒター Anna Lucia Richter
テノール/デヴィット・ダンホルト David Danholt
合唱/デンマーク国立合唱団
このオーケストラ、英語表記では The Danish National Symphony Orchestra となっていますが、デンマーク語ではDR放送交響楽団というらしく、今年創設90年のオケですね。
現在のところ首席指揮者は空欄みたいですが、2017年からこの日の指揮者ファビオ・ルイジが首席指揮者に就任することが決まっているそうです。ホームページを詳しく読めば現状が判るかも。なお、ルイジ指揮のエロイカが当ページから鑑賞することができます。
http://www.dr.dk/Koncerthuset/kor-og-orkestre/dr-symfoniorkestret/english/frontpage.htm
今回はニールセンのアニヴァーサリーと言うことで、オール・ニールセン、と行きたいところですが、何故か協奏曲はブラームスでした。
ソロのニコライ・ズナイダーはデンマーク人で、ニールセン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝していますから、今回は適任。ニールセンにもヴァイオリン協奏曲がありますが、それは何故か9月に入ってから別のオケとソリストで演奏されることになっています。
今回のブラームス、第1楽章のカデンツァは誰の作でしょうか? 少なくともヨアヒムでもクライスラーでもありません。彼はウィーンでこの曲をライヴ録音しているそうですから、知りたい方はそれでチェックする手があるかも。
アンコールがありましたが、“BBCからバッハは弾かないでくれと言われましたから、バッハをやくます”って、おもしろい人ですね、ズナイダーって。で、結局バッハの無伴奏パルティータ第2番のサラバンドを弾きました。
後半は正真正銘オール・ニールセンですが、最初の2曲は珍しいもので、私も初めて聴きました。3つのモテットは無伴奏の合唱作品で、もちろんルイジが指揮。最初の2曲は4声ですが、3曲目のベネディクトゥス・ドミヌスは5声部で書かれています。
パレストリーナばりのポリフォニーで(実際ニールセンはパレストリーナを勉強した由)、18人のアンサンブル。幸いスコアはIMSLPで閲覧できます。↓
http://imslp.nl/imglnks/usimg/b/bc/IMSLP133584-PMLP257751-Nielsen-Motets.pdf
続く愛の讃歌はソプラノ、テノール、合唱と管弦楽のための大掛かりな合唱曲で、ティツィアーノの絵画に触発された、ということになっています。絵は不案内ですが、ティツィアーノにこういうタイトルの作品があるんでしょうか?
この作品は残念ながらスコアを見ることは出来ませんでした。未だ出版されていないと思われます。
最後は「四つの気質」とタイトルが付いた有名な交響曲。確かニールセンが何処かのパブで見た風刺画に大笑いして着想したんじゃなかったかしら。
それにしても今年のプロムスで取り上げるニールセンのシンフォニーは2番だけ。シベリウスは全部演奏するのに比べて、未だこの作曲は馴染が薄いんでしょうか。その意味では、渡邉暁雄やヴァンスカで全曲聴くことが出来た日本の方が進んでいると思いましたネ。
オケもアンコール。チョッとニールセンを齧ったことのある人なら曲名を告げられなくても判ります。仮面舞踏会から若い雄鶏たちの踊り The Cock’s Dance でした。
なお当オケの本拠地は2009年に完成したDRコンサートホールだそうで、このホールはグラモフォン誌が選ぶトップテンのコンサートホールに選ばれたそうな。デンマークに出掛ける方は是非立ち寄ってみることをお勧めします。もちろん聴かなきゃ判りませんが・・・。
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