2015ニューマーケット9月開催3日目

ニューマーケット競馬場の9月開催は別名ケンブリッジシャー開催とも呼ばれますが、昨日の最終日はそのケンブリッジシャー・ハンデも行われました。ケンブリッジ・ハンデともう一つの歴史あるハンデ戦セザレウィッチ・ハンデはボビンスキーが「重要レース」に選んだほどですが、英国ではハンデ戦のためにパターン・レースからは外れています。当ブログはG戦レポートが目的ですから、3日目も3鞍のG戦に絞ってレポートして行きましょう。

この日のG戦は全て2歳馬によるもの。来年のクラシックを見据えた馬たちが揃い、目が離せません。馬場は good と更に回復し、最初はマイル戦のロイヤル・ロッジ・ステークス Royal Lodge S (GⅡ、2歳牡せん、1マイル)。6頭が出走し、ヘイドックで1マイル戦を2連勝してきたファウンデーション Foundation が5対4の1番人気に支持されていました。
レースはジョイント4番人気(16対1)のシックスス・センス Sixthe Sense が逃げましたが、2ハロン地点からは3番人気(10対1)のマンタザー Muntazah が替って先頭。これをマークして進んだファウンデーションが残り1ハロンで抜けると、連れて進出した同じく2戦2勝で2番人気(11対8)のドーヴィル Deauville (アイルランドのタイロス・ステークスGⅢ勝馬)に4分の3馬身差を付けて人気に応えました。マンタザーが粘って2馬身4分の1差の3着。

ジョン・ゴスデン厩舎、フランキー・デットーリ騎乗のファウンデーションは、前走ヘイドックのリステッド戦では2着に3馬身差を付ける圧勝で、これで無傷の3連勝。これまでの2戦は何れも出遅れましたが、今回は好スタートから良い位置に付け、デットーリとしても馬に競馬を教える絶好のチャンスだった由。このあと来月末のレーシング・ポスト・トロフィーを使って、来年のクラシックに備えることになるでしょう。
2000ギニーのオッズはレース前の25対1から16対1に上がり、ダービーのオッズもブックメーカーにより12対1から16対1の間が提示されています。間違いなくダービー候補の1頭でしょう。

続いては牝馬のGⅠ戦チーヴリー・パーク・ステークス Cheveley Park S (GⅠ、2歳牝、6ハロン)。G戦の勝馬2頭を含む8頭が出走し、前走ラウザー・ステークス(GⅡ)を制したべシャーラー Besharah が9対4の1番人気。これをダッチェス・オブ・ケンブリッジ・ステークス(GⅡ)の覇者で3戦無敗のイリュミネート Illuminate が2番手(3対1)で追う人気。
しかし先手を取ったのは3番人気(10対3)のリュミエール Lumiere で、中間地点では後続に3馬身差を付ける思い切った作戦。これが功を奏し、4番手からイリュミネートが追い上げたものの、半馬身差で鮮やかに逃げ切りました。人気のべシャーラーも3番手から追い上げましたが、頭差届かず3着は惜敗でしょう。いずれにしても上位3頭はトップクラスの内容です。

勝ったリュミエールはマーク・ジョンストン厩舎で、ウイリアム・ビュイック騎乗。ニューマーケットの6ハロン戦でデビュー勝ちし、前走はラウザー・ステークスでべシャーラーの2着した馬。前走の内容から、今回の逆転を予想した専門家も多く、G戦初勝利とは言え順当な勝利だったと言えそうです。これで3戦2勝、来年の1000ギニーのオッズもレース前の16対1から12対1に上がりました。陣営も1マイルの距離は問題ないと見ています。

最後はミドル・パーク・ステークス Middle Park S (GⅠ、2歳牡、6ハロン)。去年は10月中旬、デューハースト・ステークスと同じ日に行われていましたが、今年は繰り上げられることになり、再びミドルパーク→デューハーストと2大2歳GⅠ戦に出走することが可能になりました。英国の秋競馬再編は未だ続いているようです。
7頭が出走してきましたが、内G戦勝馬が4頭とレヴェルの高いメンバーが揃いました。中でもG戦3連勝中のシャラー Shalaa のスピードが群を抜き、1対2の圧倒的1番人気に支持されています。

そのシャラー、何時ものようにスタートから先手を奪うと、これを追った3番人気(13対2)でコヴェントリー・ステークス(GⅡ)の覇者ブラティーノ Buratino に半馬身差を付けるまたも逃げ切り勝ち。更に2馬身差で6番人気(25対1)のステディー・ペース Steady Pace が後方から3着に追い込み、ジムクラック・ステークス(GⅡ)勝馬で2番人気(6対1)のアジャヤ Ajaya は2番手を進むも4着。サイレニア・ステークス(GⅢ)勝馬で5番人気(20対1)のルーロー Rouleau は5着に終わりました。これも上位3頭はクラシックに有望な馬たち。
ジョン・ゴスデン厩舎、フランキー・デットーリのコンビはロイヤル・ロッジのファウンデーションに続くG戦ダブル達成。シャラーはジュライ・ステークス(GⅡ)、リッチモンド・ステークス(GⅡ)、モルニー賞(GⅠ)とG戦4連勝、GⅠも連勝で、初戦8着を除けば6戦5勝とほぼパーフェクトな2歳戦を終了しました。今期はこれで終戦の予定。
そのスピードから来年のコモンウェルス・カップの本命で、オッズは3対1で変わりません。一方2000ギニーのオッズは14対1、こちらは他に有力候補が出現したこと、距離には未知数と言うこともあり、若干下降気味のようです。

最後にケンブリッジシャー・ハンデに付いても一言。今年は34頭が出走し、ジョイント4番人気(14対1)のサード・タイム・ラッキー Third Time Lucky が勝ちました。1番人気の馬は5着。
馬券的にはガチガチで決着することが多いG戦に比べ、多頭数のハンデ戦が荒れるのは日常茶飯事。賭け事好きな英国の紳士淑女たちが夢中になるのは、こちらの方です。

 

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