GⅠ戦に連勝で来年のクラシック馬へ(牝馬編)

英国の秋競馬再編が始まって数年が経過しましたが、未だ番組編成は安定していないようです。
ニューマーケットの9月開催ではミドル・パーク・ステークスが10月第3週から再び9月に戻されたことを紹介しましたが、去年は10月第3週の週末に連日開催となっていたニューマーケットとアスコットが再び分離され、ニューマーケットの10月開催が第2週に繰上げされています。

ということで今週末はニューマーケットの2日間で合計7鞍のG戦が行われました。実は小欄、この週末は京都に滞在していたので、この稿は10月9日の金曜日にニューマーケット競馬場で行われたG戦4鞍のレポートです。
この日は good to soft 、所により good の馬場。第1レースのコーンウォリス・ステークス Cornwallis S (GⅢ、2歳、5ハロン)、去年は10月第3週に行われていたもの。本来はアスコット競馬場のG戦でしたが、再編に伴って去年からニューマーケットに移管された2歳短距離戦ですね。1頭が取り消して11頭立て。前走エアのリステッド戦に快勝したクワイエット・リフレクション Quiet Reflection が5対6の断然1番人気に支持されていました。

4頭もの馬が並んだ6番人気(16対1)の一角テレサ― Teresar が逃げましたが、先行争いには巻き込まれず冷静にマークして進んだクワイエット・リフレクションが残り1ハロンで抜けると、3番手辺りを追走するも前が塞がる不利があった2番人気(10対1)のフィールド・オブ・ヴィジョン Field of Vision に2馬身半差を付ける楽勝で人気に応えました。更に1馬身4分の1差で5番人気(14対1)のシャドウ・ハンター Shadow Hunter が3着。
カール・バーク厩舎、グレアム・リー騎乗のクワイエット・リフレクションは、これがG戦初勝利。前走エアのリステッド戦(ハリー・ローズベリー・ステークス)に続く連勝でステップ・アップし、来年のコモンウェルス・カップに14対1から16対1のオッズが出されました。これで4戦3勝、2戦目のラウザー・ステークス(GⅡ、6ハロン)以外は全て5ハロンでの勝利ですが、6ハロン(コモンウェルス)の距離は問題にしないはず。今期は2歳の短距離G戦も残っていないことから、これで終戦として来シーズンに備える予定だそうです。

第2レースはオー・ソー・シャープ・ステークス Oh So Sharp S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。去年は10月第1週、その前は9月末と中々開催時期が安定しませんが、今年は12頭が参戦。新馬勝ちしたばかりの馬が4頭揃い、人気もこの中から。ケンプトンのポリトラック・コース7ハロンでデビュー勝ちしたクイーンズ・トラスト Queen’s Trust が9対4の1番人気に支持されていました。
レースは2番人気(9対2)でやはり1戦1勝のファースト・ヴィクトリー First Victory が果敢に先頭に立ち、結局は中団から伸びた5番人気(10対1)アラモード Alamode の追い込みを1馬身抑えての逃げ切り勝ち。半馬身差で後方から追い込んだ7番人気(14対1)でやはり1戦1勝のロバンヌ Robanne が3着に入り、クイーンズ・トラストは先行も伸びず、5着に終わっています。

ゴートールフィンの良血馬ファースト・ヴィクトリーは、サイード・ビン・スロール厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗。デビューは2週間前の同じコース、同じ距離で、これで2戦2勝。来年の愛1000ギニーに登録があるテオフィロ Teofilo の娘で、スロール師は少なくとも1マイル4分の1の距離までは問題ないと見ています。

続いて第3レースがチャレンジ・ステークス Challenge S (GⅡ、3歳上、7ハロン)。この日行われたG戦では唯一の3歳上混合戦で、去年は開催そのものと同じく10月第3週に開催されていました。10頭が出走し、クライテリオン・ステークス(GⅢ)の勝馬で前走パーク・ステークス(GⅡ)で2着の3歳馬マーカズ Markaz が4対1の1番人気。
2番人気(6対1)のクールスティー Coulsty が逃げましたが、3番手を進んだジョイント5番人気(8対1)のケーブル・ベイ Cable Bay が残り1ハロンで抜け出し、中団から追い込む3番人気(7対1)のブレトン・ロック Breton Rock との叩き合いを首差凌いで優勝。半馬身差の3着には後方からジョイント5番人気で去年のデューハースト・ステークス馬ベラード Belard が追い込み、人気のマーカズは5着に終わりました。

長いシーズンを戦い抜いてきたケーブル・ベイは、チャーリー・ヒルズ厩舎でフランキー・デットーリ騎乗の4歳馬。5月にはジョン・オブ・ゴーント・ステークス(GⅢ)に勝ち、前走は1週前アスコットのベングー・ステークス(GⅢ、6ハロン)で4着したばかりでした。
来年はハイクレア・スタッドで種牡馬入りすることが決まっており、GⅡ勝ちのタイトルは大いに宣伝効果として期待できそう。今期はアメリカか香港でもう1戦する可能性も残されているとのことでした。

金曜日の最後は、第4レースのフィリーズ・マイル Fillies’ Mile (GⅠ、2歳牝、1マイル)。去年は10月第3週でしたし、その前は9月末、これも本来はアスコット競馬場のG戦でした。今年は10頭が出走し、前走モイグレア・スタッド・ステークス(GⅠ)で人気のバリードイル Ballydoyle を破るサプライズで制したマインディング Minding が5対4の1番人気。
6番人気(16対1)でプレスティージ・ステークス(GⅢ)勝馬のホークスムーア Hawksmoor が逃げましたが、スタンド側で控えていたマインディングが残り1ハロンでスパートすると、瞬発力は圧巻。後方から2番人気(4対1)で2戦無敗のナスラ Nathra が追い込みましたが、本命馬とは4馬身半の決定的な差がありました。逃げたホークスムーアが2馬身4分の1差で3着に粘っています。

これでGⅠ戦2連勝となるマインディングは、もちろんエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗のガリレオ Galileo 娘。前走で破った同厩のバリードイルが先日のマルセル・ブーサック賞を制したのですから、2頭のオブライエン管理馬がクラシック候補であることは間違い無し。マインディングには1000ギニー、オークス共に5対1のオッズが出されましたが、お互いに同じ厩舎のクラシック候補がライヴァルでしょう。
2着のゴスデン師、3着のパーマー師もマインディングの強さに脱帽。彼女がが来年のヨーロッパ・チャンピオンになる確率がかなり高いことを認め、ホークスムーアは早くも照準を仏1000ギニーに絞ったほどです。

 

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