GⅠ戦に連勝で来年のクラシック馬へ(牡馬編)
前の記事に直ぐ続いて、昨日の土曜日、10月10日にニューマーケット競馬場で行われたG戦3鞍を紹介して行きましょう。この日の3レースで今年のニューマーケットのG戦は全て終了しました。
馬場は good 、所により good to soft ともう一段回復。第2レースとして行われたのが2歳馬のマイル戦、オータム・ステークス Autumn S (GⅢ、2歳、1マイル)です。8頭が出走し、前走ベレスフォード・ステークス(GⅡ)で3着したオブライエン厩舎のビーコン・ロック Beacon Rock が15対8の1番人気。
好スタートから先手を取ったのは2番人気(4対1)のギフテッド・マスター Gifted Master 、3番手を追走したビーコン・ロックが交わして一旦は先頭に立ちましたが、ギフテッド・マスターが渋太く差し返し、最後は半馬身差で最終的には逃げ切り勝ち。更に1馬身半差で2番手を進んでいた3番人気(9対2)のイブン・マリク Ibn Malik が3着でした。
ヒューゴー・パーマー厩舎、ポール・ハナガン騎乗のギフテッド・マスターは、先週ニューマーケットのセールズ戦(トトソルズ・ミリオン・2歳トロフィー)に勝ったばかりで、せん馬のため来年のクラシックには縁の無い馬です。ニューカッスルの一般戦から3連勝、今期は既に6戦4勝の好成績を残してきました。
続く第3レースが、クラシックに繋がるデューハースト・ステークス Dewhurst S (GⅠ、2歳牡牝、7ハロン)。去年より1週前倒しの施行で7頭立て、オブライエン厩舎のGⅠ馬エア・フォース・ブルー Air Force Blue と、ゴドルフィン所有、シャンペン・ステークス(GⅡ)に勝って無敗のエモーションレス Emotionless の2強対決が最大の見所でした。前者が4対6の1番人気、後者は7対4で2番人気。
6番人気(66対1)のアドヴェンチャラス Adventurous が逃げてペースを作りましたが、先ず2番手を進んだサヌス・ペル・アクアム Sanus Per Aquam が交わして先頭。しかし前3頭を離れた4番手で見ていたエア・フォース・ブルーが仕掛けると、勝負は一瞬。5番手から並んで追い上げたジョイント3番人気(20対1)のマサート Massaat に3馬身4分の1差を付ける圧勝で人気に応えました。2馬身4分の3差でサヌス・ペル・アクアムが3着。一方エモーションレスはエア・フォース・ブルーと同時に進出を開始しましたが、ペースに付いて行けず、最後はビュイック騎手が諦めての7着最下位に敗退。結局は勝馬の独り舞台になってしまいました。
前日のマインディングに続きライアン・ムーア騎乗、2歳GⅠ戦ダブルを齎したエア・フォース・ブルーは、これでフェニックス・ステークス、ナショナル・ステークスとGⅠ戦3連勝で文句なく2歳チャンピオンに君臨。オブライエン師にデューハースト・ステークス4勝目をプレゼントしました。
2000ギニーのオッズは、レース前の6対4から5対4へと更に上昇。少なくとも2000ギニーはこの馬を中心に展開して行くことは間違いなさそうです。
最後は、この日の最終第7レースとして行われたダーレー・ステークス Darley S (GⅢ、3歳上、1マイル1ハロン)。これも1週前倒しで、1頭が取り消して9頭立て。前走エアのリステッド戦で2着しているムタカイェフ Mutakayyef が15対8の1番人気。
レースはスタンドから遠い側、馬場の中央、スタンド側の三つのグループに分かれる展開となり、ムタカイェフは遠い側3頭の先頭を走っていましたが、真ん中のコースを通った5頭のグループに分があり、この集団の1頭だった最低人気(40対1)のエネルギア・ダヴォス Energia Davos が残り1ハロンで先頭に立ち、同じグループの2番手を進んでいた5番人気(8対1)のソヴリン・デット Sovereign Debt に4分の3馬身差を付ける波乱。ムタカイェフは更に1馬身半差の3着に終わりました。
ジェーン・チャップル=ハイアム厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗のエネルギア・ダヴォスは、ブラジル産の7歳せん馬。現地のGⅠに勝ったこともある馬ですが、ヨーロッパに転籍してからはドイツ、ドバイなどで走り、前走ニューマーケットのケンブリッジシャー・ハンデでは34頭立ての26着と大敗していました。人気が無かったのも当然でしょう。
血統的に面白いのは、母の父がアメリカのGⅠ馬マリアズ・モン Marias Mon であることで、これが何とエア・フォース・ブルーとの共通点なのですね。ヨーロッパでは珍しい血統がニューマーケットのG最終戦を制しました。
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