ムハーラーに強敵?

昨日の土曜日、イギリスは二つの競馬場で対照的なG戦が行われています。
最初にヘイドック・パーク競馬場の2鞍から。スーペリアー・マイル Superior Mile (GⅢ、3歳上、1マイル)は、good to soft の馬場に2頭が取り消して7頭立て。去年の勝馬キャプテン・キャット Captain Cat が出走してきましたが、今期は成績が今一奮わず、これを抑えて前年は2着だったバルティー・ボーイズ Balty Boys が11対4の1番人気。

最低人気、と言っても8対1と争覇圏内のマスター・カーペンター Master Carpenter が逃げましたが、これを2番手で追走したバルティー・ボーイズが捉え、先行した2番人気(4対1)ソヴリン・デット Sovereign Debt に1馬身半差を付けて優勝。同じく先行策の3番人気(5対1)オー・ド・コンバ Hors de Combat が1馬身半差で3着に入り、順当な結果でした。
ブライアン・エリソン厩舎、シルヴェストル・ド・スーザ騎乗のバルティー・ボーイズは、去年2着の後は全てハンデ戦かリステッド戦が舞台で、前走のアスコットでもハンデ戦で2着。G戦そのものも1年振りの挑戦での初勝利でした。クィーン・エリザベスⅡ世ステークスに登録はあるものの、陣営では同日に行われるハンデ戦(バルモラル・ハンデ)に向かう可能性の方が大とコメントしています。

そしてヘイドック競馬場で行われる最も重要な一戦が、ベットフレッド・スプリント・カップ Betfred Sprint Cup (GⅠ、3歳上、6ハロン)。2頭の取り消しがあっても15頭立て。現時点での短距離王ムハーラー Muhaarar こそ出走してきませんでしたが、このレースの前年、前々年の勝馬を含めて歴戦のスプリンターが揃いました。1番人気(9対2)は2頭が分け合い、一昨年の勝馬で7歳のゴードン・ロード・バイロン Gordon Lord Byron と、前走ハンガーフォード・ステークス(GⅡ)に勝った3歳馬のアダーイ Adaay が並びます。
ジョイント8番人気(16対1)のティッギー・ウィッギー Tiggy Wiggy が逃げ、有力馬たちも離されず先行しましたが、残り1ハロンで抜け出したのは5番人気(10対1)のトゥワイライト・サン Twilight Son 、後方から追い込む最低人気(33対1)のストラス・バーン Strath Burn を短頭差抑える波乱となりました。4分の3馬身差でジョイント6番人気(14対1)のマジカル・マネー Magical Money が3着に入り、並んで先行していた人気の2頭は共に失速し、アダーイが9着、ゴードン・ロード・バイロンも10着と敗退しています。ジョイント8番人気だった去年の勝馬ジー・フォース G Force は4着。2・3着馬は共にチャールズ・ヒルズ厩舎で、師は満足気。

勝ったトゥワイライト・サンはヘンリー・キャンディー厩舎、騎乗したファーガス・スウィーニーはヴェテランながらGⅠは初勝利。キャンディー師は2010年のマーカブ Markab に次ぐ2度目のスプリント・カップ優勝で、勝馬の父キラチー Kyllachy も調教していました。
勝馬は未だこれが5戦目で、何と無敗のままG戦初挑戦でGⅠ馬となった3歳馬。同世代の3歳短距離王ムハーラー Muhaarar の強敵誕生というビッグ・ニュースになったと言えそうです。果たしてアスコットのチャンピオン・スプリントで2頭の対決はあるのか? トゥワイライト・サンのオッズは10対1が提示されています。

続いてケンプトン競馬場の2鞍に行きましょう。こちらは英国のG戦では珍しいオールウェザー・コースで行われ、馬場状態は standard to slow と表示されています。
先ずセプテンバー・ステークス September S (GⅢ、3歳上、1マイル4ハロン)は7頭立て。以外にも愛ダービー馬ジャック・ホッブス Jack Hobbs が参戦してきてファンを驚かせます。クラシック制覇以来の実戦ですが、来週のニエル賞ではなく、凱旋門賞へのステップとしてここを選択。もちろんGⅠ勝ちのペナルティーが課せられますが、それでも古馬とほぼ同じ負担重量となり、当然ながら1対5の圧倒的1番人気。

レースはブービー人気(20対1)のオッシ―・レインズ Aussie Reigns が逃げましたが、これを2番手でマークした大本命、残り2ハロンでスパートすると、後方から追い込む最低人気(66対1)の4歳馬スイーピング・アップ Sweeping Up に3馬身4分の1の大差を付ける圧勝です。4分の3馬身差でジョイント4番人気(16対1)のアラブ・ドーン Arab Dawn が3着。ジャック・ホッブスは出走馬中唯1頭の3歳馬でしたが、ここでは格の違いで古馬を全く相手にしませんでした。
ジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗のジャック・ホッブス、凱旋門賞のオッズはレース前と変わらず13対2のままでしたが、フランスに遠征するか、地元に残ってチャンピオン・ステークスに向かうかは未定。それでもゴスデン師は同馬が重馬場を苦手にしていないことを考慮し、気持ちは凱旋門賞参戦に傾いている様子です。

最後はサイレニア・ステークス Sirenia S (GⅢ、2歳、6ハロン)。8頭が出走し、人気は割れて2対1で2頭が1番人気に並びました。モールコム・ステークス(GⅢ)の2・3着馬のキング・オブ・ロックス King Of Rocks とルーロー Rouleau
ジョイント6番人気(20対1)のジャズ・レジェンド Jazz Legend が逃げましたが、2番手を進んだルーローが抜け、後方から追い込むジョイント6番人気のドリーム・デスティネーション Dream Destination に半馬身差で優勝。更に半馬身差で4番人気(8対1)のアドヴェンチュラス Adventurous が3着に入り、人気の一角キング・オブ・ロックスは後方のまま6着に終わりました。

ゴドルフィンが所有するルーローはチャーリー・アップルビー厩舎、G戦ダブルとなるウイリアム・ビュイック騎乗で、モールコム3着の後、前走ヨークのリステッド戦は2着に終わっていました。晴れてG戦勝馬となり、次走はミル・リーフ・ステークスになるでしょう。

 

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