サン=クルーのG戦も終戦

前日メゾン=ラフィットG戦の終戦をレポートしたフランス競馬、昨日11月1日にはサン=クルー競馬場も一気に4鞍のG戦が行われて今期のスケジュールを終えました。
これまで11月のサン=クルーは初旬、中旬と2期に分けて開催されていましたが、今年は全部を纏めてしまったもの。従って2歳のGⅠ戦2鞍が同日に行われることになり、二つのレースを使うことは不可能になりました。

レース順に取り上げると、最初のクリテリウム・インターナショナル Criterium International (GⅠ、2歳牡牝、1400メートル)はシーズン末の2歳GⅠ戦で、上記の様にクリテリウム・ド・サン=クルーと同日になったことで距離が1600メートルから1400メートルに短縮されました。ジャン=リュック・ラガルデールとは逆のケースで、フランス・ギャロが何を考えているのかサッパリ理解できません。
今年は very soft の馬場に8頭立て。前走、これも開催時期が前倒しされたクリテリウム・ド・メゾン=ラフィット(GⅡ)を制したドンジュアン・トリオンファント Donjuan Triumphant が9対5の1番人気。

最低人気(67対1)のノー・エデュケーション No Education が逃げ、ドンジュアン・トリオンファントは後方待機。3番手に付けていた2番人気(5対2)のヨハンネス・フェルメール Johannes Vermeer が逃げ馬を捉え、同じく先行した7番人気(30対1)ストーミー・アンタルティック Stormy Antartic との叩き合いを頭差制して優勝。1馬身半差で後方から追い込んだ5番人気(131対10)のアタンデュ Attendu が3着に入り、ドンジュアン・トリオンファントも良く追い上げたものの1馬身及ばず4着に終わりました。
勝ったヨハンネス・フェルメールは、エイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗。ムーアは16時間前にキーンランドでBCに騎乗していたばかりで、この後はオーストラリアに飛んで一連のフェスティヴァルに騎乗します。世界を股に掛けた活躍で、これこそが一流ジョッキーの仕事でしょう。
ヨハンネス・フェルメールはカラーのジュヴェナイル・ステークス(GⅢ)に勝った後ロンシャンのジャン=リュック・ラガルデールで4着。前走のレーシング・ポスト・トロフィーも2着に敗れましたが、ロンシャンは1馬身チョッとの差、ドンカスターも勝馬とは1馬身半差で、条件が合えば勝っていてもおかしくない存在です。この勝利で2000ギニーのオッズは20対1に上がりました。

次も2歳GⅠ戦のクリテリウム・ド・サン=クルー Criterium d Saint-Cloud (GⅠ、2歳牡牝)2000メートル。従前より1週間早くなり、インターナショナルと同日開催になったことは既に紹介しました。こちらには10頭が参戦し、やはりオブライエン/ムーア・コンビのアイダホ Idaho が11対5の1番人気。但しこちらはカラーでデビュー勝ちしたばかりの1勝馬で、3馬身半差という内容よりも厩舎と騎手の人気が先行した印象です。
英国から遠征した2番人気(27対10)のロビン・オブ・ネイヴァン Robin of Navan が逃げ、アイダホはこれをマークして進むも伸びず、結局は4着どまりでした。最後方で直線に入った3番人気(13対5)のクロース・オブ・スターズ Cloth of Stars が追い込みましたが、ロビン・オブ・ネイヴァンの逃げ足は衰えず、2馬身半差での逃げ切り勝ち。更に3馬身差で2番手を進んだ8番人気(36対1)のノッテ・ビアンカ Notte Bianca が3着に入りましたが、この馬は吉田照哉也氏の所有馬で、小林智氏が管理する日本人コンビの2歳牝馬です。

一方、勝ったロビン・オブ・ネイヴァンはハリー・ダンロップ厩舎、トニー・ピッコーン騎乗で、前走これも開催時期が早まったコンデ賞(GⅢ)の勝馬で、それが調教師・騎手共にG戦初勝利でした。従って今回は二人にとってもGⅠ戦初制覇となります。
馬のプロフィールはコンデ賞レポートを見ていただくことにして、今回の勝利でダービーのオッズ25対1が提示されました。しかし師によればダービーには登録が無く、フランス競馬と相性が良いことから、狙いは仏ダービーで変わりません。これも前回取り上げた話題です。

続いてはフロール賞 Prix de Flore (GⅢ、3歳上牝、2100メートル)。11頭が参戦し、G戦は初挑戦ながら6歳馬のシ・ルーナ Si Luna が31対10の1番人気を集めていました。
レースは8番人気(132対10)のシークレット・パスート Secret Pursuit の逃げで始まりましたが、中団待機から一旦は最後方まで下げて直線に入ったシ・ルーナが期待通りの末脚を発揮し、これも後方から追い込む3番人気(57対10)ブーレー Bourree に4分の3馬身差を付けて人気に応えました。1馬身半差で5番手を進んだ5番人気(36対5)のペルソナ・グラータ Persona Grata が3着。

ウイリアム・モンギル厩舎、クリストフ・スミオン騎乗のシ・ルーナは、4歳時にドイツでリステッド戦を含み3連勝したことのある馬。その後勝鞍に恵まれませんでしたが、ここ4戦はフランスで走り、スミオンとのコンビで2・2・3着と入着したあと前走ロンシャンで2000メートルのハンデ戦で2年1か月ぶりの勝利。今回も同じコンビで臨み、2連勝でG戦初勝利を達成しました。

サン=クルー今年最後のG戦はパース賞 Prix Perth (GⅢ、3歳上、1600メートル)。12頭が出走し、29対10の1番人気には、ここ2戦続けてGⅠ戦(フォルマス・ステークス、ロッシルド賞)で5着しているフィントリー Fintry が選ばれていました。
レースは左右に広がって二つのグループに分かれ、スタンド側を選んだ7番人気(171対10)スティルマン Stillman の逃げ。内ラチ沿いを先行した本命フィントリーが一旦は先頭に立ちましたが、そこから失速、替ってスタンド側の中団に付けていた3番人気(53対10)のマイ・ドリーム・ボート My Dream Boat が抜け、内ラチ側の中団から伸びた10番人気(35対1)モマヤーズ Momayyaz に1馬身半差を付けて優勝。逃げたスティルマンが4分の3馬身差で3着に粘り、フィントリーは結局6着敗退に終わりました。

G戦初勝利となるマイ・ドリーム・ボートは、英国のクライヴ・コックス師が管理する3歳馬で、フロール賞に続きクリストフ・スミオン騎乗。3走前にヨークのハンデ戦に勝ち、ニューマーケットのケンブリッジシャー・ハンデでは34頭立ての11着。そして前走シャンティーのリステッド戦でスミオン騎手と初コンビを組んで快勝し、今回も同じコンビでの連勝となりました。
スミオン・マジックが冴えた最後のサン=クルーです。

シーズン末の平場G戦を一気に消化したフランス競馬、残すはローカル競馬のG戦一鞍だけとなりました。

 

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