2016年最初の土曜競馬

新年を迎えたばかりですが、アメリカの競馬シーズンは最初の土曜日となる1月2日からG戦目白押し。思えば4か月後にはケンタッキー・ダービーが行われる時期でもあり、二日前に3歳になったばかりの馬たちも早々と始動しています。
ところでいきなりのお断りですが、ブラッドホース電子版のホームページ、新年からヴィデオ映像が不調なようで、レース内容も最終オッズも伝わらない状態が続いています。ということで結果と文章によるレポートだけが情報源となりますのでご容赦ください。馬名の読み方もあるいは間違っているかもしれないことをお断りしておきます。

この日は三つの競馬場でG戦が行われましたが、最も日の出の早いフロリダはガルフストリーム・パーク競馬場から3鞍。何れも新3歳馬のG戦で、先ずはハッチェソン・ステークス Hutcheson S (GⅢ、3歳、6ハロン)。去年は1月第4週に組まれてていて、距離も7ハロンでした。フロリダ・ダービーに向ける最初のステップですが、以前のGⅡから降格され、距離短縮と、そのグレードは下降がつづいているようです。今年は fast の馬場に7頭が出走し、骨折明けながら評価の高いオーサム・バナー Awesome Banner が6対5の1番人気。
そのオーサム・バナー、スタートから先手を取ると評判通りのスピードを見せ付け、ノーホールディングバック・ベアー Noholdingback Bear に4馬身4分の3差を付ける逃げ切り勝ちで期待に応えました。1馬身差でシェイク・オブ・シェイクス Sheikh of Sheikhs が3着。
スタンレー・ゴールド厩舎、ホセ・カラバロ騎乗のオーサム・バナーは、去年6月5日にガルフストリームでデビュー勝ち。この時は4.5ハロン戦のコースレコードを更新(51秒07)しましたが、その後軽度の骨折が判明。骨片を除去する手術を施して7か月の休養を経、この日が2戦目でのステークス・デビューでもありました。今後の課題は距離の克服ですが、陣営は自信を持っている様子で、次走で距離適性が試されることになるでしょう。

続いては、牝馬クラシック戦線のスタートと位置づけられるオールド・ハット・ステークス Old Hat S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。6頭が参戦し、こちらもステークスは初挑戦となるルーシー・エヌ・エセル Lucy N Ethel が1番人気。
ハッチェソン同様、こちらもスタートから主導権を奪った人気のルーシー・エヌ・エセルが、マイ・ディア・ヴェネズエラ My Dear Venezuela に3馬身4分の3差を付ける逃げ切り勝ちです。2馬身半差でバレー・ディヴァ Ballet Diva が3着。
ラモン・プレシアード厩舎、ジョシュア・ナヴァロ騎乗のルーシー・エヌ・エセルは、11月16日にパークス・レーシングの6.5ハロン戦でデビュー勝ち。続いて12月8日には同じくパークスでアローワンス戦を13馬身差の圧勝で連勝し、これで無傷の3連勝でステークス初勝利を記録しました。次走は1月30日に行われる予定のフォワード・ギャル・ステークス(GⅡ)になる由。オールド・ハットの勝馬からはGⅠ戦で活躍した馬も多く出ていることから、この馬も期待の1頭と言えそうです。

フロリダの最後も同じく3歳戦で、今度は芝コースのダニア・ビーチ・ステークス Dania Beach S (芝GⅢ、3歳、7.5ハロン)。firm の馬場に10頭が出走し、去年のピルグリム・ステークス(芝GⅢ)で不利がありながらも微差3着したレイズ・ザ・バー Ray’s the Bar が2対1で1番人気だったようです。
コピンガウェイ Copigaway が逃げましたが、前半は7番手の内で待機していたライフ・イミティツ・アート Life Imitates Art が直線で馬群を割って追い込み、ピルグリム勝馬のアイソサーム Isotherm をハナ差捉えての優勝。1馬身半差でアーバン・バーボン Urban Bourbon が3着に入り、人気のレイズ・ザ・バーは6着敗退でした。
チャド・ブラウン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のライフ・イミティツ・アートは、これが5戦目でのステークス初勝利。デビュー戦から3戦続けて2着でしたが、10月18日のベルモントでは勝馬の失格により、繰り上がっての1着。前走11月28日にはガルフストリーム・ウエストで一般ステークス(パルピット・ステークス)で2着しており、これが2勝目となります。

次はニューヨークに飛んで、アケダクト競馬場のジェローム・ステークス Jerome S (GⅢ、3歳、1マイル70ヤード)。これもクラシックを目指す3歳馬のG戦で、fast の馬場に1頭が取り消して8頭立て。去年はG戦で連続2着しているフレキシビリティー Flexibility が1対2の断然1番人気。
スタートでドネガル・ムーン Donegal Moon が落馬するアクシデント。3頭の激しい先頭争いを4番手で控えていたフレキシビリティー、第4コーナーで前の馬を纏めて捉えると、逃げ粘るヴォーティシティー Vorticity に4馬身4分の1差を付ける完勝で人気に応えました。更に2馬身半差が開いて、イン・イークォリティー In Equality が3着。
フロリダでも新年早々G戦に勝ったチャド・ブラウン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のフレキシビリティーは、10月10日にベルモントでデビュー勝ち。11月にはアケダクトでナシュア・ステークス(GⅡ)2着、レムゼン・ステークス(GⅡ)でも2着と着実にキャリアを重ね、ここでステークスもG戦も初勝利を飾っての4戦2勝のニューヨーク産馬としてクラシックを目指します。父ブルーグラス・キャット Bluegrass Cat は、去年日本でもヴィタシア、ミリオンヴォルツと2頭のステークス勝馬(共にダートの短距離馬)を出して我が国のファンにも馴染になりましたね。

最後はサンタ・アニタ競馬場の3鞍。 サンタ・イネズ・ステークス Santa Ynez S (GⅡ、3歳牝、6.5ハロン)。こちらも fast の馬場。1頭が取り消して7頭立てとなりましたが、ソレント、メイトロンとGⅡ戦に2勝しているプリティー・エヌ・クール Pretty N Cool が本命。
そのプリティー・エヌ・クール、今回も逃げ切り策を採りましたが、2番手でマークした4対1のフォレヴァー・ダーリング Forever Darling が直線中程で本命馬を捉えると、後方から追い込むコード・ウォリアー Code Warrior を半馬身抑えて優勝。プリティー・エヌ・クールは首差で3着に終わりました。
同馬のオーナーの一人でもあるリチャード・バルタス厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のフォレヴァー・ダーリングは、9月にサンタ・アニタで初勝利を挙げると、BCジュヴェナイル・フィリーズに挑戦したほどの厩舎期待の1頭。BCは運無く8着に終わりましたが、陣営はここで勝ったのも当然と言う顔。これで4戦2勝となります。

次はミッドナイト・リュート・ステークス Midnight Lute S (GⅢ、4歳上、6.5ハロン)。例年は年末に行われてきたG戦ですが、去年は施行されず、今年は年初のレースに移動したもの。当然ながら一昨年までは3歳上が条件でしたが、今年は4歳上。1頭が取り消して6頭立てとなり、去年3月のトム・フール・ハンデ(GⅢ)勝馬でBCスプリント5着馬のサリュートス・アミーゴス Salutos Amigos が9対5の1番人気。
前回のこのレース、つまり2014年の勝馬ディスティンクトリー・パッション Distonctly Passion が逃げましたが、2番手を追走したサン・オノフレ San Onofre がこれを捉え、本命サリュートス・アミーゴスの追い上げを半馬身凌いでの優勝。更に1馬身4分の3差でプリング・ジーズ Pulling G’s が3着、ディスティンクトリー・パッションは6着に沈んでいました。
女性調教師のカレン・ヘッドレー厩舎、アレックス・ソリス騎乗のサン・オノフレは、これがG戦初勝利となる6歳せん馬。去年3月に一般ステークス(ドナルド・ヴァルプレド・カリフォルニア・カップ・スプリント)でステークスに初挑戦して2着。その後4月のサンタ・アニタでコナ・ゴールド・ステークス(GⅡ)で2着、5月にもサンタ・アニタのロサンジェルス・ステークス(GⅢ)で2着し、6月のトリプル・ベンド・ステークス(GⅠ)が4着。そのあと6か月の休養を挟み、ここで念願のG戦初勝利となりました。父サーフ・キャット Surf Cat はサン・カルロス・ハンデに2度勝った他にもサン・オノフレが2着だったコナ・ゴールド・ステークスを2006年に制した馬ですが、産駒のG戦はこれが初勝利でもあります。

今年のG戦初日の最後は、サン・ガブリエル・ステークス San Gabriel S (芝GⅡ、4歳上、9ハロン)。firm の芝コースに3頭が取り消しての11頭立て。シューメーカー・マイル(GⅠ)を2連覇し、去年のBCマイルでは9着だった8歳の古豪オビアスリー Obviously が1番人気。
そのオビアスリーが快調に飛ばし、そのまま逃げ切るかと思われましたが、第1コーナーを8番手、向正面で内から6番手に進出した46対1の伏兵フラムボヤント Flamboyant が内を衝いて伸び、本命オビアスリーをゴール寸前で首差捉えるサプライズ。2馬身4分の1差でバル・ア・バリ Bal a Bali が3着に食い込みました。
パトリック・ギャラガー厩舎、ブライス・ブラン騎乗のフラムボヤントは、フランスのローカル競馬で6戦(ジャン=クロード・ルジェ厩舎)したあと2014年にアメリカに移籍し、その年のベルモント・ダービー(GⅠ)で3着に入りファンを驚かせた馬。そのあとデル・マー・ダービー8着、トゥワイライト・ダービー4着、ハリウッド・ダービー6着と期待を裏切り、去年4歳時はデル・マー・ハンデ(GⅡ)6着のみと奮わず、今年5歳を迎えたせん馬です。ただ日本のファンにとって見逃せないのが、父がサンデー・サイレンス Sunday Silence 産駒のペールギュントであること。2002年生まれのペールギュントは2歳時にデイリー杯2歳ステークス(GⅡ)に勝ち、シンザン記念(GⅢ)にも勝ってクラシックに乗りましたが、皐月賞は6着、ダービーも15着に敗退していました。た馬。その後高松宮杯2着と言う実績もありましたが、2008年の阪神カップ12着を最後に引退し、フランスで種牡馬入りしていたもの。その代表産駒が、このフラムボヤントということでしょう。

 

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