プレッチャー師、35分でG戦3勝

今週も続く夏競馬、サラトガとデル・マーの他に、土曜日はウエスト・ヴァージニア、日曜日はモンマス・パークでもG戦が行われます。

昨日の土曜日、サラトガ競馬場では4鞍のG戦が組まれ、最初はアムステルダム・ステークス Amsterdam S (GⅡ、3歳、6.5ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。2対1に3頭が並ぶ混戦でしたが、僅かの差で前走キャリー・バック・ステークス(GⅢ)2着のバルベイドス Barbados が1番人気。
5番人気(8対1)のヴィクトリー・イズ・スイート Victory is Sweet が逃げましたが、好スタートから2番手に控えた同じ2対1のホーリー・ボス Holy Boss が外から逃げ馬を捉えると、3番手追走から内ラチ沿いに伸びる4番人気(9対2)のリクワイト Requite に2馬身4分の1差を付ける快勝。3馬身4分の3差で後方2番手を進んだバルベイドスは3着でした。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、リカルド・サンタナ騎乗のホーリー・ボスは、これが4連勝でのG戦初勝利。オークローンのアローワンス戦と一般ステークス(バチェラー・ステークス、6ハロン)、前走ピムリコの一般ステークス(シック・ラング・ステークス、6ハロン)とクラスを上げ、通算成績も8戦5勝となりました。

続いてはいきなりのGⅠ戦、アルフレッド・G・ヴァンダービルト・ハンデキャップ Alfred G. Vanderbilt H (GⅠ、3歳上、6ハロン)。7頭が出走し、GⅠ(キングズ・ビショップ・ステークス)馬のザ・ビッグ・ビースト The Big Beast を抑えてイーヴンの1番人気に支持されたのは目下5連勝中で、前走初挑戦のG戦でトゥルー・ノース・ステークス(GⅡ)を制したロック・フォール Rock Fall
レースは大外から勢いよく飛び出した4番人気(5対1)のフェイヴァリット・テイル Favorite Tale が逃げ、ロック・フォールは3番手追走。直線で先行2頭を外から捉えたロック・フォールでしたが、2番手追走から巻き返した2番人気(7対2)のザ・ビッグ・ビーストが巻き返し、2頭が並んだ所がゴール。写真判定の結果、タイミング良く首を下げたロック・フォールがハナ差でザ・ビッグ・ビーストを抑えていました。2馬身差で逃げたフェイヴァリット・テイルが3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のロック・フォールは、5月に未勝利を脱してからここまで、全て6ハロン戦に6連勝してきた4歳馬。GⅠ戦は初勝利で、G戦も2連勝、6ハロンのスペシャリストとしてBCスプリントを目指すことになるでしょう。

サラトガ三つ目のG戦、去年は7月12日にベルモント競馬場の12ハロンで行われていたボウリング・グリーン・ハンデキャップ Bowling Green H (芝GⅡ、4歳上、11ハロン)。firm の馬場に9頭が出走し、前走芝の一般ステークス(ベルモント・ゴールド・カップ)に勝ったイノヴェーション・エコノミー Innovation Economy が2対1の1番人気。
レースは5番人気(15対1)のアイアン・パワー Iron Power が逃げましたが、向正面で人気のイノヴェーション・エコノミーが骨折するアクシデント、同馬にはそのまま安楽死処置が取られるという悲劇が起きてしまいます。直線、何頭もが並んだ馬群を割って伸びたのが、前半7番手に控えていた4番人気(6対1)のレッド・ライフル Red Rifle 。4番手から外を回った2番人気(2対1)のウォー・ダンサー War Dancer に2馬身半差を付ける快勝です。更に1馬身4分の1差で3番人気(5対2)のイマジニング Imagining が3着。
勝ったレッド・ライフルはトッド・プレッチャー師の管理馬で、一つ前のロック・フォールに続いてG戦ダブル。しかもこのレースの直前に行われたウエスト・ヴァージニア・ダービーにも勝ったプレッチャー師、35分でG戦3勝と言う固め打ちです。ハヴィエル・カステラノ騎乗。同馬は去年ホーソン競馬場のダート・メインコースでゴールド・カップ(GⅡ)に勝っており、前走はカナダのウッドバイン競馬場のポリトラック・コースで土ミニオン・デイ・ステークス(GⅢ)優勝からのG戦2連勝。ダート、タペタ、芝でG戦3勝と、馬場には関係ないタイプの5歳せん馬です。

最後は真夏のダービー、トラヴァース・ステークス(GⅠ)のトライアルとなるジム・ダンディー・ステークス Jim Dandy S (GⅡ、3歳、9ハロン)。登録していた7頭夫々の思惑もあって3頭が取り消し、何と4頭立て。ベルモント・ステークス2着のフロステッド Frosted が3対5の圧倒的1番人気に支持されていました。
先ず3番人気(7対2)のジャパン Japan が逃げ、2番人気(9対5)のテキサス・レッド Texas Red が2番手につけ、フロステッドは3番手。最も人気の無い(14対1)フラメント Frammento が1頭だけポツンと置かれる展開で最初から圏外。第3コーナーを過ぎた辺りからテキサス・レットが逃げ馬に外から競り掛け、最後は追い上げるフロステッドを半馬身抜かせずに逆転勝ち。3馬身4分の3差でジャパンは3着。
キース・デサーモ厩舎、ケント・デサーモ騎乗の兄弟コンビによるテキサス・レッドは、思い出してください、去年のBCジュヴェナイル優勝馬。今年初めのサン・ヴィセンテ・ステークス(GⅡ)で2着に敗れたあと怪我で三冠シリーズを全休。漸く前走ドワイヤー・ステークス(GⅢ)2着で復帰したばかり。BC勝ちをフロック視するファンもいましたが、4頭立てとは言えベルモント2着馬を抑えたのですから、トラヴァースに勝つ資格は十分あると言えるでしょう。

次にマウンテニアー・カジノ競馬場で行われたウエスト・ヴァージニア・ダービー West Virginia Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)を取り上げましょう。fast の馬場に2頭が取り消して9頭立て。ベルモント・ステークスは6着に終わったものの、その前にピーター・パン・ステークス(GⅡ)を制しているメイドフロムラッキー Madefromlucky が僅かの差で5対2の1番人気。
40対1の伏兵アリッシーイズゴールド Alliseeisgold の逃げを6番手、6馬身差で追走したメイドフロムラッキーが大外から追い上げ、5番人気(8対1)のスーパー・コロッサル Souper Colossal に1馬身半差を付けて期待に応え、更に半馬身差で6番人気(11対1)のウォー・ストーリー War Story が3着に入りました。
こちらもトッド・プレッチャー厩舎、ジョー・ブラーヴォ気性のメイドフロムラッキーは、これがGⅡ戦2勝目。3月にはオークローン・パークのレベル・ステークス(GⅡ)でもアメリカン・フェイロー American Pharoah の2着しており、通算成績も10戦4勝2着3回3着1回としました。プレッチャー師はウエスト・ヴァージニア・ダービー初制覇。

最後はデル・マー競馬場からクレメント・L・ヒルシュ・ステークス Clemnt L. Hirsch S (GⅠ、3歳上牝、8.5ハロン)。勝馬にはBCディスタッフへの優先出走権が与えられます。1頭が取り消して8頭立て。GⅠ馬が3頭揃う豪華版でしたが、GⅠ6勝のビホールダー Beholder が1対5の断然1番人気。今期も前走アドレーション・ステークス(GⅢ)に勝って秋への準備が整いました。
先ず6番人気(16対1)のマイ・スイート・アディクション My Sweet Addiction がハナを切りましたが、向正面で4番人気(11対1)のハネー・ライド Honey Ride が先頭を奪っての逃げ。1番枠スタートのビホールダーは慌てず外に出して3番手に付け、第3コーナーでは早くも前2頭を外から交わし、直線では5番手から進出した5番人気(13対1)ヤヒルワ Yahilwa に7馬身差を付ける圧勝、貫録の違いを見せ付けました。更に4馬身4分の1差で3番人気(8対1)のウォーレンズ・ヴェニーダ Warren’s Veneda が3着。
リチャード・マンデラ厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のビホールダーは、これで2歳時から毎年GⅠを制し、5歳の今年までに何と7勝目。二つのブリーダーズ・カップ(ジュヴェナイル・フィリーズとディスタッフ)、二度のゼニヤッタ・ステークスを含め、今年もBCとゼニヤッタ3連覇を目指します。その前、8月22日に予定されているパシフィック・クラシック(GⅠ)で牡馬と対決するという嬉しいニュースも伝わってきました。

さて小生、数日間東京を離れて暑さを避ける予定ですから、日曜日の競馬レポートは欧州版も含めて東京に戻ってから。誰もが気になるアメリカン・フェイローのハスケル・インヴィテーショナルの結果は、各自電子版などでチェックしておいてください。

 

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