シーズン最初の3歳戦

シーズン・オフの無いアメリカ競馬、年が明けても最初の土曜日から各地でG戦が開幕しました。1月3日は3つの競馬場でG戦が5鞍、その内4レースは明け3歳馬のG戦で、早くも2015年のクラシック戦線がスタートしています。

南フロリダのガルフ・ストリーム・パーク競馬場で先に行われたのは、オールド・ハット・ステークス Old Hat S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。明けて3歳になったばかりの牝馬による今年最初のG戦です。fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。前走アルシバイアディース・ステークスで初黒星を喫したものの、いきなりステークス戦でデビュー勝ちし、続くスカイラーヴィル・ステークス(GⅢ)も連勝したファッション・アラート Fashio Alert が120ポンドの負担重量にも拘わらず2対5の断然1番人気。
そのファッション・アラートは1枠発走から僅かに出遅れ、やや押し気味に3頭のハナ争いに加わります。5番人気(17対1)のコンシールドウィズアキス Concealedwithakiss と3番人気(7対1)のエカティーズ・フィートン Ekati’s Phaeton の3頭が雁行するように先頭で直線に入りましたが、一番外のエカティーズ・ファエトンが一歩リードした所に4番手を追走していた4番人気のアール・サッシー・ラス R Sassy Lass が外から並び掛け2頭の叩き合い。一旦アール・サッシー・ラスが競り勝ったように見えましたが、再びエカティーズ・フィートンが内から差し返し、最後は半馬身差で優勝。人気のファッション・アラートは6ポンド重いハンデと前半の無理が祟ったか、6馬身4分の1差の3着に終わっています。
ウイリアム・カプラン厩舎、ルイス・サエズ騎乗のエカティーズ・フィートンは、去年8月にここガルフストリーム・パークで新馬勝ちした馬。続くアローワンス戦では2着以下に10馬身以上を付けて圧勝しましたが、3戦目は初めての芝コースということもあり一般ステークスで敗退。前走は再びダートに戻ってガルフストリーム・パーク・ウエストの一般ステークス(ハウス・パーティー・ステークス)で2着。ステークスも初勝利となった今回は、前走よりは軽い馬場で持ち前のスピードが活きたようです。

ガルフストリームのもう一鞍は、3歳牡馬のダニア・ビーチ・ステークス Dania Beach S (芝GⅢ、3歳、7.5ハロン)。2009年に創設された時は3歳戦で、3年続いた後に2011年には年末の2歳戦としても開催。この形でも3年間施行され、2013年には初めてGⅢに昇格していました。しかし去年は施行されず、今年から再び新春の3歳戦として復帰するという複雑な経緯を辿っています。firm の芝コースに10頭立て。12月6日にガルフストリームのデビュー戦を圧勝(2着以下に5馬身半)したスモーケム・キッテン Smokem Kitten が9対5の1番人気。
レースは最低人気(99対1)のカトゥーゾフ Kutuzov が逃げましたが、向正面では人気のスモーケム・キッテンがこれを交わして先頭。しかし直線、4番手に付けていた3番人気(6対1)のア・ロット A Lot が本命馬を交わして先頭に立って逃げ込みを図りましたが、スタートをミスしたこともあって前半は後方3番手から徐々に進出していた2番人気(5対2)のナイト・プロウラー Night Prowler が外から一気の末脚を爆発、ア・ロットを半馬身差し切っての快勝です。4分の3馬身差の3着には6番人気(9対1)のクロンインザバーバリアン Croninthebarbarian が入り、スモーケム・キッテンは6着に沈みました。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のナイト・プロウラーは、昨年秋にベルモントでデビュー。初戦は3着でしたが、2戦目に芝の7ハロンで初勝利。11月末にはガルフストリーム・パーク・ウエストで一般ステークス(パルピット・ステークス)で3着、その時2着だったクロンインザバーバリアンとは頭差でした。これがステークスも初勝利。スタートで出遅れたことで経済コースを選ぶことになり、それが末脚を温存することに繋がったようです。

続いてアケダクト競馬場からも明け3歳のG戦、ジェローム・ステークス Jerome S (GⅢ、3歳、1マイル70ヤード)。去年まではGⅡでしたが、今年からGⅢに降格されてしまいました。それでもダービーの出走権を掛けて勝馬には10ポイントが加算されます。このあと2月初旬までニューヨークではG戦が行われません。雨が降り、空は暗く、ゴール前には照明が当てられるほどのどんよりとした天候。日本なら稍重に相当する good の馬場に1頭が取り消して8頭立て。既に昨秋のケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)に勝つなど11ポイントを獲得しているエル・カビア El Kabeir が7対5の1番人気に支持されていました。
先ずは2番人気(5対2)のアストロレンカ Ostrolenka が逃げましたが、3番手に付けたエル・カビアが直線で抜け出すと、2番手追走から粘り込む3番人気(5対1)のナサ Nasa に4馬身4分の3差を付ける貫録勝ち。2着馬より3ポンド重い負担重量も問題にはなりませんでした。更に7馬身4分の3の大差が付いて6番人気(14対1)のジェネラル・ベラミー General Bellamy が3着。勝馬は芦毛で、実況アナが“グレーな一日に芦毛馬(grey)”と叫んだのは駄洒落の部類でしょうか。
ジョン・テラノヴァ厩舎、チャールズ・ロペス騎乗のエル・カビアは、8月末のサラトガで2戦目に初勝利。10月4日のシャンペン・ステークス(GⅠ)に挑戦するも4着に終わり、次走ナシュア・ステークス(GⅡ)では初めてブリンカーを装着して2着。そして2歳最終戦のケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークスに続くG戦勝利でダービー・ポイントは21に加算され、ポイント数では現時点でのトップに立ちました。

最後はカリフォルニア、サンタ・アニタ競馬場の2鞍。先ずはクラシック世代の有望な牝馬が顔を合せるサンタ・イネズ・ステークス Santa Ynez S (GⅡ、3歳牝、6.5ハロン)から。fast の馬場に9頭が出走し、3戦2勝でアノアキア・ステークス(一般ステークス)の勝馬ライト・ザ・シティーLight the City が5対2の1番人気。
レースは本命馬と同厩で3番人気(4対1)のセデュア Seduire が逃げ、ライト・ザ・シティーは3番手から。直線に向いてもセデュアの逃げは衰えず、4番手から内を衝いて伸びるコールバック Callback に2馬身4分の1差を付ける逃げ切り勝ち。4馬身4分の3差で2番手を追走していた6番人気(10対1)のエクソーエクソー Xoxo が3着、ライト・ザ・シティーは5着に終わりました。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のセデュアは、前走ゴールデン・ゲート・デビュタントを制した馬。去年は6戦し、アノアキア・ステークスでは同厩のライト・ザ・シティーの2着、G戦は8月30日にデル・マー・デビュタント(GⅠ)に挑戦して5着に終わっていました。

今年最初のGデイ、最後はサン・ガブリエル・ステークス San Gabriel S (芝GⅡ、4歳上、9ハロン)です。firm の芝コースに1頭が取り消して8頭立て。デル・マーのGⅠ戦エディー・リード・ステークスを制し、BCマイルは7着だったトムズ・トリビュート Tom’s Tribute が8対5の1番人気。
レースはブービー人気(14対1)の伏兵エッジ・オブ・リアリティー Edge of Reality が逃げ、トムズ・トリビュートは3番手待機。全馬がほぼ一団の展開の中、直線では5頭が横一線に並ぶ大混戦。これを割ったのは、前半は後方2番手で待機していた4番人気(8対1)のフィネガンズ・ウェイク Finnegans Wake 、後方3番手に付け大外から追い込むパトリオティックアンドプラウド Patrioticandproud に1馬身差を付けて優勝。4分の3馬身差で最低人気(26対1)のパワー・ぺド Power Ped が3着に入る波乱で、トムズ・トリビュートは4着に終わりました。
ピーター・ミラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のフィネガンズ・ウェイクは、11月にデル・マーでハリウッド・ターフ・カップ(芝GⅡ)に勝っていた6歳牡馬。ミラー厩舎に転向する前にはデール・ロマンス師の管理下で7月のアーリントン・ハンデ(芝GⅢ)にも勝っており、これが三つ目のG戦勝となります。ジョン・ヘンリー・ターフチャンピオンシップ(芝GⅡ)は2着、BCターフは10着と大敗していましたが、壺に嵌れば一発の怖い1頭で、陣営ではドバイ遠征も視野に入れている様子。

 

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