1月30日のアメリカ競馬(1)モヘイメン、圧巻のシーズン始動

1月最終週のアメリカ競馬は先週のような天候の影響もなく、3つの競馬場で合計8鞍のG戦が無事に行われました。
ただ、テキサス州の競馬は所謂ナイター競馬で結果の入電が遅れる予定。当方は昼前に出掛ける予定がありますので、レポートを二つに分け、先にニューヨークとフロリダをアップしてしまいます。テキサスは後程。

最初のレポートは、先週の大雪から漸く開催に漕ぎ着けたニューヨーク州のアケダクト競馬場。当初からこの日に予定されていたG戦と、2度に亘って順延されたG戦の計2鞍が行われました。内馬場には取り除かれた雪が未だうず高く積まれている状態。
先ず予定通りのウィザーズ・ステークス Withers S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)は fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。去年は2月第1週に行われた一戦です。ケンタッキー・ダービーへの10ポイント対象レースで、前走お正月のジェローム・ステークス(GⅢ)に勝ったフレキシビリティー Flexibility が1対2の断然1番人気。
レースは3番人気(5対1)のヴォーティシティー Vorticity が逃げ、フレキシビリティーは前走同様4番手から末脚を活かす作戦。しかし2番手を追走していた2番人気(7対2)のサニー・リッジ Sunny Ridge が第4コーナーで逃げ馬に並び掛けると、直線でも懸命に粘るヴォーティシティーを4分の3馬身抑えて優勝。1馬身差の3着には3番手追走の4番人気(10対1)アドヴェンティスト Adventist が流れ込み、フレキシビリティーの末脚は勢いを欠き首差の4着に終わりました。
ジェイソン・サーヴィス厩舎、マニュエル・フランコ騎乗のサニー・リッジは、シャンペン・ステークス(GⅠ)とジャックポット・ステークス(GⅢ)で共に2着しており、このG戦初勝利でポイント数は18に上昇。当然ながらケンタッキー・ダービーへ、と言いたいところですが、陣営は何故かダービーへは消極的な様子。このあとは3月5日のガッサム(GⅢ)か4月9日のウッド・メモリアル(GⅠ)を使い、むしろ頭数の少ないプリークネス・ステークスを目指したいという意向でした。

続いてはトボガン・ステークス Toboggan S (GⅢ、4歳上、6ハロン)。去年は2月7日に行われましたが、今年は1月18日から24日に順延、更に大雪のため2度目の延期となりました。18日の段階では6頭立ての予定でしたが、最終的には更に4頭が加わっての10頭立て。ステークスを2連勝中のグリーン・グラット Green Gratto がイーヴンの1番人気に支持され、カーター・ハンデを2連覇しているGⅠ馬ダッズ・キャップス Dads Caps が5対2の2番人気。2頭の実力馬が共に123ポンドのトップ・ハンデを背負い、一騎打ちの様相です。
先手を取ったのは本命のグリーン・グラット、これをダッズ・キャップスが4番手から徐々に押し上げて2番手まで押し上げて第4コーナー手前に差し掛かりましたが、ここで後方の内ラチ沿いを走っていた5番人気(18対1)のキャプテン・シリアス Captain Serious がバランスを崩して落馬、騎手(アーロン・グライダー)が馬場に叩きつけられるアクシデントが発生してしまいます(馬は無事だったようですが、騎手は病院へ。現時点でその後の結果等は入っていません)。後方の事故とは無関係のグリーン・グラットが内ラチ沿いに粘り、3番手追走の5番人気(46対1)ミワナローズ Mewannarose が外から追い込むところ、前半は後方2番手に待機していた3番人気(6対1)のサッシカイア Sassicaia が2頭の間を割って急襲し、ミワナローズを首差捉える逆転劇。半馬身差でグリーン・グラットは3着でしたが、ダッズ・キャップスは直線半ばで外にもたれるように失速し、7着と大敗に終わりました。落馬事故について審議がありましたが、入線通りで確定しています。いずれにしても波乱のトボガン、延期が続いた因縁でしょうか。
ルディー・ロドリゲス厩舎、ジョン・ビソノ騎乗のサッシカイアは、これで通算成績が15戦4勝となる5歳牡馬。ロドリゲス師はダッズ・キャップスの調教師でもあります。ステークスそのものが2014年4月以来となる2戦目で、去年の12月26日にここアケダクトでアローワンス戦に勝っていました。注目すべきは母が日本で走ったヒシアスペン(英語名 Hishi Aspen)で、サッシカイアを生産したのは日本人(アベ・マサイチロウ)です。と言っても日本では話題にはならないでしょうが・・・。

続いてクラシックへのトライアルがずらりと並んだガルフストリーム・パーク競馬場から4鞍。最初に行われたケンタッキー・オークスのポイント対象フォワード・ギャル・ステークス Forward Gal S (GⅡ、3歳牝、7ハロン)は、 fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。これがG戦デビューながら2戦2勝、合計の勝利着差が29馬身と言うカスリン・ソフィア Cathryn Sophia が1対9の圧倒的な支持を得ていました。
そのカスリン・ソフィアはスタートで安目を売り、後方2番手からの競馬となり、2番人気(5対1)のアイランド・セント Island Saint がハナを奪って直線へ。内ラチ沿いに徐々に進出したカスリン・ソフィアは、第4コーナーで外に出し、前を行く2頭を捉えると、後は独走態勢となり、逃げたアイランド・セントに4馬身半の大差を付けて見事人気に応えました。終始2番手を追走した5番人気(25対1)のバレー・ディヴァ Ballet Diva がそのまま粘り込んで4馬身4分の3差の3着。
ジョン・サーヴィス厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のカスリン・ソフィアは、10月30日にパークス・レーシングでデビュー勝ち。12月5日にはローレルの一般ステークス(ジン・トーキング・ステークス)にも勝って、これで無傷の3連勝となります。オークスへの10ポイントを獲得し、次走は2月27日のダヴォナ・デール・ステークス(GⅡ)で1マイルの距離に挑む予定。

続いては牡馬による短距離のクラシック・トライアル、スウェイル・ステークス Swale S (GⅡ、3歳、7ハロン)。去年は3月第1週に行われていましたが、今年はかなり前倒しされての開催です。6頭が出走し、前走故障明けでハッチェソン・ステークス(GⅢ)を制したオウサム・バナー Awesome Banner が4対5の断然1番人気。
そのオウサム・バナー、今回もスタートからハナを主張して先頭に立つと、4番手から追い込む2番人気(3対1)のエコノミック・モデル Economic Model に5馬身差を付け堂々の横綱相撲で期待に応えました。3番手を追走した4番人気(6対1)のリッチー・ザ・ブル Richie the Bull がハナ差で3着。
スタンレー・ゴールド厩舎、ホセ・カラバヨ騎乗のオウサム・バナーは、これで今年に入りG戦2連勝。1月2日のハッチェソンでも紹介しましたが、これで戦績は3戦3勝となり、距離も6ハロンから7ハロンへと着実に伸ばしてきました。次は2月27日のファウンテン・オブ・ユース(GⅡ)、そして4月2日のフロリダ・ダービー(GⅠ)と徐々に距離適性を試し、最終的にはダービーまで駒を進められるか、ということになるでしょう。

この日三つ目のG戦も3歳限定戦で、芝牝馬によるスイーテスト・チャント・ステークス Sweetest Chant S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。去年からGⅢに昇格しましたが、今年は good の馬場に12頭立て。BCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフ4着で、ジャスミン・ステークス(芝GⅢ)2着のサファイア・キッテン Sapphire Kitten が2対1の1番人気。
最低人気(99対1)の伏兵ゴー・ロ・ロ・ゴー Gor Ro Ro Go が逃げましたが、前半7番手に待機した3番人気(9対2)のプライストトゥーパーフェクション Pricedtoperfection が第4コーナー手前で挟まれ、更に直線でも前が塞がりながらも間を縫うように抜けると、4番手から抜け出した6番人気(9対1)のスピナミス Spinamiss に4分の3差を付けて優勝。首差で2番手を追走していた9番人気(70対1)のボーン・トゥー・ビー・ウイナー Born to Be Winner が3着に入り、サファイア・キッテンは半馬身差4着に終わる波乱でした。
勝馬を管理するチャド・ブラウン師は、何とこのレース、2012年から5連覇(2012年はデイアットザスパ Dayatthespa 、2013年プレミエ・ステップス Premier Steps 、2014年がレディー・トゥー・アクト Ready to Act で、去年はコンシューマー・クレジット Consumer Credit)。今年はジョエル・ロザリオが騎乗していました。これで5戦2勝2着1回3着1回となるプライストトゥーパーフェクションは、前々走ガルフストリームの一般ステークス(ジンジャー・ブルー・ステークス)2着からBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフに挑戦しましたが9着。これでステークスもG戦も初勝利となりました。

フロリダのトライアル・シリーズ、最後はケンタッキー・ダービーのポイント対象でもあるホーリー・ブル・ステークス Holy Bull S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。去年からGⅡに昇格しましたが、今年は6頭立て。BCには参戦しなかったものの、2歳のGⅡ戦に2勝して最強2歳牡馬に選出されたモヘイメン Mohaymen が早くもシーズン始動、1対5の一本被り本命に推されていました。
ブービー人気(50対1)のパーフェクト・セイント Perfect Saint が逃げ、モヘイメンは離れず3番手で待機。向正面中程で前の2頭の間を割って先頭に立ったモヘイメン、後は格の違いを見せ付けるように、最後は馬なりのまま2番手から粘ったグリーンポイントクルセイダー Greenpointcrusader に3馬身半差を付けて大楽勝。更に2馬身半差で最後方から4番人気(40対1)のフェローシップ Fellowship が追い込んで3着に入りました。
キアラン・マクローリン厩舎、ジュニア・アルヴァラード騎乗のモヘイメンは、これで無傷の4戦4勝。現時点ではダービーの中心馬としての地位は揺るがないものと思われます。

 

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