ルイジアナとカリフォルニア

2月20日のアメリカ競馬、大統領選と共にダービー候補選びが全米に広がる時期ですが、今週はメキシコ湾に面したニュー・オーリーンズにあるフェア・グラウンズ競馬場でクラシック・トライアルが行われています。カリフォルニアのG戦と共にレポートして行きましょう。

先ず古馬のマインシャフト・ハンデキャップ Mineshaft H (GⅢ、4歳上、8.5ハロン)から。fast の馬場でしたが1頭が取り消して4頭立ての小頭数。去年のルイジアナ・ダービーを制したあと故障で戦列を離れ、前走で久し振りに一般ステークス(ルイジアナ・ステークス)を制した4歳馬インターナショナル・スター International Star が3対5の断然1番人気。
スタートは少し遅れたものの、1番枠を利して最低人気(と言っても6対1)の古豪マジェスティック・ハーバー Majestic Harbor がハナを主張して先頭に立ち、レースを引っ張ります。しかしこの日は快調に飛ばしたマジェスティック・ハーバー、最後方を進んだ2番人気(2対1)イーグル Eagle の執拗な追い上げを懸命に凌ぎ、ゴール板では頭差のリードを保っての逃げ切り勝ちでした。2馬身差で3番人気(5対1)のポイント・パイパー Point Piper が3着に入り、3番手に付けたインターナショナル・スターは何故かパンチを繰り出せず最下位敗退。
ポール・マギー厩舎、コーリー・ラヌリー騎乗のマジェスティック・ハーバーは、去年4月のアローワンス戦以来となる勝星で7連敗に終止符を打ちました。一昨年6歳時にはサンタ・アニタのゴールド・カップ(GⅠ)に勝ったGⅠ馬で、やはり一昨年のトーキョー・シティー・カップ(GⅢ)と併せてG戦は3勝目となる8歳馬です。前走は本命馬が制したルイジアナ・ステークスで5着でしたが、接触が響いての敗退。今回はスムーズなレース運びで久々のタイトルを獲得しました。

続いては牝馬のクラシック・トライアルの一つとなるレーチェル・アレキサンドラ・ステークス Rachel Alexandra S (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。去年までのGⅢから今年はGⅡに格上げされ、トライアルの重要度もアップしました。オークスのポイントも50-20-10-5と一ランク上がっての前哨戦です。9頭が出走し、前走このレースのトライアルとなるシルヴァーバレットデイ・ステークス(一般ステークス)に勝って連勝を目指すステージプレイ Stageplay が3対5の被った1番人気。
レースは、スタートから終始外の6番人気(28対1)ラヴァブル・ライス Lovable Lyss と内の7番人気(29対1)フィンリーズラッキーチャーム Finley’sluckycharm との激しいハナ争いとなり、両馬譲らず直線。自ずとペースが速くなったこともあり、3番手を追走していた4番人気(8対1)のミッドナイト・オナカニー Midnight On Oconee が抜け出して押し切るかに見えましたが、終始離れた最後方を走っていた最低人気(74対1)のヴィーナス・ヴァレンタイン Venus Valentine が直線では内ラチ沿いからあっという間に追い上げると、ゴール直前でミッドナイト・オナカニーを1馬身差捉える大波乱。半馬身差で3番人気(7対1)のシェイクン Shaken が3着に入り、人気のステージプレイは4番手追走も伸びず5着敗退。勝馬の末脚が切れたというより、前に行った馬が急速にバテた印象でした。前走サンタ・イネズ・ステークス(GⅡ)に勝ったあと吉田勝巳氏が購入して2番人気(5対1)に支持されたフォレヴァー・ダーリング Forever Darling は最下位に惨敗。
トーマス・エイモス厩舎、マインシャフトに続きG戦ダブルとなるコーリー・ラヌリー騎乗のヴィーナス・ヴァレンタインは、去年6月にエリス・パークでデビュー勝ちした馬ですが、その後の3戦では全て4着以下。アーリントン・ワシントン・ラッシー・ステークスは4着、前走フェア・グラウンズのアローワンス戦も4着からのサプライズでした。

一方芝コースで行われたのが、フェア・グラウンズ・ハンデキャップ Fair Grounds H (芝GⅢ、4歳上、約9ハロン)。firm の馬場にここも9頭が参戦し、去年勝馬チョコレート・ライド Chocolate Ride が6対5の1番人気。
そのチョコレート・ライド、スタートから先頭に立ってペースを作ります。ジョイント2番人気(3対1)のデパーティング Departing が2番手を追走しましたが、直線ではこれを更に引き離すと、同じく2番人気で並んでいたローマン・アプルーヴァル Roman Approval の追い込みを4分の3馬身抑えて見事連覇達成です。1馬身差でデパーティングが3着に粘り、こちらは極めて順当な結果。
ブラッド・コックス厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のチョコレート・ライドは、これがG戦4勝目となる6歳馬。去年はフェア・グラウンズ・ハンデでG戦初勝利を挙げた後、3月末のメルヴィン・ミュニッツ・ジュニア・メモリアム(芝GⅡ)にも優勝。今期も1月にカーネル・ブラッドリー・ハンデ(芝GⅢ)を制しており、G戦4勝は全てフェア・グラウンズの芝コースでのものというコース・スペシャリストです。より詳しいことは今年1月17日の日記をご覧下さい。

フェア・グラウンズの最後は、ケンタッキー・ダービーのポイント対象(勝馬は50ポイント)となるリズン・スター・ステークス Risen Star S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。2頭が取り消して11頭立てとなり、去年ケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)を含めて既にG戦を2勝しているエアフォース Airforce がペナルティー6ポンドを背負いながらも8対5の1番人気。
レースは8番人気(34対1)のキャンディー・マイ・ボーイ Candy My Boy が大外枠スタートから思い切っての逃げ作戦、先頭のまま直線に入ります。しかし前半4番手から3番手へと徐々に順位を上げた3番人気(5対1)のガン・ランナー Gun Runner がこれを直線半ばで捉えると、追い込む9番人気(40対1)のフォレヴァモー Forevamo に半馬身差を付けて優勝。1馬身差で2番人気(5対2)のルコント・ステークス(GⅢ)勝馬モー・トム Mo Tom が3着に入り、エアフォースは10着大敗に終わりました。外から被されて一旦チェックしたモー・トムには惜しいレース。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、一つ前のフェア・グラウンズ・ハンデに続きフロラン・ジェルー騎乗のガン・ランナーは、これで4戦3勝となる評判馬。2歳時は9月にチャーチル・ダウンズでデビュー勝ち。2連勝して臨んだケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークスはエアフォースの4着でシーズンを終え、これがシーズン・デビューでのステークス初勝利。50ポイントを獲得したこともあって、ダービーのポイント競争でいきなりトップにのし上がってしまいました。次走に3月26日のルイジアナ・ダービー(GⅡ)を予定しており、ここからケンタッキーというローテーションになるでしょう。

そしてカリフォルニア、サンタ・アニタ競馬場からはブエナ・ヴィスタ・ステークス Buena Vista S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)一鞍です。去年はプレジデンツ・デイに行われた一戦、good の馬場に3頭が取り消して11頭立て。デル・マー・オークス(芝GⅠ)2着で明け4歳になったハー・エミネンシー Her Emmynency が3対1の1番人気。
レースは、奇しくも今日のフェブラリー・ステークスでも人気になる馬と同じ馬名のモーニン Moanin が大外から飛ばして先頭で逃げましたが、前半2番手に控えていた3番人気(7対2)のポーリーナズ・ラヴ Paulina’s Love が第3コーナーでこれを捉えて先頭に立つと、直線でも主導権を維持し、後方3番手から追い上げる同じ7対2で2番人気のストーミー・ルーシー Stormy Lucy を首差抑えての優勝。1馬身4分の3差で7番手を進んだ4番人気(6対1)のケリー・ベル Keri Belle が3着に入り、4番手を追走したハー・エミネンシーは4着のままに終わりました。
リチャード・バルタス厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のポーリーナズ・ラヴは、去年7月のデル・マーでサン・クレメンテ・ハンデ(GⅡ)でプライズ・イクジビット Prize Exhibit (今回は5番人気で6着)の3着したものの、デル・マー・オークスは7着敗退。そのあとはレース間隔を2か月空けることに努め、10月にはサンタ・アニタのオータム・ミス・ステークス(GⅢ)で2着、前走のアローワンス戦に圧勝。ここ3戦で2勝2着1回と好成績。オーナーはKMレーシングと言いますが、実は日系アメリカ人のケンジ・モリナガ氏が所有する馬。氏は去年12月に中京のチャンピオンズ・カップにインペラティヴ Imperative を送り込んだオーナーと言えば、日本のファンにも親しみが持てるでしょう。

 

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