日本モーツァルト協会・例会
日本モーツァルト協会という団体があることはよく知っています。随分歴史もあるのじゃないでしょうか。しかし私はその種の団体とはあまり縁がなく、その例会に参加したのは初めてのことでした。
これはクァルテット・エクセルシオの大友肇氏からご案内をいただき、臨時会員券よりは格安で入場できます、ということで出かけたのです。
後で知ったのですが、例会は、通常、東京文化会館小ホールで、午後6時15分開場、6時45分開演の由。この日もその通りでした。演奏曲目は、
日本モーツァルト協会 3月例会(通算497回例会)
クァルテット・エクセルシオ
モーツァルト/弦楽四重奏曲二長調 K.155
モーツァルト/弦楽四重奏曲イ長調 K.464(ハイドン四重奏曲第5番)
~休憩~
モーツァルト/弦楽四重奏曲二短調 K.173
モーツァルト/弦楽四重奏曲二長調 K.499「ホフマイスター」
というものです。
6時45分開演はギリギリなので、家内に“早めに行って、良い席を取っておいてよ”と頼んでおきました。入口で招待状を出すと、“自由席ですからどうぞお入りください”という。
で、中を覗いたらビックリ仰天。ほぼ満員に近いほど、席はビッシリ埋まっています。家内は何処か? と暫く探し回りましたが見つからず、何とか空席のある最後列に潜り込みます。と、5分ほどすると、ノコノコと家内が来場、みっともなく手を振って、目出度く隣に着席。
“随分ごゆっくりですねぇ” “エクセルシオはいつも空いているから安心していたのに、凄い人ねぇ~”、と朝の約束はまるで覚えていない様子。まぁ、いいでしょう。リタイヤ主婦もいろいろ忙しいようだし・・・。
こんな具合で、ほぼ満席状態。客層は圧倒的に高齢者が多い。私のように職場から直行なんてのは、ほとんどいません。なんじゃこりゃ。
モーツァルトが好きなのは老人ばかりなのか、老人はモーツァルトしか聴かないのか、モーツァルト協会の例会は初体験なので、チョッと読めません。
さて、
エクセルシオのモーツァルト、それは素晴らしいものでした。一番ウシロの席でも、演奏のキレの良さ、フレージングが完璧に揃っていること、音程の確かさ、モーツァルトに必要なブリオ、全てを備えていることがよく伝わってきます。
特に後半の2曲、これは稀代の名演と絶賛して憚りません。ヴィーン四重奏の1曲、短調の名品は彼らの定期でも演奏していますし、フィナーレにフーガを持つ、明らかにハイドンの作品20からの影響がある隠れ名曲を、ほとんどハイドン・セット並みの大作レヴェルにまで引き揚げてしまったエクセルシオに唖然。
最後のホフマイスターも最高の出来じゃないでしょうか。寸分の隙もなく、それでいてモーツァルト音楽の喜悦がビシビシと伝わってくるスリル。こんなホフマイスターは滅多に聴けるものではありません。
後で気が付きましたが、今日の4曲はいずれもDを基調にしています。ハイドンセットのイ長調も、最も長く核になる第3楽章は二長調で書かれているんですからね。心憎い選曲です。
ところが不思議なのが聴衆の反応。拍手はお義理というか、終われば直ぐに席を立つ人たちも大勢いますし、モーツァルトを楽しむというより、お勉強だから来た、という感じなのです。従って、エクセルシオも二度カーテンコールに出ただけで、アンコールをするような雰囲気じゃありません。
変なのぉ~、あの人たち音楽が解って聴いているのかなぁ。まるで帰るのが目的で来たみたい。それなら最初から来なきゃいいのに。
音楽と演奏の質は最高なのに、お客さんは????? 妙な体験を味わった演奏会ネタでした。
私はエクセルシオの再登場がない限り(今回は二度目だったようですが)、この例会には二度と行かないと思いますが、もし行かれる方、良い席で聴きたければ、早めに行って並んだほうがよいですよ。
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