最後のクァルテット・ウェンズデイ
オーケストラ3連荘が一息ついたと思ったら、今度はクァルテット2連荘です。何とも恥ずかしい限りで・・・。
昨日は水曜日恒例、晴海にある第一生命ホールの例会、クァルテット・ウェンズデイを聴いてきました。タイトルにある「最後の」というのは、2007/2008シーズンの最終回である、という以外に、“クァルテット・ウェンズデイ”という看板では最後のコンサートだったからです。
即ち、来る2008/2009シーズンから、この例会は水曜日には行われません。SQWのW(Wednesday)が意味を失うわけですが、チャッカリとウィークエンドのW(Weekend)とすり替え、SQWには変化がありません。
ま、水曜日では集客が難しいということなんでしょうが、週末はコンサートが集中する時間帯、これはこれでクラシック・ファンには辛いものがあります。却って集客にはマイナスになる危険も。
正直、私としても他とバッティングしてパスせざるを得なくなる公演も出てくるのではないかと、憂慮している次第。
昨夜のプログラム、
第65回クァルテット・ウェンズデイ
プレアデス・ストリング・クァルテット ベートーヴェン連続演奏会Ⅲ
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第5番 イ長調 作品18-5
~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第15番 イ短調 作品132
ベートーヴェン・ツィクルスの3回目ですが、前の2回とも日記にアップしています。毎度のことで繰り返しになるかも知れませんが。
プレアデスは、このベートーヴェン全曲演奏会を契機に改名して再スタートした団体。東京芸術大学の先生たちで結成されたクァルテットです。プレアデスQ、ここ晴海のアドヴェント・セミナーでも毎年講師を務めていますから、生徒さんも多い。従って、プレアデスの会は客席も中々に賑やかです。
第1ヴァイオリンの松原勝也は芸大助教授、ヴィオラの川崎和憲とチェロの山崎伸子は芸大准教授という肩書きです。第2ヴァイオリンの鈴木理恵子は教職には就いていないようですが、松原夫人ですしね、かつて新日本フィルのコンサートマスターを並んで務めていた間柄でもあります。彼女は現在は読売日響の客員コンマスでもあります。
ヴィオラの川崎氏は、最初は東フィル、後にN響の首席ヴィオラを務めた人ですから、彼もオーケストラ活動に長く携わってきています。今日の客席には、現N響コンマスの一人、Y氏の姿もありました。
ということで、プレアデスは実に上手いです。技術は当然のこと、クァルテットとしての活動も年を重ね、この点でも達者になってきていますね。
ベートーヴェン解釈も、前半の作品18は殊更に柔らかく、典雅な雰囲気を出すべく取り組んでいました。これに対し後半の作品132は、現代楽器の能力を一杯に出し切り、理想的なベートーヴェンを聴かせます。
あと2回残っていますが、プレアデスのベートーヴェンは、良くも悪くも、お手本となるべき演奏と言えるでしょう。テンポは早くも遅くもなく、中庸。往年の名団体などに比べれば、やや速目ですかね。
ただ、教授たちのお手本演奏、という意識で聴いてしまう所為か、聴いた後に残る満足感がやや薄いかな、というのが私のこれまでの印象です。少し贅沢な感想なんですが、近年の弦楽四重奏界は大変な激戦区で、古典とエクセルシオは夫々独自のベートーヴェン像を描いていますし、パシフィカ、クス、ミロなど海外組も、晴海で個性的、かつ見事なベートーヴェンを聴かせてくれました。
今日の曲目。回りから “さんご・じゅうご、っていう洒落かな” という声も聞こえてきました。
それよりも最初の2曲、二長調で始まってイ長調、イ長調は緩徐楽章である第3楽章が二長調ということで、気が付きませんか。
そう、前日のエクによるモーツァルト・プロ、その前半と同じ調整関係になってました。もちろん偶然なのですが、ベートーヴェンの作品18の5はモーツァルトのハイドン・セット5番を手本にしている、というこの日の曲目解説(渡辺和彦氏)の生きた手本になっているではありませんか。個人的には、これがこの夜の大収穫でした。
最後に奏者の並びについて。これまで意識していませんでしたが、今日は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順でした。プレアデス、これまではヴィオラが右端じゃなかったかしら。記憶が定かじゃありません。登場した時に、アレッ、と思ったこと。
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