雨のメゾン＝ラフィットは大荒れ
４月７日の木曜日、フランスのメゾン＝ラフィット競馬場で二つのクラシック・トライアルが行われました。例年ここから英仏ギニーを目指す馬が登場してきますが、今年はどうでしょうか。
馬場は相変わらず重く heavy 。先に行われたジェベル賞 Prix Djebel (ＧⅢ、３歳牡せん、１４００メートル)は男馬による７ハロン戦で、７頭が出走してきました。
英国から遠征したミル・リーフ・ステークス(ＧⅡ)勝馬のリブチェスター Ribchester と、ロシェット賞(ＧⅢ)勝馬のアタンデュ Attendu が実績上位ですが、１９対１０の１番人気に支持されたのは２戦１勝のヴェデヴァニ Vedevani 。２戦目のシェーヌ賞(ＧⅢ)では２着でしたが、勝ったクロース・オブ・スターズ Cloth of Stars が先週のラ・フォース賞(ＧⅢ)を制したことも人気の要因でしょう。
６番人気(１５対１)のサインズ・オブ・サクセス Signs of Success がスタート良く飛び出しましたが、１ハロン行ったところで５番人気(１１５対１０)のシェイケルジャック Cheikeljack が替って先頭。勝負所、後方に待機していた２番人気(１２対５)のリブチェスターがスパートを掛けたものの右ムチに驚いたか急激に左に斜行、連れて追い上げを開始していたヴェデヴァニの進路を妨害するアクシデント。
リブチェスターはそのまま逃げ馬を追走しましたが脅かすまでには至らず、シェイケルジャックがリブチェスターに１馬身４分の１差を付ける逃げ切り勝ち。首差の３着に先行した３番人気(５４対１０)のアタンデュが続き、不利を被ったヴェデヴァニは５番手での入線でした。しかし明らかに進路妨害が認められたため、リブチェスターは最も大きな被害を受けたヴェデヴァニの後、５着降着となります。アタンデュが２着、４番手入線の４番人気(１７対５)ムーン・トラブル Moon Trouble が３着と夫々繰り上がりました。
アンリ＝アレックス・パンタル師が管理するシェイケルジャックは、今回が初コンビとなるヴィンセント・シェミノー騎乗。去年ローカル競馬のリオン・ダンジェールでデビューから２連勝し、Ｇ戦初挑戦でサン＝クルーのトーマス・ブライアン賞(ＧⅢ)３着でシーズンを終えていました(ここまではファブリス・ヴェロン騎乗)。今期は既にサン＝クルーのオムニアム賞(リステッド戦)で５着しており、一叩きされた仕上がりと、重馬場での先行策が奏功してのＧ戦初勝利と言えそうです。一方５着降着となったリブチェスターは２戦目のジムクラック・ステークス(ＧⅡ)２着でも大きく斜行した前科があり、若さを露呈した印象でした。
続いて牝馬のギニー・トライアルとなるアンプルーダンス賞 Prix Imprudence (ＧⅢ、３歳牝、１４００メートル)。有力馬の１頭でマルセル・ブーサック賞(ＧⅠ)５着、英国のケイティーズ・ダイアモンド Katie’s Diamons と、もう１頭が重馬場を嫌って取り消し、１１頭立て。本命馬不在の混戦から、ここまで２戦２勝の新星オカナ Okana が１４対５の１番人気に支持されていました。２連勝と言っても何れもタペタ・コースでのもので、初の芝コースでＧ戦も初挑戦という死角が伴います。
レースは５番人気(８４対１０)のミッドウィーク Midweek が逃げ、これを追走していたブービー人気(２３対１)のスペクトル Spectre が交わして先頭。最後は先行２頭の抜きつ抜かれつの叩き合いとなりましたが、結局スペクトルがミッドウィークに４分の３馬身競り勝つというサプライズ。２馬身半差で９番人気(１５対１)のロセイ Rosay が後方から３着に食い込むという大波乱となりました。人気のオカナは後方のまま伸びず８着敗退。こちらも重馬場が生んだ番狂わせと言えそうです。
勝ったスペクトルはドイツ調教馬で、管理するのは Markus Munch という方。「ミュンシュ」と発音するのか「ムンク」と読むのかは不明ですが、度々フランスに管理馬を送り込んでいるようです。
スペクトルは８月のドーヴィルでデビューして４着。２戦目もフランスのローカル競馬で、独仏国境地帯のストラスブールの１５００メートル戦で初勝利。去年の最終戦もフランスで、サン＝クルーでの条件戦で２着し、今回がシーズン・デビューでした。２歳時は何れも鞍上が替っていましたが、今回は２戦目で勝った時にコンビを組んでいたピエール＝シャルル・ブードーが騎乗。ブードー騎手では２戦２勝となります。
このまま仏１０００ギニーに挑戦するのか、地元ドイツのクラシックを目指すのか、詳しいレポートは入っていません。４代母にドイツ・オークス馬イドリッサ Idrissa を持つドイツの「Ｉ」ファミリー出身。
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