メゾン=ラフィットのギニー・トライアル
去年も同じようなタイトルの日記を書いていますが、今年もメゾン=ラフィット競馬場で二つのクラシック・トライアルが行われました。昨日の木曜日。
先に行われたジェベル賞 Prix Djebel (GⅢ、3歳牡せん、1400メートル)は英仏ギニーに向けたトライアル戦。去年の勝馬マクフィー Makfi が見事に英2000ギニーを制したのは記憶に新しいところでしょう。
今年は6頭立て。イーヴンの1番人気に支持されたのは、今シーズン既に3戦し、前走ドーヴィル競馬場のリステッド戦に勝ったレデンプター Redemptor でした。使われた強みが買われたのでしょう。
レースはレデンプターと、その同厩(ジャン=クロード・ルジェ厩舎)ハヴァナ・スモーカー Havane Smoker の一騎打ちに見えた時、スタンド寄りの外からスルスルと脚を伸ばしたサーフライダー Surfrider が纏めて交わした所がゴール。鞍上オリヴィエ・ペリエの好騎乗が光りました。
頭差2着にハヴァナ・スモーカー、更に1馬身半差で本命レデンプターの順。勝ったサーフライダーは61対10の3番人気でした。
サーフライダーはエリック・リボー師の管理馬、師にとってジェベル賞は初制覇となります。同馬は2歳時にシェーヌ賞(GⅢ)で3着しており、G戦は二度目の挑戦での初勝利でした。また同じシェーヌ賞で2着だったのがこの日の2着馬ハヴァナ・スモーカー。ここで雪辱を果たしたことになります。名手ペリエにとってジェベル賞は9年振り4勝目。
陣営では英2000ギニーには向かわず、5月15日に予定されている仏2000ギニーを目標にする由。
続いて行われたアンプルーダンス賞 Prix Imprudence (GⅢ、3歳牝、1400メートル)は11頭立て。ジェベル賞以上にクラシックに繋がる一戦でもあります。
ここもイーヴンの断然1番人気に支持されたのは、去年のマルセル・ブーサック賞(GⅠ)で初黒星(2着)を喫したエレボリーヌ Helleborine 。負けたとは言え1000ギニーに最も近い存在と目されている馬です。
しかし結果はデイヴィー・ボニラ騎乗で先手を取った2番人気(26対5)ムーンライト・クラウド Moonlight Cloud が本命馬を寄せ付けず、2馬身差を付けて快勝。エレボリーヌから1馬身差3着には伏兵ミス・フィフティー Miss Fifty が入りました。
レース後エレボリーヌ陣営から1000ギニー出走は未定とのコメントが出されています。
同馬を管理するクリティック・ヘッド=マーレク女史は英1000ギニーを既に4勝しており、1983年のマ・ビッシュ Ma Biche と1988年のラヴィネラ Ravinella はアンプルーダンスに勝って渡英、1992年のハトゥーフ Hatoof はアンプルーダンス2着からの挑戦、そして去年のスペシャル・デューティー Special Duty は3着敗退からの巻き返しでクラシック制覇を成し遂げています。
これまでの実績から判断すれば、エレボリーヌの2着は必ずしも否定的な材料とは言えないでしょう。この一戦での良化は充分に有り得ると思われます。
一方勝ったムーンライト・クラウドは、ヘッド女史の弟になるフレディー・ヘッド師の管理馬。ヘッドは騎手時代にはアンプルーダンス賞を10勝もしていましたが、調教師としては初勝利となります。
こちらは2歳時、牝馬ながらジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)に挑戦して1番人気に支持され、ウットン・バセット Wootton Bassett の4着していた馬。これで4戦3勝となり、ヘッド師は高らかに英1000ギニー挑戦を宣言しました。これを受けてオッズは8対1に上がっています。
以上、昨日のメゾン=ラフィットでは英1000に向けて大きなステップが刻まれました。ヘッド姉弟の対決がニューマーケットでも実現するのか、今年の話題の一つでしょう。
最近のコメント