キーンランドもGⅠの祭典

次は、昨日の金曜日に春開催がスタートしたキーンランド競馬場。ニューヨークとほぼ同時進行でG戦5鞍が進んでいましたが、現地映像が相変わらず劣悪。ここでは英国のレーシング・ポスト電子版のオッズを参照しながらレポートして行きましょう。

最初は第6レースのアシュランド・ステークス Ashland S (GⅠ、3歳牝、8.5ハロン)。もちろんケンタッキー・オークスを目指す牝馬たちの最後のステップ・レースで、fast の馬場に5頭立てながらGⅠ馬のレーチェルズ・ヴァレンティーナ Rachel’s Valentina と無敗馬キャスリン・ソフィア Cathryn Sophia の一騎打ち、固いレースと思われていました。後者が1対2の1番人気、前者は13対5の2番人気で続きます。
レースは3番人気(37対10)のカリーナ・ミア Carina Mia を加えた3頭が雁行するように直線に入り、最後は人気2頭のマッチレースに持ち込まれたと見えた時、前半は大きく離された最後方を追走していた4番人気(30対1)のウィープ・ノー・モア Weep No More が信じられないような末脚を繰り出し、関係者もあっと驚く快走でレーチェルズ・ヴァレンティーナを首差捉える大サプライズ。同じく首差でキャスリン・ソフィアは3着でした。
ジョージ・アトフィールド厩舎、コーリー・ラヌリー騎乗のウィープ・ノー・モアはこれで4戦3勝。オークスの下馬評にも挙がっていなかった1頭ですが、2代母はケンタッキー・オークス馬のフルート Flute と背景は充分。果たしてオークスに挑むのか、どのようなレースをするのか俄かに興味が沸いてきました。

第7レースのコモンウェルス・ステークス Commonwealth S (GⅢ、4歳上、7ハロン)は10頭立て。去年夏にサラトガでアムステルダム・ステークス(GⅡ)に勝ち、BCスプリントでも4着と健闘したホーリー・ボス Holy Boss が3対1の1番人気。
そのホーリー・ボスが逃げ作戦で直線に入りましたが、前半は5番手、更に3番手へと順位を上げた3番人気(43対10)のエイミズ・フラッター Ami’s Flatter が直線に入って抜け出し、2番人気(7対2)のレディー・フォー・ライ Ready for Rye に2馬身4分の3差を付ける楽勝。頭差でホーリー・ボスは3着を死守しました。
ジョシー・キャロル厩舎、今回が同馬に初騎乗となるマーチン・ガルシアが手綱を取ったエイミズ・フラッターは、カナダ産の4歳牡馬。去年3歳時はタンパ・ベイ・ダービー(GⅢ)で2着、フロリダ・ダービー(GⅠ)でも3着していましたが、得意の7ハロンではこれで3戦3勝と負け知らずです。通算成績は10戦3勝2着2回3着1回、G戦は初勝利となりました。

続いてダ8レースがシェイカータウン・ステークス Shakertown S (芝GⅡ、4歳上、5.5ハロン)。去年までGⅢでしたが、今年から格上げされました。good の馬場に12頭のフル・ゲート。去年の4着馬で短距離戦に2連勝中の豪州馬パワー・アラート Power Alert が29対10の1番人気。
レースは10番人気(34対1)の伏兵レイテント・リヴェンジ Latent Revenge が飛ばしましたが、3番手を進んだ去年の勝馬サムシング・エクストラ Somethin Extra が先頭で直線。しかし後方から大外を通って一気に差を詰めた2番人気(7対2)のアンドフテッド Undrafted が纏めて前を交わすと、サムシング・エクストラの連覇の夢を半馬身砕いての優勝。更に半馬身差で8番人気(175対10)のコミュート Commute が3着に食い込んでいます。
勝馬を管理するのは積極的に海外遠征を試みているウェスリー・ワード師。アンドラフテッドも去年のロイヤル・アスコットでダイヤモンド・ジュビリー・ステークス(GⅠ)を制したことは英国編で紹介した通り。去年のBCターフ・スプリントでも5着していましたね。騎乗したのはジョー・ブラーヴォ。

この日のGⅠ戦二つ目は、豪華メンバーが揃ったマジソン・ステークス Madison S (GⅠ、4歳上牝、7ハロン)。2頭が取り消して11頭立てとなり、BCディスタッフなどGⅠ3勝のストップチャージングマリア Stopchargingmaria が12対5の1番人気。同じくBCフィリー・アンド・メアを制したウェイヴェル・アヴェニュー Wavell Avenue も41対10の2番人気と負けていません。
8番人気(112対10)のエンシャンティング・レディー Enchanting Lady が逃げましたが、前半は夫々5・6番手を進んでいたストップチャージングマリアと5番人気(84対10)のシーア・ドラマ Sheer Drama が直線で外目を通って抜け出す一騎打ちとなり、一旦は先頭に立ったストップチャージングマリアをシーア・ドラマが再び差し返すスリリングな争い。最後はシーア・ドラマが首差で制し、2馬身差の3着にもウェイヴェル・アヴェニューが入るという理想的な3強対決となりました。この日全米で一番の好レースだったと言えそうです。
デヴィッド・フォウクス厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のシーア・ドラマは、これがデラウエア・ハンデ、パーソナル・エンサイン・ステークスに続く三つ目のGⅠ制覇。去年のBCディスタッフではストップチャージングマリアの4着でしたが、2ポンド差の負担重量で雪辱を果たしました。1・2着共にこれがシーズン初戦。今年も古馬牝馬の熱い戦いは健在のようです。

キーンランドの最後は、ダービー100ポイント対象のブルー・グラス・ステークス Blue Grass S (GⅠ、3歳、9ハロン)。フルゲート14頭を2頭オーバーする16頭が登録していましたが、結局賞金順に2頭が除外となって14頭立て。前走ファウンテン・オブ・ユース・ステークス(GⅡ)でモヘイメン Mohaymen に敗れるまでは無敗だったズールー Zulu が2対1の1番人気。
逃げたのはラオバン Laoban (書いている時点ではオッズ不明)でしたが、後方を進んだ4対1(恐らく2番人気)のブロディーズ・コース Brody’s Cause が一気に抜け出し、ニューヨークから遠征してきたマイ・マン・サム My Man Sam に1馬身4分の3差を付けてダービーへの切符を手にしました。頭差の3着は勝馬と同厩のチェリー・ワイン Cherry Wine が入り、ズールーは12着と大敗に終わっています。
デール・ロマンス厩舎、ルイス・サエズ騎乗のブロディーズ・コースは、去年秋に同じキーンランドでブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)を制して以来の勝鞍。その間BCジュヴェナイルは3着、シーズン初戦となる前走タンパ・ベイ・ダービー(GⅡ)は7着凡走からの巻き返しで二つ目のGⅠ制覇となりました。

 

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