群馬交響楽団・東京公演

コンサート3連荘の最後、すみだトリフォニーホールで群馬交響楽団の東京公演を聴いてきました。最後に相応しく、また復活祭当日にも適った、ブリテンの戦争レクイエムです。
群馬交響楽団 東京公演(地方都市オーケストラ・フゥスティヴァル2008特別参加)
 ブリテン/戦争レクイエム
  指揮/高関健
  ソプラノ/木下美穂子
  テノール/吉田浩之
  バリトン/福島明也
  合唱/群馬交響楽団合唱部
  児童合唱/高崎市立京ヶ島小学校合唱部
  合唱指揮/阿部純
群馬交響楽団を聴くのは、実は初めて。ごめんなさい、機会はありながら足を運んだことがないのです。毎年この時期の地方都市オーケストラ・フェスティヴァルにも毎年参加していますが、何故か縁がなかったですね。
しかし今年は聴かなければならない機会。曲目もブリテンの滅多に聴けない大作ですし、音楽監督・高関氏はこの3月31日で退任しますからね。チケットも売り出し日に一番でゲットしました。1階10列のど真ん中という良席です。
この作戦、ズバリ的中でした。ブリテンのレクイエムは、もちろん合唱を含む大編成ですが、一方で室内オーケストラによる部分が多く、遠い席では微妙なアンサンブルを聴き取るのが難しくなります。更に児童合唱、離れた場所に置くことがブリテンの指示ですから、この日何処で歌われるのかは知りませんが、席選びを失敗すると作品の真価が味わえなくなります。
そこでまず児童合唱の位置をチェック。これはホール最上階、ステージから一番遠いところに位置していました。1階なら正に天から降ってくる天使の声が聴けそう。
室内オーケストラは指揮者の右手。10列目ですから、これもバランスはバッチリでしょう。
このホールは比較的に舞台が狭いですから、ステージ一杯に奏者が並びます。マエストロ高関は拘りの人。全てブリテンが楽譜に指定した通りに演奏していました。
例えば合唱の立ち・座り。これもスコア通り、第1曲「レクイエム・エテルナム」と第5曲「アニュス・デイ」は seated ですし、他は stand 。
オルガンは、第6曲「リベラ・メ」の前半、戦場を描いている部分ではホール備え付けのパイプオルガンを使用、他の児童合唱を支えるものは、1階からは見えませんでしたが、恐らく最上階にハーモ二ウムを持ち込んで演奏していたのでしょう。これもスコアの扉に書かれていること。
オルガン奏者(プログラムには名前の記載がありませんでしたが)は、第6曲のみステージ奥の演奏席に移動、リベラ・メの瀕死の兵士の会話の場面で急ぎ最上階に移動、最後の天使の合唱をサポートしたのだと思います。
演奏中に奏者がステージと舞台裏の間を移動する事例はよくありますが、今回のような舞台と客席最上階との移動は、移動距離の新記録を樹立したんじゃないでしょか。
そんな余計な憶測をしてちゃいかんね、我ながら・・・。
ろくでもないことばかり書いてますが、演奏は素晴らしいものでした。オーケストラと合唱は、第一線級のレヴェルには及ばないと思いますが、その差は極めて僅か。大書すべきは、勇敢にこの大作を取り上げ、高関監督の下、全力を尽くしてホールを感動で満たしてくれたこと。
ソロの3人、これはいうことありません。夫々の持ち味を生かし、ブリテンが彼らのために書いたのではないかと思われるほど、作品に同化していました。お見事!
この日のプログラム、高崎での定期演奏会用のものの表紙だけ差し替えたのでしょうかね。内容は定期演奏会を意識したものになっていると思いました。
この表紙、ウィルフレッド・オーウェンの “私の主題は戦争であり、戦争の哀れさである。詩はその哀れさの中にある・・・。今日、詩人がなし得るすべては警告することである” という文言が刷り込まれていたのが印象的。この序文、正にスコアに書き付けられた「戦争レクイエム」のメッセージなのですから。
尚、この日はテレビカメラが入っていました。NHKのハイビジョンではなかったようですが、何処で放送されるのでしょうか。

 

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