九州交響楽団・東京公演

午後1時開演という、珍しい時間帯のコンサートを聴いて帰宅したところ。地方都市オーケストラ・フェスティヴァル2008の最終日です。実はこのあと未だ関西フィルの公演が残っていて、今日は変則ダブルヘッダーなのであります。
九州交響楽団演奏会 すみだトリフォニーホール
<オール・チャイコフスキー・プログラム>
 チャイコフスキー/歌劇「エフゲニ・オネーギン」より“ポロネーズ”
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
      ~休憩~
 チャイコフスキー/交響曲第4番
  指揮/小泉和裕
  ヴァイオリン/矢野玲子(やの・りょうこ)
  コンサートマスター/豊嶋泰嗣
何故このコンサートに行ったのか、と問われれば、一つは前回の印象が大変良かったこと。確か一昨年、シューベルトのザ・グレイト他を広上淳一が指揮したコンサートでした。別の指揮者で、このオーケストラがどんな演奏を聴かせるのか。
もう一つは、近々に別の指揮者とオーケストラでチャイコフスキーの第4を聴く予定があり、その耳慣らしの意味もあります。指揮者の力量を測ろう、という・・・。
今日の結論。素晴らしいオーケストラと凡庸な指揮者の競演、これに尽きます。
九州交響楽団。これは素晴らしい団体だと思います。東京のオーケストラと比べても遜色がないばかりか、その中に混じっても上から何番目かに挙げてもいい。それが前回同様、今回も私が抱いた感想です。
問題は、やはり指揮者でしょう。前回の広上に比べて、小泉という人はシンフォニーを振るだけの度量が不足しています。協奏曲ですら暗譜して振りますが、楽譜をなぞるだけ。スコアを覚えることは才能でも何でもありません。ただ記憶力が良いだけ。
この指揮者はチャイコフスキーに対して特別なメッセージもなく、作品の構成に対する配慮もなく、ただただ記憶している一ページ一ページを勿体ぶってタクトを振り回しているだけなのです。私にはそうとしか感じられませんでした。
従って、冒頭のポロネーズやアンコールで演奏した同じオネーギンのワルツは、それなりにカッコよく纏め、客席からも喝采を集めていました。
しかしずっと大きな構築物である協奏曲や交響曲では退屈なだけ。シンフォニーではよほど忍耐強く聴かない限り、睡魔が襲ってくるのでした。
協奏曲でソロを弾いた矢野玲子は初めて聴いた人。未だパリ国立高等音楽院に在学している由。達者に弾いていましたが、私には心に響くものはありませんでした。
第1楽章が終わると拍手が起きていましたし、終了後も大きな歓声が飛び交っていました。そこまで熱狂するほどのもの、私は聞き逃したようです。まだこれからの人じゃないか。
それにも係わらず、オーケストラは見事でした。特にクラリネット首席は滅茶苦茶上手い。アーティキュレーションから音量、音色、演奏動作の魅せ方まで日本人離れしています。と、メンバー表を見たら、タラス・デムチシンという方。外国人奏者のようですが、3階席では遠くて顔までは区別が付きません。
九響の管楽器セクション、間違いなくこの人が核。彼に引っ張られるのでしょうか、第4交響曲の木管アンサンブルは鳥肌ものの凄味がありましたね。
今年も讃えましょう。九州交響楽団、畏るべし。才能のある指揮者を据えれば、大化けするオケでしょうね。
終演後、小ホールのロビーで開催されていた参加オケ地元の物産展を覗き、聴かなかった広島のもみじ饅頭と、山形の漬物を買って帰りましたとさ。

 

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2件のフィードバック

  1. ベンゼン より:

    はじめまして、ベンゼンです。
    1/12の新日のコンサート以来、拝見しています。
    この昼公演については、同様な感想でした。
    チャイコンもチャイ4も。
    九州響については、私も一昨年聴きましたが、今回の方がちと落ちると思いました。
    関西フィルには行かれましたか?
    私は異常に時間が空きましたが行きました。14時18時にして欲しいですね。
    昼より夜の方がよかった気がします。
    では。

  2. メリーウイロウ より:

    ベンゼン様
    ありがとうございます。
    関西フィルは断念しました。やはり間が空きすぎていまして、辛いものがあります。
    下の小ホールで無料の室内楽をやっていましたが、通し券を購入した人だけの限定とか。
    関西フィルも素晴らしいコンサートだったそうですね。

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