シャンティーに纏められたクラシック・トライアル

4月20日、水曜日でしたがフランスのシャンティー競馬場で3鞍のクラシック・トライアルG戦が行われました。
今年はロンシャン競馬場が建て替えのため閉鎖され、クラシックの舞台は全てシャンティー競馬場に移されます。昨日のトライアル戦は何れも本来はロンシャン競馬場で行われていたもの。3鞍が一日に集中したのも異例のことでした。

行われたレース順に行くと、先ず仏2000ギニーのガイドとなるフォンテンブロー賞 Prix Fontainebleau (GⅢ、3歳牡、1600メートル)。例年は4月第2週に行われていましたが、今年は1週間ほど遅れての施行です。
馬場は soft 。10頭と頭数も揃い、昨秋にトーマス・ブライアン賞(GⅢ)に勝って2戦2勝のキャンディード Candid が23対10の1番人気に支持されていました。メゾン=ラフィットのトライアル戦ジェベル賞(GⅢ)で4着だったヴェデヴァニ Vedevani が16対5で2番人気。

最低人気(56対1)のフリー・フロム・デザイア Free From Desire が逃げましたが、勝負は何れも中団に付けていた馬たちで決着。5番人気(96対10)のディクトン Dicton が馬群を割って伸び、4番人気(84対10)のタリーフ Taareef を首差捉えていました。半馬身差で6番人気(10対1)のアルマンザー Almanzor が3着に入り、波乱の結果と言えるでしょう。
本命のキャンディードは中団の内に付けていましたが精彩を欠き、最後は鞍上も追うのを止めて9着での入線。ヴェデヴァニも中団から2ハロン地点で一旦は先頭に立ちましたが、最後は交わされての4着に終わりました。

勝ったディクトンはこれが10戦目と、出走馬中では最もキャリアを積んだ馬。調教師は恐らく名前から見てイタリア人と思われますが、当ブログは初登場のジャンルカ・ビエトリーニ Gianluca Bietolini という方。経歴等の詳しい情報は入っていません。騎乗したのはお馴染みオリヴィエ・ペリエ。
イタリア調教と思われますが、走ったのは全てフランス。イタリアの競馬事情は最悪ですから当然かもしれません。2歳時は4戦目にサン=クルーで初勝利を挙げ、続くサン=クルーのクレーミング戦に連勝。更にサン=クルーでハンデ戦で2着し、12月にはドーヴィルのポリトラック・コースでも条件戦に勝って3勝目でシーズンを終えます。
今期はコンピエーニュの1400メートルに勝って幸先良いスタートを切り、前走又してもサン=クルーのリステッド戦(オムニアム賞)に連勝してシーズン3連勝をG戦初勝利で飾りました。これで10戦6勝、5番人気と余り期待されていなかったのは使われ過ぎという判断と、下から上がってきたという印象が重なった所為でしょうか。ギニー本番では如何に。

続いてグロット賞 Prix de la Grotte (GⅢ、3歳牝、1600メートル)。これも例年は4月第2週に行われるもので、仏1000ギニーと同じ舞台でのトライアルです。
9頭が出走し、2歳時にレゼルヴォアール賞(GⅢ)に勝って4戦無敗のトリクシア Trixia がシーズン初戦を迎えましたが、オッズは29対10で2番人気。これを抑えて11対5の1番人気に支持されたケマー Qemah は1勝馬ながらマルセル・ブーサック賞(GⅠ)で3着した馬。2頭の初対決が見所と言えるでしょう。

逃げたのは7番人気(10対1)のポジティヴ・ヴァイブレーション Positive Vibration でしたが、2番手に付けていた3番人気(37対10)のアントノー Antonoe が2ハロン地点で替って先頭。これを見るように先行していた本命ケマーが抜け出すと、中団から追い込む4番人気(43対10)のケンリーヤ Kenriya に2馬身半差を付ける楽勝で人気に応えました。
1馬身4分の1差でアントノーが3着に粘り込み、トリクシアも中団の内から抜けましたが短頭差及ばず4着で初黒星。牡馬版とは一転して順当な結果と言えるでしょうか。

ジャン=クロード・ルジェ厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗のケマーは、アル・シャカブの所有馬。ドーヴィルのデビュー戦こそ2着でしたが、2戦目のロンシャンで1900メートル戦を初勝利。3戦目でいきなりGⅠのマルセル・ブーサック賞に挑戦してバリードイル Ballydoyle に1馬身4分の1差ほどで3着と大健闘でした。
マルセル・ブーサックでは後方からの急襲、今回は比較的前の位置からの抜け出しと徐々に内容も自在になっており、本番では主力の一角に推されることは間違いなさそうです。

最後はノアイユ賞 Prix Noailles (GⅢ、3歳、2100メートル)。こちらはダービーのトライアルで、3つのトライアルが一堂に会したのは初めてじゃないでしょうか。出走馬は6頭と少なく、前走サン=クルーのリステッド戦(フランソワ・マテ賞、2100メートル)で2着したファーブル厩舎のクレオント Cleonte が7対5の1番人気。
最低人気(21対1)のヴァルケナ Valkena が後続を引き離して思い切った逃げに出ましたが、2番手に付けていた3番人気(7対2)のラシード Raseed が残り1ハロンでこれを一気に捉えると、中団の内から伸びる2番人気(27対10)のモア・ザンナ・ドリーム More Than a Dream に3馬身差を付ける楽勝でした。4分の3馬身差でヴァルケナが3着に逃げ粘り、クレオントは中団から伸びるも瞬発力に欠き1馬身半差の4着に終わりました。

ラシードはフレッディー・ヘッド師が管理し、これまでずっとコンビを組んでいるオーレリアン・ルメートルが騎乗。2歳時は3戦2勝で、今期初戦をG戦初勝利で飾りました。
メゾン=ラフィットのデビュー戦(1400メートル)を首差で勝ち、2戦目のサン=クルーでは重馬場で4着と期待を裏切ります。しかし3戦目、シャンティーの1800メートル条件戦に勝って名誉を挽回してシーズンを終えていました。
父デュバウィ Dubawi 産駒は重馬場を得意とするタイプが多いだけに、2戦目での敗戦が成績の割には評価を下げていた要因。今回は重馬場のG戦を楽勝したことで、仏ダービーにも期待が掛かります。

 

 

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