ロンシャン開幕とレパーズタウンのクラシック・トライアル

4月も第2週に入って、各地のクラシック・トライアルが本格的にスタートしています。昨日の日曜日は、アイルランドとフランスから。

アイルランドのレパーズタウン競馬場で行われたバリーサックス・ステークス Ballysax S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)は、当初はカラー競馬場で行われていたレース。1993年からレパーズタウンに移行し、2003年からGⅢに格付けされています。距離が2000メートルということで、ダービーに向けての試走と言える一戦かも知れませんね。

7頭が顔を揃えましたが、出走馬中唯一の牝馬が勝って大穴を開けました。
8対13の断然1番人気に支持されたのは、去年のクリテリウム・ド・サン=クルーを含めて2戦無敗のGⅠ馬リサイタル Recital 。冬場のダービー候補としてはフランケル Frankel に続いて2番人気に支持されていた馬で、現時点ではオブライエン厩舎のエースとして期待されていた一頭です。

今回はライアン・ムーア騎乗で臨んだリサイタルでしたが、前半は折り合いを欠いて後方からの競馬。直線に向いて鋭く追い上げましたが、時既に遅しの印象。
6頭の牡馬を尻目に抜け出したのは、ジム・ボルジャー厩舎のバニンパー Banimpire で14対1。2着は半馬身差でリージェント・ストリート Regent Sreet が飛び込み、更に1馬身で本命のリサイタル。
2着リージェント・ストリートは、3頭出しのオブライエン厩舎では最も人気のない馬でした。競馬はやってみなければ判りません。

バニンパーに騎乗したのはケヴィン・マニング。競馬サークルにはショックが走りましたが、ボルジャー師は驚いた様子もなく、“この位は走ると思っていたよ。次はギニーかな”。ブックメーカーはギニーというよりオークスにチャンスありと見て、33対1のオッズを出しました。
一方敗れたリサイタルは、ダービーへのオッズが10対1から12対1に下がっています。

一方フランスではロンシャン競馬場が開幕、二鞍のパターン・レースが行われました。
最初はクラシックに繋がるラ・フォース賞 Prix La Force (GⅢ、3歳、2100メートル)。今や仏ダービーと同じ距離で行われる一戦となりました。

出走馬は5頭、内3頭が無敗馬というメンバーですが、6対4の1番人気に支持されたのは経験豊かなプレーリー・スター Prairie Star 。2歳時にコンデ賞(GⅢ)に勝ち、クリテリウム・ド・サンクルー(GⅠ)でリサイタルの3着していた馬。そのリサイタルがアイルランドで負けたのが気になるところです。
残念ながらその不安は的中し、優勝は17対5の2番人気バラーン Baraan 。4分の3馬身差2着に本命プレーリー・スターが入り、同じく4分の3差3着がプール・モア Pour Moi の順。

フランスの競馬ではよくあるパターンですが、ペースがスローになり、最後はスプリント戦になる展開。果敢に先行して逃げ切ったクリストフ・ルメール騎手の作戦勝ちでしょうか。
バラーンは先月ドーヴィル競馬場のオール・ウェザー・コースでデビュー勝したばかり、これで2戦無敗となります。
同馬を管理するジャン=クロード・ルジェ調教師にとってはラ・フォース賞は5勝目。ここ6年では4勝というスペシャリストでもあります。オーナーは馬名から想像できるように、アガ・カーン。陣営としては英仏両ダービーを視野に入れているようですが、フランスに留まる可能性の方が大きいようです。

続いては古馬中距離戦線のスタートを飾るダルクール賞 Prix d’Harcourt (GⅡ、4歳上、2000メートル)。クラシック・トライアルが波乱の結末に終わる中、ここは順当な結果に収まりました。

8頭立て。7対5の1番人気に応え、貫録を見せつけたのは、去年の仏ダービー2着馬のプランテール Planteur でした。2馬身半差2着にはパターンレース初挑戦のレイ・ハンター Ley Hunter が入り、短首差でエージェント・シークレット Agent Secret の順。
プランテールは今シーズンのデビュー戦でしたが、勝利は1年振り(去年のノアイユ賞以来)。シルヴァー・ポンド Silver Pond の逃げをマークし、クリストフ・スミオン騎手の追い出しのサインに鋭く反応しました。2・3着は後方から追い込んだ馬。シルヴァー・ポンドが4着逃げ残りです。
管理するエリー・ルルーシュのコメントを待たずとも、上位に入線した馬はいずれもガネー賞(GⅠ)に向かうでしょう。

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