アスコットのデジャ・ヴ
4月27日、ニューマーケットのギニー開催を3日後に控え、アスコット競馬場でG戦が2鞍行われました。長距離と短距離という両極端の距離ですが、何れもロイヤル・アスコットのGⅠ戦を見据えたトライアル戦でもあります。
先ずゴールド・カップのトライアルでもあるサガロ・ステークス Sagaro S (GⅢ、4歳上、2マイル)。馬場は場所によって区々で、全体としては good to soft 、所により good 。1頭が取り消して9頭が出走してきました。
去年のブリティッシュ・チャンピオン・ロング・ディスタンス・カップ(GⅡ)で2着し、今期も既にノッティンガムのリステッド戦を使って2着しているクレヴァー・クーキー Clever Cookie が9対4の1番人気。ロング・ディスタンスに勝ったフライング・オフィサー Flying Officer は今期初戦、そのGⅡ勝ちのペナルティー5ポンドを背負っていることもあって5対2の2番人気でした。
スタートから先手を取ったのは3番人気(11対4)で去年の勝馬ミッズー Mizzou でしたが、1ハロン進んだ地点で背負っているフライング・オフィサーが先行有利と見ての逃げ作戦に出、ミッズーは2番手に控えます。前2頭を見ながら進めたクレヴァー・クーキーが残り2ハロンから前との2馬身差を詰めに掛かりましたが、抜け出したミッズーを追い詰めたもののゴールでは首差届かず。半馬身差でフライング・オフィサーも3着に粘り込み、前で競馬した上位3頭での決着となりました。
去年のシーズン初戦をサガロ・ステークス勝利で飾ったミッズー、今年もデビュー戦を快勝して去年のデジャ・ヴと言った印象です。ルカ・クマニ厩舎、去年はビュイックが騎乗していましたが、今年はアンドレア・アトゼニとのコンビ。去年はサガロのあとゴールド・カップが7着、ロンスデール・カップ(GⅡ)2着と3戦のみでシーズンを終えていました。この勝利でゴールド・カップのオッズは12対1となりましたが、5ポンドの斤量を背負って半馬身差3着したフライング・オフィサーとの差を詰めることがロイヤル開催までの課題になるでしょう。
そして短距離のパヴィリオン・ステークス Pavillion S (GⅢ、3歳、6ハロン)。去年初めてGⅢに格上げされた3歳馬限定のスプリント戦で、もちろん去年創設されたロイヤル・アスコットのコモンウェルス・カップ(GⅠ)に向かう馬たちの品定めの意味もありましょう。直線コースの馬場状態は good 。アイルランドからオブライエン厩舎が送り込んだワシントン・ディーシー Washington Dc がイーヴンの1番人気。G戦勝ちはありませんが、去年のロイヤル・アスコットでウインザー・キャッスル・ステークス(リステッド、5ハロン)に勝ち、フェニックス・ステークス(GⅠ、6ハロン)では週末の2000ギニーで本命になる筈のエア・フォース・ブルー Air Force Blue の2着している実力馬です。
そのワシントン・ディーシー、ライアン・ムーアを背に中団からの競馬、一旦は前を窺う場面もあったものの、残り1ハロンでは後退、鞍上も諦めて追わず7着に終わる番狂わせでした。
勝ったのはスタートからハナを主張した2番人気(3対1)のギフテッド・マスター Gifted Master 、後方から追い込む5番人気(16対1)ドリーム・ドバイ Dream Dubai に2馬身4分の1差を付ける鮮やかな逃げ切り勝ちでした。2番手を追走していた6番人気(25対1)のグレイシャス・ジョン Gracious John が1馬身半差で3着。
ヒューゴー・パーマー厩舎、パット・スマーレン騎乗のギフテッド・マスターは、昨シーズンをニューマーケットのオータム・ステークス(GⅢ、1マイル)優勝で終えていたせん馬。今期は6ハロンに戻ってニューマーケットのリステッド戦に勝ち、これで6ハロンも2連勝、去年の秋からの連勝記録を5に伸ばしました。
陣営がマイル戦より短距離向きと判断したためでしょうが、これでコモンウェルスが視野に入ってきました。そのオッズはレース前の20対1から一気に8対1に上がっています。レース間隔が空くと良くないタイプとのことで、この後はヘイドックのサンディー・レーン・ステークス(GⅢ)からロイヤル・アスコットに向かう予定だそうです。せん馬ということで、賞金の高そうなレースを次々に使っていくことになりそう。
GⅢに格上げされて2年目、何れもせん馬が勝ったパヴィリオンでした。これまた去年のデジャ・ヴか?
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