またオブライエンのワン・ツー、でも・・・

5月4日の水曜日から英国チェスター競馬場の春開催がスタートしています。3日間開催ですがG戦が組まれているのは2日目と3日目、昨日2日目のG戦2鞍を紹介しましょう。

馬場は good 。先ずハックスレー・ステークス Huxley S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン75ヤード)は7頭が参戦し、前走サンダウンのゴードン・リチャーズ・ステークス(GⅢ)で1番人気に推されながらも2着に終わったウエスタン・ヒム Western Hymn が今回も6対4の1番人気。何と言ってもエクリプス3着の実績が上位でしょう。
最低人気(20対1)のトップ・ノッチ・トント Top Notch Tonto が逃げ、ウエスタン・ヒムは後方から。前半4番手に付けていた2番人気(11対4)のキャノック・チェイズ Cannock Chase が1ハロン地点から2番手に上がり、残り1ハロンで先頭に立つと、馬群を割って追い込むウエスタン・ヒムの追撃を1馬身抑えての優勝。短頭差で中団から伸びた6番人気(14対1)のマスター・カーペンター Master Carpenter が3着に入りました。

勝ったキャノック・チェイズは去年の2着馬(半馬身差)で、昨秋にニューマーケットのリステッド戦に勝って海を渡り、カナダ国際(GⅠ)に優勝。このため今回は他馬より7ポンド重いペナルティーを背負っての競馬でした。カナダの後は香港ヴァーズ遠征で13頭立て11着、今回は5歳シーズンの初戦でした。英国のG戦は3歳時ロイヤル・アスコットのターセンテナリー・ステークス(GⅢ)以来。
管理するサー・マイケル・スタウト師はこのレース6勝目。古馬を大成させることに掛けてはピカ一の腕を持つトレーナーです。鞍上ライアン・ムーアも長くスタウト厩舎の馬に騎乗してきた名手。今回もペナルティーを馬には負担と感じさせない好騎乗で勝利に導きました。
ロイヤル・アスコット開催のハードウィック・ステークスには7対2(9対2から)、プリンス・オブ・ウェールズ・ステークスにも10対1(12対1から)のオッズが出されています。

そしてチェスター・ヴァーズ Chester Vase (GⅢ、3歳、1マイル4ハロン66ヤード)。出走馬は6頭でしたが、エイダン・オブライエン厩舎の評判馬ユーエス・アーミー・レンジャー Us Army Ranger が4対11の圧倒的1番人気。5週間前にデビュー勝ちしたばかりですが、父ガリレオ Galileo 、母は愛オークス馬ムーンストーン Moonstone というクラシックを勝つために生まれてきたという血統人気も手伝っていることは間違いないでしょう。レース前に出されているダービーのオッズは7対2という超エリートです。

オブライエン厩舎が送り込んできたのはこれだけじゃありません。去年ベレスフォード・ステークス(GⅡ)に勝ってレーシング・ポスト・トロフィー(GⅠ)は4着というポート・ダグラス Port Douglas も2番人気(11対2)で出走、こちらがハナに立ってレースの流れを作ります。
例によってライアン・ムーアが騎乗するユーエス・アーミー・レンジャーは2番手を追走して直線。最後でポート・ダグラスが内ラチから外に寄れるのを見たムーアは空いたインコースを衝して抜け、最後はポート・ダグラスが差し返した所がゴール。写真判定の結果、ユーエス・アーミー・レンジャーが短頭差だけ抜けていました。7馬身離されて後方から追い込んだ5番人気(20対1)のオルミート Ormito が3着。
しかしレースはこれで終わったわけではなく、審議のランプが点灯。2頭の叩き合いが問題になったのではなく、最後の直線でポート・ダグラスのヘファーナン騎手が態とインコースを離れて内を開け、同厩の本命馬に有利に操作したのではないか、最後の100ヤードで目一杯追わなかったのは何故か、という点に関しての審議でした。ヘファーナンは事情を聞かれましたが、裁決はそれ以上問題にはしなかったようで確定しています。

エイダン・オブライエン師はこのレース4連覇で7勝目。ムーア騎手はこの日のG戦ダブル達成です。ブックメーカーの反応は冷静で、勝馬のダービー・オッズは何と5対1から6対1程度に下げられてしまいました。勝つには勝ったものの、2着馬がGⅡ勝ちのペナルティー4ポンドを背負っており、机上の計算ではポート・ダグラスが2馬身勝っていたことになります。
この結果ダービーは、スタウト厩舎のガリレオ産駒ミッドターム Midterm が7対2の本命に上がり、もし出走すればという条件で牝馬マインディングが2対1となっています。逆にポート・ダグラスは12対1と評価が上がりました。

なおチェスター開催の初日、オークスのトライアルの一つであるチェシャー・オークス Cheshire Oaks が行われています。以前はGⅢでしたが、今はリステッド戦。
これまたオブライエン厩舎、ムーア騎乗の1番人気(8対15)サムハウ Somehow が勝ってオークスに名乗りを上げました。未だ3戦目の馬で、馬にレースを教えながらもキッチリと勝ち切るムーアのテクニックに改めて称賛の声が上がっています。

 

 

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