2016クラシック馬のプロフィール(3)

今年のクラシック馬プロフィール、今回と次回はフランスのギニー馬を取り上げます。先ず仏1000ギニーを制したラ・クレソニエール La Cressonniere から。
ラ・クレソニエールは父ル・アーヴル Le Havre 、母アブソリュート・レディー Absolute Lady 、母の父ガリレオ Galileo という血統。父がフランスの二冠馬(ギニーとダービー)、母の父がスタミナ系のガリレオということが、ラ・クレソニエールが仏オークスの距離は問題無しとされている根拠でしょう。
ル・アーヴルの初年度産駒アヴニール・セルタン Avenir Certain が仏1000ギニーと仏オークスで二冠を達成していますから、少なくとも2000メートルまでのスタミナは充分と言う説も説得力があります。

さて牝系に入りますが、何分にもフランス競馬の情報は英国に比べれば少ないのが現状で、細部にまで調査が行き亘らなかったことを最初にお断りしておきます。しかしこの牝系、4代遡れば英国エリザベス女王の基礎牝系ですから、今年90歳を迎える女王にとっては嬉しいニュースだったかも知れませんね。
母アブソリュート・レディー(2006年、鹿毛)はフランスで走ったと思われますが、6戦未勝利という以外の成績は不明です。父ル・アーヴルと同い年という比較的若い年齢でのクラシック馬輩出となりました。

その産駒も詳細までは調査し切れませんでしたが、生年順にリストアップすると、
2011年 アンノヴィル Annovelle 栗毛 牝 父ル・アーヴル 2戦未勝利
2012年 サオン Saon 栗毛 牡 父ル・アーヴル 1戦未勝利
2013年 ラ・クレソニエール
2014年 トネヴィル Tonneville 栗毛 牝 父エア・チーフ・マーシャル Air Chief Marshal 現時点では未出走
2015年 グラトー Gratot 鹿毛 牡 父ル・アーヴル

情報が正しいとすれば、ラ・クレソニエールは、現時点では母の唯一の勝馬で、3番仔でのクラシック制覇となります。

2代母リルズ・ジェッシー Lil’s Jessy (1998年 鹿毛 父クリス Kris)は英国でジェレミー・ノセダ厩舎に所属し、12戦4勝した馬。2歳の7月、2戦目でヤーマス競馬場の7ハロン未勝利戦に勝ち、8月には4戦目のチェスター、9月にもドンカスターの一般ナーザリー戦に勝って3勝を記録。そのあとニューマーケットのリステッド戦(現在はGⅢに格上げされているオー・ソー・シャープ・ステークス)で3着、ロックフェル・ステークス(GⅡ)は12着で2歳シーズンを終えます。
3歳になったリルズ・ジェッシーは、シーズン初戦にパット・エデリー騎乗でネル・グィン・ステークス(GⅢ)に優勝。しかしこれは彼女の最後の勝鞍となり、遠征た仏1000ギニーは15頭立ての10着、続くコロネーション・ステークス(GⅠ)も13頭立ての12着と終わり、トップクラスとの力量差は明瞭でした。更にフォルマス・ステークス(当時はGⅡ)8着、ドンカスターのリステッド戦(セプター・ステークス)も8着と凡走を続け、3歳シーズンを限りに引退しました。
その意味でラ・クレソニエールは、祖母が味わった仏1000ギニー敗戦の雪辱を果たしたとも言えそうです。繁殖牝馬としてのリルズ・ジェッシー、現時点での活躍馬は今年のクラシック馬以外には見当たらないようです。

3代母のロブミール Lobmille (1984年 鹿毛 父ミル・リーフ Mill Reef)は未出走馬。イギリスで繁殖に上がり、産駒は9頭。そのうち6頭が走り、全てが勝馬となりました。
リルズ・ジェッシーの他では、フランスで1マイルから9ハロンに勝ち、ミュゲ賞(GⅡ)2着、ハリウッド・ダービー(GⅠ)にも遠征して3着に入ったローン・バード Lone Bird (父プリオロ Priolo)、イタリアで1500メートルと1600メートルに勝ったハリケーン・ルイス Hurricane Louis (父ファビュラス・ダンサー Fabulous Dancer)、ベルギーの2歳チャンピオン決定戦のグラン・クリテリウム・ドステンデ(リステッド戦)に勝ったロビイスト Lobbyst (父ムトト Mtoto)などがいます。

そして4代母がライト・オーバトル Light o’Battle (1976年 栗毛 父クイーンズ・ハサー Queen’s Hussar)。この馬がエリザベス女王の持ち馬で、王室の牧場であるロイヤル・スタッドで産まれました。
現役時代は女王の調教師を務めたディック・ハーン厩舎に属し、2戦1勝。デビュー戦は10月のニューバリー競馬場で、ラドレー・ステークスという7ハロン強のレースで、11頭立ての33対1という人気薄にも拘わらず、鞍上が追う所も無く本命の僚馬を首差で差し切っての楽勝でした。
しかし3歳の初戦は5月グッドウッドのループ・ステークス(10ハロン)と遅れ、5頭立ての4着、これが生涯最後のレースとなります。厩舎ではテンペラメンタルな面を見せていたと言い、レースホース誌では2歳時には97「P」と成長力を認めていましたが、3歳時は無評価でした。

ライト・オーバトルの産駒にはチャンピオン2歳トロフィー、ヨーロピアン・フリー・ハンデなどで2着したロビット Lobbit (父ハビタット Habitat)なども出ましたが、やはり目立った活躍馬は出ていません。
しかしその娘が2頭、日本で繁殖成績を送りましたので、その成績をザッと見て行きましょうか。

最初の1頭は1981年生まれのナディラー Nadirah (栗毛、父ミル・リーフ、1戦未勝利)と言い、その娘チアズリリー(2戦未勝利)の牡駒チアズシャウトが中山で葛飾特別(ダート1200メートル)に勝っています。
そしてもう1頭が1989年生まれのカユガ Cayuga (鹿毛 父ダンシング・ブレーヴ Dancing Brave、6戦未勝利)。こちらは姉より成功し、その牡駒エビスジャパンが大井の重賞である黒潮杯(ダート1700メートル)に、牝駒ユウセイントも小倉で香春岳特別(1200メートル)に勝ちました。
他にもカユガの娘ブルースターライトからは30戦7勝したブルーフランカーが出ており、この牡馬が福島で渡利特別(ダート1700メートル)を、中京では名古屋城ステークス(ダート1700メートル)を2連覇したことを覚えておられる方もあるでしょう。

ラ・クレソニエールの5代母ハイライト Highlight (1958年 鹿毛 父ボーリアリス Borealis)こそが英王秘蔵の名牝系で、母ハイペリカム Hypericum は英1000ギニー馬。その娘ハイクレア Highclere が母に続いて1000ギニーを制し、フランスに遠征して仏オークスも連勝、未だ若かったエリザベス女王に絶叫させたことを古い競馬ファンなら記憶している筈です。
またハイクレアから枝葉を広げているファミリーについては既に2009年に1000ギニーを制したガナーティ Ghanaati でも紹介済み。ここから先は2009年度のクラシック馬プロフィール(2)をご覧ください↓

2009クラシック馬のプロフィール(2)

2009年の記事では取り上げなかった馬たちにも触れておくと、
先ずハイクレアの2番仔で最初の娘に当たるバークレア Burghclere はインヴァイト Invite と、ウインド・イン・ハー・ヘア Wind in Her Hair の母となり、インヴァイトがNHKマイルのウインクリューガーを、そしてウインド・イン・ハー・ヘアが日本の至宝ディープインパクトを産んで日本競馬界に最大の貢献を成しています。

他にハイト・オブ・ファッション Height of Fashion からはBCフィリー・アンド・メア・ターフのラフドゥード Lahudood 、コロネーション・カップと仏セントレジャーのアスク Ask が、
またハイライトの別の娘ライト・デューティー Light Duty からもロッキンジ・ステークスのフライ・トゥー・ザ・スターズ Fly to the Stars 、コロネーション・ステークスのフォールン・フォー・ユー Fallen For You が出ていることを付け加えれば、現時点でのこの牝系のGⅠ馬たちを網羅したことになるでしょうか。

ファミリー・ナンバーは2-f。1804年生まれのヒアシンサス・メア Hyacinthus Mare を基礎とする牝系です。

 

 

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