ブラック=アイド・スーザンはゴー・マギー・ゴーが雪辱
ご存知のように、今週のアメリカ競馬はメリーランド州のピムリコ競馬場で行われる三冠の第2弾、プリークネス・ステークスが最大の話題。ラニが参戦するということもあり、ダービーだはやや鈍かった日本のマスコミも今回は速く動き、枠順も発表されていました。
余り、と言うか殆ど紹介されないのがその他の競馬で、プリークネスが行われる前日の金曜日もG戦4鞍が組まれ、特にケンタッキー・オークスに相当する牝馬のブラック=アイド・スーザン・ステークスはピムリコ版のオークス。これを含めた4鞍をレース順に取り上げて行きましょう。
ただ、ピムリコ競馬場からの中継映像には全馬の最終オッズは掲載されないし、レース展開も詳しい情報が提供されず、かなりの部分が想像を加味したものになりますので御容赦を。
最初はピムリコ・スペシャル・ステークス Pimlico Special S (GⅢ、3歳上、9.5ハロン)。fast の馬場に有力視されていた2頭が取り消して6頭立て。出走馬中唯1頭のGⅠ馬であるノーブル・バード Noble Bird が4対5の断然1番人気に支持されていました。
前走はスタートを失敗して凡走したノーブル・バード、今回はそれを教訓に好スタートを切ったノーブル・バード、クラブ・ハウス・ターンで先頭に立つと、そのまま後続を引き離す一方の競馬で、4番手から伸びた3番人気(4対1)のアルゼンチン産馬イドーロ・ポルテニョ Idolo Porteno に何と11馬身4分の1の大差を付ける貫録の逃げ切り勝ちです。更に6馬身差が付いて2番手を追走していた最低人気(45対1)のウォリアーオブザロージズ Warrioroftheroses が3着。
マーク・カッセ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のノーブル・バードは、去年6月にGⅠ戦のスティーヴン・フォスター・ハンデを制した5歳馬。上記の様に、前走はケンタッキー・ダービー開催で行われたアリシェバ・ステークス(GⅡ)で1番人気に支持されながらスタートを失敗し、8頭立ての最下位に敗れていました。37年目を迎えるカッセ師が、自身が調教した最もタフな馬と表現しているだけに、なるほどタフな競馬で復権を果たした印象です。
続いてはアレール・デュポン・ディスタッフ・ステークス Allaire DuPont Distaff S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。何故か一昨年は開催されませんでしたが、去年再びプリークネス開催に戻ってきました。1頭が取り消して9頭立て、ここ5戦で全て賞金に絡み、4月のトップ・フライト・ハンデ(GⅢ)でも2着に健闘したメイ・リン Mei Ling が2対1の1番人気。
レースはジョイント4番人気(6対1)のスーパー・マジェスティー Super Majesty が逃げて直線入口まで粘りましたが、前半4番手から徐々に順位を上げた2番人気(7対2)のアー・チョコレート Ahh Chocolate が直線入口で先頭に立つと、最後方から猛追するジョイント4番人気のティオジョニー Theogony を半馬身抑えて優勝。更に4分の3馬身差で同じく後方から連れて追い込んだブービー人気(23対1)のジョイント・リターン Joint Return が3着に入り、メイ・リンは3番手を進みながらもバテ、今回は賞金に絡めず6着敗退に終わりました。
ネイル・ハワード厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス騎乗のアー・チョコレートは、去年11月のフォールズ・シティー・ハンデ(GⅡ)に続きG戦2勝目となる4歳馬。ピムリコ競馬場は去年のブラック=アイド・スーザン・ステークス3着以来の競馬で、ここ2戦も3着が続いていました。実況アナが“あぁ~、ちょこれーと”とため息を吐くようなアナウンスをしていたのが印象的。
金曜日のG戦3鞍目が、この日のメインでもあるブラック=アイド・スーザン・ステークス Black-Eyed Susan S (GⅡ、3歳牝、9ハロン)。牝馬三冠という言い方をすれば、ケンタッキー・オークスに続く二冠目となるのがこのレース。オークス馬キャスリン・ソフィア Cathryn Sophia も、最強3歳牝馬ソングバード Songbird もで出来ませんでしたが、2頭が取り消して12頭立て。全馬のオッズが判りませんが、オークスは最先着で2着のランド・オーヴァー・シー Land Over Sea が8対5の1番人気に支持されていました。
レースは9対5(恐らく2番人気)のゴー・マギー・ゴー Go Maggie Go と、5対1のキンスリー・キッシズ Kinsley Kisses が雁行するような形でハナに立ちましたが、直線では終始内を走っていたゴー・マギー・ゴーが馬場の中央を通って抜け出し、3頭の2着争いに1馬身半の差を付けて事実上の逃げ切り勝ちを演じました。頭差で3番手を追走していた50対1の伏兵マ・キャン・ドゥー・イット Ma Can Do It が2着に入り、首差でハナを競ったキンスリー・キッシズが3着。人気のランド・オーヴァー・シーは向正面で不利があり6着に終わりました。結局は前に行った馬同士の決着で、デール・ロマンス厩舎はワン・ツー・フィニッシュ達成です。
ルイス・サエズが騎乗したゴー・マギー・ゴーは、前走オークスで出遅れ、大外に回されて追い込むも4着に終わっていた馬で、今回はオークスとは対照的なレース内容で雪辱を果たしました。オークスが唯一の敗戦で、ここまで4戦3勝。オークスのトライアルとしてガルフストリーム・オークス(GⅡ)を制していましたが、それがステークス・デビューでもありました。ロマンス厩舎はこのレース、去年のキーン・ポーリーン Keen Pauline に続き連覇達成です。ところでロマンス師、ケンタッキー・ダービーから帰宅する途中で交通事故に遭遇し、目下治療中とのこと。この日の朝も体中が痛かったそうですが、ブラック=アイド・スーザンの勝利で痛みは消えたとか。本当かなぁ~?
昨日の最後はミス・プリークネス・ステークス Miss Preakness S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。2002年から2009年までGⅢ、その後2010年からはグレード戦から格下げされていましたが、去年からGⅢに復帰した一戦です。10頭が出走、タンパ・ベイで7ハロンの一般ステークス(ガスパリラ・ステークス)に勝って4戦2勝のアール・ガールズ・ア・チャーマー R Girls a Charmer が5対2の1番人気。
13対1の伏兵クイック・リリース Quick Release が名前の通り逃げ、直線でも最後まで粘っていましたが、前半は先頭から13馬身以上も後方を進んでいた2番人気(7対2)のロスト・レイヴン Lost Raven が未だ6番手で直線に入ると、強烈な末脚でこれを捉え、同じくゴール前で逃げ馬を捉えた17対1のワン・トゥルー・キス One True Kiss に4分の3馬身差を付けての差し切り勝ち。1馬身4分の1差で逃げたクイック・リリースが3着に粘りました。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のロスト・レイヴンは、これまで逃げるか先行していたタイプですが、今回は正反対の差し競馬。2歳時にはローレル競馬場の一般ステークス(スマート・ヘイロー・ステークス)、前走アケダクトでも一般ステークス(シカダ・ステークス、6ハロン)を逃げ切り勝ちしており、ステークスは3勝目。G戦はこれが初制覇となります。
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