ルイジアナからダービーへ、オークスへ

昨日の土曜日、3月26日のアメリカ競馬はルイジアナとカリフォルニアでG戦が行われていますが、その前にドバイに付いて簡単に触れておきましょう。アメリカ、ヨーロッパ、そして日本の競馬界にとっても見逃せないレースが行われましたから・・・。

最大の話題はドバイ・ワールド・カップで、これはアメリカの期待を背負ったカリフォルニア・クローム California Chrome が圧勝で去年2着の雪辱を果たしました。正にチャンピオンの走りでしたね。
次いではシーマ・クラシックで、こちらも圧倒的1番人気に支持されたヨーロッパ・チャンピオンでキングジョージ覇者のポストポーンド Postponed が楽勝しています。日本からドゥラメンテが参加して我が国では本命視されていたようですが、落鉄がありながらの2着は大健闘でしょう。仮に落鉄が無くともポストポーンドとの2馬身差は縮まらなかったと思われます。
日本勢にとって最大の快挙はラニのUAEダービー制覇で、これはケンタッキー・ダービーの100ポイント対象レースでもありましたから、ケンタッキー・ダービーに挑戦する2頭目の馬になることは間違いなさそう。日本には戻らず直接ケンタッキーに向かうようです。

以上でドバイは終わりますが、いずれ気が向いたらもう少し立ち入ったレポートを書くかもしれません。主なレースはハイ・ディフィニション映像で見ることが出来ますから、文字で読むよりも情報は正しく伝わるでしょう。松永師の記者会見映像もあります。

ということでアメリカ本土、先ずルイジアナ州フェア・グラウンズ競馬場からのGⅡ戦4鞍です。この日はカリフォルニアもGⅡ戦一鞍でしたから、奇しくもGⅡデイとなったワケ。
最初のニュー・オーリーンズ・ハンデキャップ New Orleans H (GⅡ、4歳上、9ハロン)は、fast の馬場に10頭立て。前走マインシャフト・ハンデ(GⅢ)でマジェスティック・ハーバー Majestic Harbor に頭差2着惜敗のイーグル Eagle が2対1の1番人気。そのマジェスティック・ハーバーは9対2の3番人気でした。
レースは5番人気(11対1)のクー・ド・グラース Coup de Grace が逃げましたが、第4コーナーで一杯。替って2番手を進んだ8番人気(20対1)の伏兵スマーヴェラス S’maverlous が先頭で直線に入ると、3番を進んだ6番人気(13対1)のジェシカズ・スター Jessica’s Star に2馬身差を付ける波乱となりました。ハナ差で2番人気(2対1)のインターナショナル・スター International Star が3番手で入線しましたが、2着入線のジェシカズ・スターが5着入線マジェスティック・ハーバーの進路を妨害したと裁決が下って5着に降着。インターナショナル・スターが2着に、イーグルは3着に繰り上がっています。
マイケル・メイカー厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のスマーヴェラスは、今回がステークス初挑戦となる6歳せん馬で、前走フェア・グラウンズのアローワンス戦(1マイル70ヤード)に勝っての連勝となりました。通算成績は15戦7勝2着3回3着2回。

続いてミュニッツ・メモリアル・ハンデキャップ Muniz Memorial H (芝GⅡ、4歳上、9ハロン)。去年まではメルヴィン・H・ミュニッツ・ジュニア・メモリアル・ハンデという長いレース名でしたが、今年は簡潔に縮められています。firm の芝コースに1頭が取り消して10頭立て。去年の勝馬チョコレート・ライド Chocolate Ride が2対1で1番人気。
スタートから先手を奪ったのは1番枠スタートの5番人気(8対1)テイク・ザ・スタンド Take the Stand 、前走も逃げて2着に粘った馬ですが、今回はまんまの逃げ切り勝ち。勝時計1分47秒80はコース・レコードと文句の付けようの無い快走でした。1馬身4分の1差で2番人気(3対1)のワールド・アプルーヴァル World Approval が2着、更に1馬身半差で4番人気(6対1)のクロージング・ベル Closing Bell が3着に入り、チョコレート・ライドは3番手を進むも4着に終わって連覇成らず。去年の勝時計1分48秒18が破られての敗戦ですから仕方ない所でしょう。
ウイリアム・モット厩舎、エドガー・プラード騎乗のテイク・ザ・スタンドは、去年アルゼンチンのGⅢ戦(芝の1マイル)に勝っている5歳牡馬。前走タンパ・ベイ・ステークス(芝GⅢ)でも逃げ、2着していました。アルゼンチンからの通算成績は12戦6勝2着2回3着1回となります。

ルイジアナの3鞍目はフェア・グラウンズ・オークス Fair Grounds Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。ケンタッキー・オークスのポイント対象トライアルで、1着から4着までに今シーズン最初の100-40-20-10ポイントが加算されます。8頭が出走し、カリフォルニアではチャンピオンのソングバード Songbird にいつも2着と及ばなかったランド・オーヴァー・シー Land Over Sea が9対5の1番人気。
3番人気(4対1)のミッドナイト・オン・オコーニー Midnight On Oconee が逃げ、ランド・オーヴァー・シーは6番手に待機。2番手を追走した3番人気(4対1)のアドア Adore が直線で先頭に立ちましたが、本命馬が着実に脚を伸ばすと、後方から追い込む最低人気(23対1)のドリーム・ダンス Dream Dance に4馬身半差を付ける完勝で見事人気に応えました。首差で粘ったアドアが3着。
ダグ・オネイル厩舎、今回が同馬とは初コンビとなるジョン・ヴェラスケス騎乗のランド・オーヴァー・シーは、5戦連続でソングバードの後塵を拝してきた馬。2歳時はシャンデリア・ステークス(GⅠ)、3歳になってからもラス・ヴァージェネス・ステークス(GⅡ)、サンタ・イザベル・ステークス(GⅢ)でも何れも2着でしたが、この勝利でポイント合計は一気に128に跳ね上がり、現時点のトップに立ちました。

フェア・グラウンズの最後は、ダービー・ポイント100となるルイジアナ・ダービー Louisiana Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。ドバイのUAEダービーと同じ最高ポイント対象の一戦です。1頭が取り消して10頭立て、前走リズン・スター・ステークス(GⅡ)では不利がありながらも4着だった評判馬のモー・トム Mo Tom が2対1の1番人気。
5番人気(10対1)のキャンディー・マイ・ボーイ Candy My Boy が逃げましたが、3番手を進んだ3番人気(7対2)のガン・ランナー Gun Runner が第3コーナーでは2番手に上がると、直線では外から逃げ馬を捉えて抜け出し、ブービー人気(30対1)のトムズ・レディー Tom’s Ready に4馬身半の大差を付ける圧勝でトライアルを制しました。更に1馬身4分の1差で4番人気(8対1)のダズリング・ジェム Dazzling Gem が3着に入り、人気のモー・トムは又しても直線で内に包まれチェックする不利があっての4着。余程レース運の無い馬なのでしょう。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のガン・ランナーは、これで5戦4勝。唯一の敗戦は2歳時のケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)4着のみで、前走リズン・スター・ステークスを快勝した馬。ナイクィスト、モヘイメン、デスティンなどと共に、ケンタッキー・ダービーでラニのライヴァルとなる1頭です。

土曜の最後はサンタ・アニタ競馬場からサンタ・アナ・ステークス Santa Ana S (芝GⅡ、4歳上牝、9ハロン)。去年は3月中旬に行われていました。今年は firm の馬場に1頭が取り消して5頭立て。去年のQEチャレンジ・カップを制したGⅠホースのハー・エミネンシー Her Emmynency が4対5の断然1番人気。
そのハー・エミネンシーがハナに立って逃げ切る作戦でしたが、何故か第4コーナーでは手応えが無くなり急激に失速。2番手を進んだ3番人気(7対2)のグローリー Glory と3番手を追走していた最低人気(18対1)フレッシュ・フェリーン Fresh Feline の争いと見えた時、前半は最後方で待機していた2番人気(7対2)のトゥッティパエージ Tuttipaesi が直線で思い切ってインコースを通り、馬群をこじ開けるように突き抜けると、ゴール直前でグローリーを首差捉えての優勝。4分の3馬身差でフレッシュ・フェリーンが3着に入り、ハー・エミネンシーは最下位に敗退してしまいました。
ウイリアム・モット厩舎、これがサンタ・アニタの初体験となったクリストファー・デカルロ騎乗のトゥッティパエージは、これがG線初勝利となる6歳馬。前走ガルフストリームのマーシュアズ・リヴァー・ステークス(芝GⅢ)では3着し、カリフォルニアに遠征しての競馬でした。

 

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