ブラック=アイド・スーザンはサプライズ

今週のアメリカ競馬はクラシック三冠の第2弾、プリークネス・ステークスが最大の見所。ダービー馬アメリカン・フェイロー American Pharoah が8頭立ての1番枠を引いて話題になっていますが、その前日は同じピムリコ競馬場で4鞍のG戦が行われます。
最初にお断りしておきますが、ピムリコ競馬場のレース映像には全馬の最終オッズが映し出されません。各馬の人気は4着までに入着した馬に限られる場合もあります。またレース途中の順位も前4頭だけしか表示連れないので、ご承知下さい。

この日は牝馬が主役の一日で、最初はミス・プリークネス・ステークス Miss Prakness S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。恐らく相当なアメリカ競馬ファンでも聞いたことの無いレース名かと思われますが、新設されたものではなく、1986年に創設された3歳牝馬短距離戦が今年からGⅢに格上げされたもの。fast の馬場でしたが、朝の段階で1・2番人気だった両馬に加え3頭が取り消したため8頭立て。前走ボーモント・ステークス(GⅢ)で取り消したミス・エラ Miss Ella の2着したディヴァイン・ドーン Divine Dawn が恐らく2対1の1番人気。
レースは8対1のウインディー・フォアカスト Windy Forecast と6対1のスーパー・サックス Super Saks がハナを争うハイペース。最後は追込み馬の競馬となり、前半後方2番手に付けていた5対1のアイリッシュ・ジャスパー Irish Jasper が直線で思い切り最内を衝き、同じく後方から伸びる5対2のウアスカ Huasca に1馬身4分の1差を付けて優勝。2馬身半差で8対1のココス・ワイルドキャット Coco’s Wildcat が3着に入り、ディヴァイン・ドーンは更に4馬身4分の3差で4着に終わりました。
デレック・ライアン厩舎、ケンドリック・カームーシュ騎乗のアイリッシュ・ジャスパーは、これがG戦初挑戦での初勝利。ステークスそのものは2歳時にガスパリラ・ステークス(タンパベイの7ハロン)、前走アケダクトでもベル・ハード・ステークス(6.5ハロン)に勝っており、徐々に距離が短くなっている所が面白い点でしょう。

続いてはアレール・デュポン・ディスタッフ・ステークス Allaire DuPont Distaff S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。これも去年は行われなかったG戦ですが、1992年に創設(ピムリコ・ディスタッフ・ステークスとして)されてGⅡに上がったこともある一戦。2010年と去年は施行されませんでした。1頭が取り消して11頭立て。GⅠに2勝しているストップチャージングマリア Stopchargingmaria がGⅢのここでは2対5の断然1番人気に支持されていました(の筈です)。
逃げたのは5対1のヤヒルワ Yahilwa でしたが、6番手を進んだストップチャージングマリアが馬場の中央を通って抜け出し、ヤヒルワに4馬身差を付ける完勝でした。首・首の接戦で、3着は21対1の伏兵ジョイント・リターン Joint Return 。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のストップチャージングマリアは、去年のこの日のブラック=アイド・スーザン・ステークスの勝馬で、そのあとコーチング・クラブ・アメリカン・オークス、アラバマ・ステークスとGⅠに2勝。3歳シーズンを9月のベルデイム・ステークス(GⅠ)2着で終え、今シーズンも4月にマディソン・ステークス(GⅠ)で2着していました。勝星はアラバマ・ステークス以来ですが、このあとはGⅠの常連になっていくことは間違いありません。

そしてプリークネス前日のメインとなるブラック=アイド・スーザン・ステークス Black-Eyed Susan S (GⅡ、3歳牝、9ハロン)。ケンタッキー・ダービーにケンタッキー・オークスがあるように、プリークネスの牝馬版がこれ、GⅡではありますが。9頭の3歳牝馬が揃い、サンタ・アニタ・オークス2着のリュミナンス Luminance が6対5の1番人気。プリークネスにアメリカン・フェイローを出走させるボブ・バファート厩舎の馬という点も人気の要因でしょう。
そのリュミナンスも8番枠から好スタートを切りましたが、それを抑えて先頭に立ったのが大外9番枠スタートの15対1、キーン・ポーリーン Keen Pauline 、リュミナンスが徐々に後退するのを尻目に、9ハロンを鮮やかに逃げ切ってしまいました。2馬身4分の3差で9対2のインクルード・ベッティー Include Betty が2着、更に半馬身差で4対1のアー・チョコレート Ahh Chocolate が3着に入り、リュミナンスは5着に終わっています。
デール・ロマンス厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のキーン・ポーリーンは、前走キーンランドで6ハロンのアローワンス戦で4着、9ハロンは初体験の距離でした。勝鞍は去年9月の初勝利以来の2勝目で、サプライズと言って良いでしょう。ロマンス厩舎はブラック=アイド・スーザン・ステークス初制覇ですが、カステラノ騎手は去年のストップチャージングマリアに続いて2連覇、2度目の勝利です。

金曜日の最後は最終レースに組まれていたピムリコ・スペシャル Pimlico Special (GⅢ、3歳上、9.5ハロン)。この日のG戦で牡馬が出走するのはこれだけです。3頭が取り消して7頭立て。去年のベルモント・ステークス2着馬で、前走スキップ・アウェイ・ステークス(GⅢ)でG戦初勝利を飾ったコミッショナー Commissioner が6対5の1番人気。
レースは最低人気(15対1)のエンクリプション Encryption が逃げ、コミッショナーは2番手追走。早くも第3コーナー手前で逃げ馬に並び掛けたコミッショナー、直線も独走で、追い込む4番人気(7対1)ページ・マッケーニー Page McKenney に2馬身半差を付けて期待に応えました。更に2馬身4分の3差で2番人気(3対1)のキャット・バーグラー Cat Burglar が3着。
ディスタッフに続いてトッド・プレッチャー厩舎、ブラック=アイド・スーザンに続いてハヴィエル・カステラノ騎乗のコミッショナーは、これでG戦に2連勝。G戦に初勝利するまでに7回挑戦しましたが、一度勝ってみれば連勝。次はブルックリン・ハンデを目指します。

 

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