カリフォルニアの猛暑も関係なし、圧巻のビホールダー

6月4日のアメリカ競馬は、三冠第3弾のベルモント・ステークス一週前。それでも2鞍のGⅠ戦を含め、4つの競馬場で5鞍のG戦が行われています。

最初はベルモント・パーク競馬場のペナイン・リッジ・ステークス Pennine Ridge S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)。今回初めて聞くレース名で、一昨年創設。今年からGⅢに格上げされた一戦です。firm の馬場に10頭立て、前走アメリカン・ターフ・ステークス(芝GⅡ)で大穴を開けたキャメロット・キッテン Camelot Kitten が9対5の1番人気。人気になっても勝てるかに注目です。
最低人気(99対1)のタフェスト・オンブレー Toughest ‘Ombre が一時は後続を5馬身離す捨て身の逃げを打ちましたが、前半6番手に控えていたキャメロット・キッテンが直線では前2頭を外から捉え、後方2番手から大外を通って追い込む2番人気(5対2)のハイランド・スカイ Highland Sky を首差を抑えて人気に応えました。ハナ差で5番手から伸びた3番人気(6対1)のコール・プロヴィジョン Call Provision が3着。
チャド・ブラウン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のキャメロット・キッテンは、これでG戦2連勝。前走がG戦初勝利でしたから、人気の有る無しに関係なく差し足を発揮できることを証明。良血開花と言えそうです。

続いてチャーチル・ダウンズ競馬場からはアリスタイデス・ステークス Aristides S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。アローワンス戦ながらここ4戦で3勝、前走チャーチル・ダウンズ・ステークス(GⅡ)では大きな不利を被っての6着だったリムジン・リベラル Limousine Liberal が4対5の1番人気。
ジョイント2番人気(3対1)のユニオン・ジャクソン Union Jackson が逃げ、リムジン・リベラルは3番手から。スタートが1番良かった同じ3対1のアルスヴィッド Alsvid が一旦2番手に控えていましたが、直線で逃げ馬を捉えると、外から追い込むリムジン・リベラル、そして内で粘るユニオン・ジャクソンとの叩き合いを制して優勝。頭差でリムジン・リベラルは2着、半馬身差でユニオン・ジャクソンが3着でした。
クリス・ハートマン厩舎、クリス・ランデロス騎乗のアルスヴィッドは、去年のアリスタイデスの勝馬で、去年の勝利から1年振りの連覇。その間7戦連続して掲示板に載っていましたが、G戦は久し振りとなる3勝目。通算では14勝目を挙げた7歳せん馬です。

次はペン・ナショナル競馬場のペン・マイル Penn Mile (芝GⅢ、3歳、8ハロン)。このレースも去年からGⅢに格上げされた新しいG戦で、今年が創設されてから4回目。7頭が出走し、何故か前走アメリカン・ターフ・ステークス(GⅡ)2着のビーチ・パトロール Beach Patrol が7対5の1番人気。この時勝ったキャメロット・キッテンがニューヨークでペナイン・リッジに快勝したことも人気を集めた理由でしょう。
普通なら本命になってしかるべき2番人気(8対5)のキャッチ・ア・グリンプス Catch a Glimpse が逃げ、そのまま後続を寄せ付けず、後方から伸びた3番人気(5対1)のエアフォース Airforce に2馬身4分の1差を付ける逃げ切り勝ち。1馬身差で2番手を追走した6番人気(16対1)のジャイアント・ラン Giant Run が3着に入り、ビーチ・パトロールは後方のまま6着敗退。
マーク・カッセ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のキャッチ・ア・グリンプスは、去年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフの勝馬で、今期もG戦に3勝していた強豪。去年カナダの年度代表馬でもあり、このGⅢ戦での2番人気は屈辱だったかも知れません。ここでは格が違うことを見せ付けた一戦となりました。

最後はサンタ・アニタ競馬場からGⅠ戦2鞍。この日のカリフォルニアは華氏90度に上がったそうで、摂氏に換算すれば32度ほど。猛暑とは言えないものの、真夏日には違いなく、この季節としては猛暑と表現しても良い暑さ。
先に行われたシューメーカー・マイル Shoemaker Mile (芝GⅠ、3歳上、8ハロン)は早くも勝馬にブリーダーズ・カップへの優先出走権が与えられるレースで、firm の馬場に6頭立て。去年秋からG戦に3連勝、前走メイカーズ46マイルで惜しくもGⅠ戦初勝利を逃したハート・トゥー・ハート Heart to Heart が4対5の1番人気。
3番人気(9対2)のミッドナイト・ストーム Midnight Storm が逃げ、ハート・トゥー・ハートはこれをピタリと2番手でマークして直線。しかし本命馬はそこから逃げ馬を交わすどころか一杯になって後退。これを尻目にミッドナイト・ストームが、3番手から追い込む2番人気(7対2)のトゥーリスト Tourist に半馬身差を付ける逃げ切り勝ちでした。4馬身4分の1差が付いて4番手を進んだ4番人気(9対2)のトゥエンティートゥエンティーヴィジョン Twentytwentyvision が3着に入り、ハート・トゥー・ハートは4着敗退でGⅠ戦初勝利成らず。
フィリップ・ダマト厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のミットナイト・ストームは、去年11月にデル・マーでシービスケット・ハンデ(芝GⅡ)に勝っていた5歳牡馬。去年のこのレースでは半馬身差の2着と惜敗しており、雪辱を果たすと同時にGⅠ戦初制覇となりました。もちろん優先出走権を得たBCマイルが目標になるでしょう。

最後はヴァニティー・マイル Vanity Mile (GⅠ、3歳上牝、8ハロン)。去年は5月9日に9ハロン戦、ヴァニティー・ステークスとして行われましたが、今年は距離を1マイルに短縮し、レース名も改めての施行です。fast の馬場に2頭が取り消して5頭立て。古馬牝馬部門のチャンピオンに君臨するビホールダー Beholder が1対5の圧倒的1番人気。
4番人気(14対1)のロスト・バス Lost Bus がアメリカ競馬では珍しい超スローペースに落として逃げましたが、2番手に付けたビホールダーには全く通用せず。第3コーナーで抑えたまま先頭に立った大本命は、4番手から追い上げる2番人気(3対1)のステラー・ウインド Stellar Wind に1馬身半差を付ける大楽勝。4分の3馬身差で3番手を追走した3番人気(12対1)のファイネスト・シティー Finest City が3着に入りました。
リチャード・マンデラ厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のビホールダーに付いては解説無用でしょう。これでステークスばかり8連勝、GⅠレースも10勝目となる6歳馬で、今年も最強古馬牝馬、いや年度代表馬をも窺う存在です。猛暑にも拘わらず、馬も騎手も汗一つかかない圧勝劇でした。

 

 

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