今週は古馬牝馬戦線

3月も第3週、今週のG戦は3月18日(土曜日)の4鞍だけで、その内3鞍が古馬牝馬によるG戦。順当に強い馬が勝ったレースもあれば、大本命惨敗の一戦もあり、斑模様とでも言いましょうか・・・。
今年の古馬牝馬戦線は、チャンピオンの座にあったビホールダー Beholder が引退し、替わってソングバード Songbird とステラー・ウインド Stellar Wind が主役の座を争うという図式と見て良いでしょう。しかしソングバードは軽い故障もあって未だ調整過程。この日は2強に続く馬を探す週末となりました。

先ずフロリダのガルフストリーム・パーク競馬場は、古馬牝馬でもスプリンターが揃うインサイド・インフォメーション・ステークス Inside Information S (GⅡ、4歳上牝、7ハロン)。fast の馬場に8頭が参戦し、目下G戦2連勝中のカーリンズ・アプルーヴァル Curlin’s Approval が3対5で断然の1番人気、3連勝は固い所でしょう。
レースは最低人気(90対1)のダネッサ・アゲン Danessa Again が逃げ、カーリンズ・アプルーヴァルは後方2・3番手。これを3番手辺りで追走していた2番人気(3対1)のデアレスト Dearest が一気に先頭に立って直線に向かうと、グイグイ後続を引き離す構え。しかしここで末脚を爆発させたのは、断然本命ならぬ5・6番手で待機していた4番人気(11対1)のディスティンタ Distinta で、これも最後方から伸びる7番人気(20対1)のウィートフィールド Wheatfield に半馬身差のサプライズとなりました。一旦は押し切るかに見えたデフレストが頭差で3着に粘り、期待のカーリンズ・アプルーヴァルは、後方のまま伸び足を欠いて5着敗退。
勝馬を管理するのは、ヴェネズエラから新天地を求めてアメリカにやってきたヴィクター・バルボザ師。ヴェネズエラではG戦に28勝したそうですが、これがアメリカでのG戦初勝利となります。ジョン・ヴェラスケス騎乗のディスティンタも、これがステークスもG戦も初勝利となる5歳馬。今期初戦の1月にガルフストリームでアローワンス戦に勝ち、続くハリケーン・バーティー・ステークス(GⅢ)で3着。前走は2月の一般ステークス(ホワイト・パール・ステークス)で2着し、ここで念願のステークス初勝利に繋げた堅実なスプリンターです。

次にオークローン・パーク競馬場から、先ずアゼーリ・ステークス Azeri S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)は古馬牝馬路線。こちらも馬場は fast で7頭立てとなり、ここオークローンでは5戦無敗、前走バヤコア・ステークス(GⅢ)を含めて目下ステークスを2連勝中のテラ・プロメッサ Terra Promessa が1対5の圧倒的1番人気に支持されていました。ピッピン→バヤコア→アゼーリと3連勝し、アップル・ブロッサムに王手をかける勢いでしょう。
先手を取ったのは、5番人気(22対1)のシー・メイビー・ワイルド She Maybee Wild 。本来なら好スタートから先行策を採るテラ・プロメッサですが、この日は何故かスタート・ダッシュが鈍く、3番手から次第に後退する不本意な展開。結局、逃げ馬を2番手でマークした3番人気(12対1)のスティームライン Steamline が先頭に立つと、3番手を進んだ2番人気(7対2)のエスケンフォーマネー Eskenformoney に1馬身差を付ける逆転劇となりました。6番人気(31対1)のタイガー・モス Tiger Moth が半馬身差で3着に入り、大本命テラ・プロメッサは、第3コーナーで前が塞がる不利も手伝っての5着惨敗。フロリダと共にガチガチの本命馬が掲示板にも載らない波乱となってしまいました。
ブライアン・ウィリアムソン厩舎、クリス・ランデロス騎乗のスティームラインも、これがG戦初勝利となる5歳馬。オークローンの古馬牝馬路線に去年から2年連続でチャレンジしており、去年はピッピン・ステークス(一般ステークス)に優勝し、バヤコア2着、アゼーリは3着に終わりましたが、最終目標のアップル・ブロッサムでは2着と健闘していました。今年はピッピン3着、バヤコアも3着と続き、遂にアゼーリでG戦初勝利。来るアップル・ブロッサムでGⅠ取りに挑むことになります。

ここで古馬牝馬戦線は一休みし、同じオークローンのレベル・ステークス Rebel S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。一昨年はアメリカン・フェイロー American Pharoah が制した重要なクラシック・トライアルで、今年は11頭が参戦し、前走シェイム・ステークス(GⅢ)でゴームリー Gormley とのマッチレースの末2着となったアメリカン・アンセム American Anthem が1勝馬ながら8対5の1番人気。
7番人気(11対1)のアンコンテステッド Uncontested が逃げましたが、2番手でマークしていた2番人気(3対1)のマラガシー Malagacy が第4コーナーで外から前を捉えると、3頭の激しい2着争いに2馬身差を付ける快勝。写真判定の結果、内ラチ沿いギリギリを衝いて伸びた最低人気(99対1)のソナティーア Sonneteer が2着に食い込み、ハナ差で外を追い込んだ5番人気(8対1)のアントラップド Untrapped が3着、更にハナ差で内から2頭目の3番人気(6対1)のペトロフ Petrov が3着となり、アメリカン・アンセムは何と10着大敗に終わりました。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のマラガシーは、1月4日にガルフストリームの未勝利戦でデビュー勝ち(15馬身差!!で)、続いて2月12日には同じガルフストリームでアローワンス戦を連勝し(ここは7馬身差!)、これが3戦目。無傷のままダービーへの切符(50ポイント)を手に入れたことになり、新たなるダービー候補の出現と言えるでしょう。次のアーカンソー・ダービーが真の試金石。

この日の最後は、サンタ・アニタ競馬場のサンタ・マルガリータ・ステークス Santa Margarita S (GⅠ、4歳上牝、9ハロン)。カリフォルニアも馬場は fast 。8頭が揃いましたが、事実上はBCフィリー・アンド・メア・スプリントの覇者ファイネスト・シティー Finest City と、G戦3連勝中のヴェール・ドーリ Vale Dori の一騎打ち。ここは距離が有利なヴェール・ドーリが6対5の1番人気に推され、前走サンタ・モニカ(GⅡ、7ハロン)も快勝したファイネスト・シティーは8対5の2番人気で落ち着きました。
スタートから主導権を握ったのは本命ヴェール・ドーリで、ファイネスト・シティーはこれをマークするように2番手追走。そのまま2頭のマッチレースとなり、結局2頭の差は縮まらず、ヴェール・ドーリがファイネスト・シティーを1馬身半差振り切っての逃げ切り勝ちとなりました。5番手から追い込んだ最低人気(50対1)のオータム・フラワー Autumn Flower が3着に追い上げましたが、前2頭からは9馬身半の大差が付いています。
ボブ・バファート厩舎、ラファエル・べハラノ騎乗のヴェール・ドーリに付いては改めて紹介無用。去年12月デル・マーのバヤコア・ハンデ(GⅡ)、1月のラ・カニャーダ(GⅡ)、2月のサンタ・マリア(GⅡ)とG戦は4連勝、その前のアローワンス戦から数えて5連勝でGⅠ戦初勝利となりました。余り活躍馬が出ていないアルゼンチン・ファミリー(8号族j)で、基礎牝馬レディー・エリザベス Lady Elizabeth まで遡らないと近親馬にGⅠ級の馬が見当たりませんが、ソングバード、ステラー・ウインドに続く第3の古馬牝馬はこの馬で決まり、と言えそうです。

 

 

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