マリファナ疑惑で取り消し

今週のアメリカは三冠レースの第3弾、ベルモント・ステークスを中心にベルモント競馬場が注目の舞台。ベルモントでは既に木曜日からステークス・ラッシュがスタートしていて、木曜は3鞍、金曜も6鞍、そして土曜日には10鞍のステークスが行われます。
このうちG戦は金曜日に2鞍、土曜日は9鞍で、何もベルモント・ステークスだけが話題になっている訳じゃありません。11日はGⅠ戦だけでも6鞍組まれているのですから。

今日は6月10日にベルモント・パーク競馬場で行われた2鞍を紹介しますが、いきなり何ともコメントしようの無いニュースが飛び込んでいます。
それがG戦祭り第一弾のトゥルー・ノース・ステークス True North S (GⅡ、4歳上、6ハロン)。当初6頭が登録し、中でもフォアゴ・ステークス(GⅠ)勝馬のプライヴェイト・ゾーン Private Zone が1番人気になる筈でしたが、取り消してしまいます。
その理由が、管理するブライアン・リンチ調教師にマリファナ使用疑惑があり、薬物検査でクロ。社会に与える影響に鑑み、リンチ師が管理するプライヴェイト・ゾーンに出走禁止令が出た、というのですから驚きです。馬やオーナーには関係ありませんが、代理調教師の元で出走という救済措置はないようです。何より競馬ファンには迷惑なルール。日本で報道されているのかは不明ですが、こんなケースは私が知る限りでは初めてのこと。馬の薬物で失格というのは時折発生しますが、関係者の大麻使用が牽引と言うケース、前例があるならご教示頂きたいと思います。

http://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/212293/troubles-for-trainer-lynch-private-zone-out

気を取り直してトゥルー・ノース・ステークス、fast の馬場に5頭立てとなり、イーヴンの1番人気に支持されたのは、前走ダービー・デイに行われたチャーチル・ダウンズ・ステークス(GⅡ)に勝ったカタリナ・レッド Catalina Red でした。
好ダッシュから何故か最低人気(12対1)でカーター・ハンデ(GⅠ)を二度制しているダッズ・キャップス Dads Caps の逃げ。カタリナ・レッドはこれを2番手で追走しましたが、ダッズ・キャップスはスピード衰えずゴール目前。しかし前半は最後方を走っていた4番人気(9対1)のジョーキング Joking が大外から猛追し、ゴール手前で逃げ馬を首差捉えてのサプライズです。4分の3馬身差で後方2番手から追い上げた2番人気(2対1)のホーリー・ボス Holy Boss が3着に入り、カタリナ・レッドは4着敗退。下位人気2頭のワン・ツーでした。
勝ったジョーキングを管理するチャールトン・ベイカーは、同馬の持ち主でもあるオーナー/トレイナーで、G戦に勝ったのはこれが初めて。マヌエル・フランコが騎乗していました。ジョーキング自身もG戦は初勝利で、ベルモントの一般ステークス(ディアブロ・ステークス、6ハロン)を含めて3連勝となる7歳せん馬です。

ベルモントのもう一鞍がニュー・ヨーク・ステークス New York S (芝GⅡ、4歳上牝、10ハロン)。good の馬場に7頭が出走し、先月ベルモントで稍重(yielding)馬場のシープスヘッド・ベイ・ステークス(芝GⅡ)を勝った元フランスのシー・カリージ Sea Calisi が4対5の1番人気。
スタートして先頭に立ったのは2番人気(7対2)のフォト・コール Photo Call 、シー・カリージは最後方に待機し、順位が変わらぬまま直線。シー・カリージが馬場の中央から馬群を割って伸びたのに対し、後方3番手を進んだ3番人気(9対2)のダシータ Dacita は大外から一気の末脚を爆発させ、シー・カリージに4分の3差で優勝。半馬身差で2番手を進んだ4番人気(6対1)のグァパザ Guapaza が粘り込み、チャド・ブラウン厩舎の3頭がワン・ツー・スリーでのゴール。
イラッド・オルティスが騎乗したダシータは、去夏サラトガでのボールストン・スパ・ステークス(芝GⅡ)に続いて二つ目のアメリカでのG戦勝利。チリからアメリカに転厩してきた2011年生まれで(南米産なので5歳とも6歳とも)、チリではギニーとオークスに勝った二冠馬でもあります。サラトガでアメリカ初G戦勝ちを収めた後、10月末のBCフィリー・アンド・メア・ターフは10頭立ての9着、今年3月のザ・ヴェリー・ワン・ステークス(芝GⅢ)で2着、前走4月16日のジェニー・ワイリー・ステークス(芝GⅠ)では4着でした。目標はもちろん、南北アメリカでのGⅠ制覇でしょう。

 

 

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