ジャン・プラとクロエ

6月22日にダフニスとラ・クープという記事を書きましたが、それから3週間弱、今回はジャン・プラとクロエというタイトルです。
そう、サッカーのユーロ・カップ2016の決勝前夜となる7月10日の日曜日にシャンティー競馬場でG戦2鞍が行われましたが、その一つが、ダフニス賞とペアを成してきたクロエ賞 Prix Chloe (GⅢ、3歳牝、1800メートル)です。この日の馬場は good 、2頭が取り消して8頭が参戦してきました。ファーブル厩舎の新星で、サン=クルーとコンピエーニュの一般戦を2連勝して負け無しのマケット Maquette が21対10の1番人気。

そのマケットが逃げましたが、3番手を進んだ2番人気(7対2)のシャトルーズ Chatreuse がこれを捉えて残り1ハロンで先頭。ここに後方から一気に伸びたのが5番人気(58対10)のウォー・フラッグ War Flag 、シャトルーズを4分の3馬身捉えて鮮やかな差し切り勝ちです。1馬身4分の1差で中団の内から伸びた7番人気(20対1)のマグノリア Magnolea が3着。
勝ったウォー・フロントはジャン=クロード・ルジェ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗。2戦目にメゾン=ラフィットの未勝利戦で初勝利を挙げ、シャンティーの条件戦で2着・1着。これで5戦3勝2着2回と連帯を一度も外しておらず、堅実にG戦初勝利を記録しました。

続いては1マイルのGⅠ戦、ジャン・プラ賞 Prix Jean Prat (GⅠ、3歳牡牝、1600メートル)。せん馬には出走資格が無く、準クラシックとも言える重要なGⅠ戦です。今年は牡馬6頭、牝馬3頭の合計9頭が参戦してきましたが、準クラシックに相応しく唯1頭を除いて全てが各国のギニーに出走してきたメンバーたち。例外の1頭も前走ロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークス(GⅠ)で2着に食い込んだネモラリア Nemoralia とあって、極めてレヴェルの高いジャン・プラ賞となりました。
それらの猛者の中から8対5の1番人気に支持されたのは、仏2000ギニーこそ11着と大敗したものの、その後ポール・ド・ムーサック賞(GⅢ)に完勝したゼルザル Zelzal 。負けたのはクラシック一戦のみと言う信頼度の高い1頭です。

レースは仏2000ギニー2着馬でジョイント4番人気(12対1)のファースト・セレクション First Selection と、ゼルザルのペースメーカーを務める仏1000ギニー14着で最低人気(50対1)のポジティヴ・ヴァイブレーション Positive Vibration の激しい逃げ争いで始まります。これに巻き込まれたネモラリアは一気に最後方まで下がる不利。
2頭が後続に2馬身差を付けたまま直線に向くと、抜け出したのは中団から伸びた仏1000ギニー5着でジョイント7番人気(16対1)のスペクトル Spectre と、同じジョンと7番人気で2000ギニー11着のストーミー・アトランティック Stormy Atlantic 。しかし2頭の叩き合いを纏めて交わしたのが、中団で待機していた本命ゼルザル、残り2ハロンで先頭立つと、やや楽にストーミー・アトランティックに2馬身差を付ける完勝でした。短首差でスペクトルが3着に入り、最後方から巻き返したネモラリアが4着。

ゼルザルを管理するのは、この日G戦ダブルとなったジャン=クロード・ルジェ師で、師はこのレース、1994年のミルコム Millkom に続く2勝目。グレゴリー・ブノアが騎乗していました。
ゼルザルの仏ギニー敗戦は偶々この日が彼にとってオフだった、と考えれば、4戦4勝となります。ギニー勝馬にゼルザル加えた今年の3歳マイラー勢、これからは古馬との対決が始まります。

 

 

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