2016年プロムスが開幕
今年もこの季節がやってきました。英国ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを中心に2か月間、連日の様にクラシック音楽の演奏会が続くプロムスです。
私も2011年に実際に出掛けて聴きましたが、ネット中継を聴き出したのもこの頃から。今年もナマ中継の後30日間、何時でも何処でもBBCラジオに繋げば好きな時に聴くことが出来ますヨ。
5年ほど前は“パソコンで音楽なんて”と馬鹿にしている一人でしたが、年々パソコン周りの環境が改善され、今やCDをプレイヤーで回すよりは良い音質で聴けるようになりました。
ハイレゾ音源のダウンロード良し、CDのデータをパソコンに取り込んでフーバー再生するも良し、そしてプロムスの様なネット・ラジオも良しと、ミュージック・サーバーと高音質ヘッドフォン無しにはパソコン・オーディオは考えられませんぞ、諸兄。
ということで2016年のプロムスは7月15日、現地時間の夜7時に≪Prom 1≫でスタートしました。今年も全部お付き合い、というワケには行きませんが、面白そうなものを聴いて僅かながら感想を書き留めて行く積りです。
開幕の「ファースト・ナイト」は毎年恒例、BBC響のコンサート。2013年から首席指揮者を務めているサカリ・オラモの指揮で次のプログラムが演奏されました。
7月15日 ≪Prom 1≫ ファースト・ナイト
チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
エルガー/チェロ協奏曲
~休憩~
プロコフィエフ/カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」
BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
指揮/サカリ・オラモ Sakari Oramo
チェロ/ソル・ガベッタ Sol Gabetta
メゾ・ソプラノ/オルガ・ボロディナ Olga Borodina
合唱/BBCウェールズ・ナショナル・コーラス BBC National Chorus of Wales 、BBCシンフォニー・コーラス BBC Symphony Chorus
最初の演奏会は、今年のプロムスのテーマが凝縮されています。
即ち、最初のチャイコフスキーはシェークスピア没後400年を記念して、シェークスピア作品を題材とした音楽作品を紹介するもの。
続くエルガーは、今年の楽器「チェロ」に焦点を当てたもの。一昨年はヴァイオリン協奏曲、去年はピアノ協奏曲が数多く取り上げられてきたプロムス、今年は全部で10曲のチェロ協奏曲が予定されており、その中には新作委嘱も含まれています。
オケのチューニングが終わり、拍手に迎えられてコンサートマスターが登場。一呼吸あって指揮者の登壇という手順は、日本とは少し違います。
チャイコフスキーの木管で始まるかと思いきや、冒頭の演奏されたのはフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」。前日ニースで起きたテロ?の犠牲者への追悼と、テロに屈しないという意思表示。終わると客席から大歓声。
そしてチャイコフスキーの超有名曲が演奏されました。
2曲目はアルゼンチンの若手チェリスト、ソル・ガベッタのソロでエルガーの協奏曲。今年のプロムスには南米の音楽家を多く起用するという隠れテーマもあって、これもその一つでしょう。理由は書かなくても判りますね。
客席にはアルゼンチン国旗を振る人もいたようで、ガベッタのアンコールは、ラトビアの作曲家ペトリス・ヴァスクス Peteris Vasks 1946- の「チェロのための本」Gramata cellam から、第2曲のドルチェシモ。2つの楽章から成る無伴奏チェロのための作品で、第1曲はマルカティッシモという楽曲。
実はガベッタの弾くエルガーと今回のアンコール曲、何年か前に新日本フィルでも演奏されていて、私も同じ演奏をミューザ川崎のサマー・フェストで聴いていました。感想を見つけたのでこちらから。
後半はプロコフィエフのカンタータ。今回久し振りにスコアを見ながら聴きましたが、改めて作曲家のオーケストレーションに感服。特に第5曲「氷上の戦い」の最後、10部に分かれた弦楽器群の響きには素晴らしいものがあります。
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