波乱? 愛オークス

今日はイギリスよりも先にアイルランドの結果から始めましょう。先に枠順を紹介していたアイルランド・オークスです。
この日カラー競馬場では3鞍のG戦が行われていますが、先ずは最後に行われたアイリッシュ・オークス Irish Oaks (GⅠ、3歳牝、1マイル4ハロン)から。馬場は good to yielding 、所により yielding と丁度良くクッションが効いた走り易い馬場でした。

当初登録の12頭から、ジョセフ・オブライエン厩舎のウェイ・トゥ・マイ・ハート Way To My Heart が取り消して11頭立て。ロイヤル・アスコットでリブルスデール・ステークス(GⅡ)を完勝したイーヴン・ソング Even Song が4対5の断然1番人気。ここはかなり固い本命馬と評価されていました。
そのリブルスデールでは8着に敗れたものの、英オークスの2着馬アーキテクチャー Architecture が6対1の2番人気で続きます。去年の愛オークスをカヴァート・ラヴ Covert Love で制したヒューゴー・パーマー厩舎が、デットーリを得て2連覇を目指して遠征してきました。

レースは、3番人気(9対1)で本命馬と同じエイダン・オブライエン厩舎のプリティー・パーフェクト Pretty Perfect が強いペースでの逃げ。ペースメーカーという意味ではなく、スタミナ勝負に持ち込む構えでしょう。大本命は後方に控え、9番手で末脚に賭けます。
しかし何故かこの日、イーヴン・ソングはライアン・ムーアのゴーサインにも反応は鈍く、替って伸びて来たのは更に後ろに付けていた4番人気(14対1、同じオッズで5頭が並んでいました)のセヴンス・ヘヴン Seventh Heaven 。中団の6番手を進んだアーキテクチャーも同時にスパートし、一旦はデットーリが勝つかに見えましたが、ここからギアを入れ直したセヴンス・ヘヴンがアーキテクチャーを突き放し、2馬身4分の3差を付けてクラシック制覇を果たしました。
更に1馬身4分の1差で中団8番手から追い込んだ4番人気の一角ハーレクィーン Harlequeen が3着に入り、イーヴン・ソング Even Song は7着と期待を裏切ってしまいました。オブライエン師によれば、同馬はロイヤル・アスコットにかなり強い調教をして臨んだ由。よくあることで、強い調教でレースに勝った場合、次のレースでは凡走する、いわゆる「二走ボケ」が出たのではないか、とのこと。馬の状態には問題無かったようです。

勝ったセヴンス・ヘヴンも、またオブライエン軍団の1頭で、シーマス・ヘファーナン騎乗。前走英オークスは6着でしたが、エプサムのトリッキーなコースが合わなかったのが敗因。その前はリングフィールド・オークス・トライアル(L)に勝っており、カラー競馬場のフラットで力の要るコースが適していたのでしょう。G戦は初勝利ながらメンバー中でも最も成長力が見られた1頭だったと言えそうです。このあとはヨークシャー・オークスを目指すとのこと。
終わって見れば2・3着は英オークスと同じ。勝馬がガリレオ Galileo 牝馬という点も共通していました。ガリレオ産駒の愛オークスは2012年のグレート・ヘヴンズ Great Heavens 以来2勝目というのも意外ですが、オブライエン師はこのレース、2006年から2008年まで3連覇し、そのあと一昨年のブレスレット Bracelet に続く2年振りで5勝目。スタウト師の持つ最多勝利6勝にあと一つと迫りました。ヘファーナン騎手は愛オークス初制覇。

以上でオークス・レポートを終え、次は残り2鞍のG戦。先ずサファイア・ステークス Sapphire S (GⅡ、3歳上、5ハロン)は1頭が取り消して6頭立てとなり、前走キングズ・スタンド・ステークス(GⅠ)では16着と期待を裏切ったメッカズ・エンジェル Mecca’s Angel が5対4の1番人気。
最低人気(20対1)グレイシャス・ジョン Gracious John の逃げを2番手で追走したメッカズ・エンジェル、本来の末脚を爆発させると、中団4番手から伸びる2番人気(9対4)のブランド Brando に3馬身差を付ける圧勝で期待に応えました。半馬身差でグレイシャス・ジョンが3着に逃げ粘り。

マイケル・ダッズ厩舎、ポール・マルレナン騎乗のメッカズ・エンジェルは、去年のこのレースで2着した5歳牝馬。去年はそのあとヨークでナンソープ・ステークスを制してGⅠタイトルを獲得。今期はテンプル・ステークス(GⅡ)2着から始動しましたが、上記の様に2戦目のキングズ・スタンドで凡走。今回は得意とする差し競馬を活かせる展開となったことで実力を発揮できたと言えるでしょう。
今年もナンソープ連覇を目指しますが、オッズはレース前の8対1から5対1へと上昇しています。

もう一鞍のG戦はアングルジー・ステークス Anglesey S (GⅢ、2歳、6ハロン63ヤード)。ここも6頭立て、ロイヤル・アスコットでコヴェントリー・ステークス(GⅡ)3着したサイケデリック・ファンク Psychedelic Funk が9対10の被った1番人気。
5番人気(25対1)のマーディフ Mirdif と6番人気(50対1)のアンビグィティー Ambiguity がハナ争いを演じましたが、2ハロンからはマーディフが競り勝っての逃げ。サイケデリック・ファンクはこれを3番手で追走していましたが、そのあと4番手で待機した2番人気(3対1)のピース・エンヴォイ Peace Envoy が伸び、サイケデリック・ファンクに1馬身4分の3差を付けて優勝。半馬身差でマーディフが3着に入りました。

ピース・エンヴォイはエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗で、既にこれが6戦目と経験豊富。ロイヤル・アスコットのノーフォーク・ステークス(GⅡ)は4着で、前走レイルウェイ・ステークス(GⅡ)では1番人気に支持されながら2着と敗れていました。オブライエン師はこのレース10勝目となります。
次走は地元のフェニックス・ステークスか、仏遠征のモルニー賞でGⅠ制覇を目指しますが、同厩のスター、カラヴァッジョ Caravaggio がフェニックスに参戦した場合は、フランスを選ぶことになりそう。いずれにしてもオブライエン厩舎ではラッド(日本でいう馬丁)が情報を交換しながら、ローテーションを決めて行く仕組みなのだそうです。

 

 

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