セルクル・ド・ラルモニーのプロムス・デビュー

21日のプロムスはダンスを見て楽しむ会ですから、音声だけのネット中継では意味がありません。演奏された作品も私には縁の無いものが多いのでパスし、一日置いたプロムス9を聴きました。

7月22日 ≪Prom 9≫
モーツァルト/交響曲第39番
メンデルスゾーン/演奏会用アリア「不幸な女よ」
     ~休憩~
モーツァルト/演奏会用アリア「ああ、私は予想していた」K272
メンデルスゾーン/交響曲第4番
 ル・セルクル・ド・ラルモニー Le Cercle de l’Harmonie
 指揮/ジェレミー・ローラー Jérémie Rhorer
 ソプラノ/ローザ・フェオラ Rosa Feola

縁が無いと言えばこの回も個人的には苦手なジャンル。恐る恐る聴き始めましたが、予感は的中してしまいました。
今回がプロムス・デビューというル・セルクル・ド・ラルモニーは、2005年にフランスで結成された古楽器アンサンブルだそうで、詳しいことは判りません。要するに私は古楽器団体は感心すれど感動せずという立場なので、最初から食わず嫌いなので悪しからず。
モーツァルトとメンデルスゾーン、二人の早逝した天才の作品から、夫々の交響曲と演奏会用アリアを一つづつ組み合わせるという気の利いた選曲で、古楽ファンにはお薦めのコンサートでした。

ということで冒頭のモーツァルト。変ホ長調交響曲の序奏からイケマセン。とにかくテンポが速く、通常の2倍ほど。ここを聴いて私は、かつてナマで接したエクサンプロヴァンス公演のハーディング指揮「ドン・ジョヴァンニ」を思い出してしまいました。
あれがトラウマになって私は決してハーディングという指揮者を赦せないのです。以下、私の感想は無視してください。

第1楽章のティンパニ、第3楽章トリオの最後のクラリネットには即興演奏らしきものも加わり、如何にも受け狙いという印象。

二つ目のメンデルスゾーンのアリアは、作品94として知られる作品とは別物のようで、スコアを準備して(ペトルッチのサイトからダウンロードしたもの)聴いていましたが、構造や動機など似てはいるものの明らかに別の作品です。
何となくネットで検索してみると、どうやらメンデルスゾーンは同じテキストで二度作曲しているようで、今回演奏されたのは作品94として出版されているものとは異なるようです。それ以上のことは判りませんし、調べる気も起きませんでした。

後半の最初、モーツァルトのアリアはパイジェルロの歌劇「アンドロメダ」のために書かれた台本を歌詞にしたもので、レシタティーヴォからアレグロの主部へと進み、再び別のレシタティーヴォへと進行。続いてアンダンティーノのカヴァティーナに入り、最後はアレグロで終わるという手の込んだもので、モーツァルト第一級の傑作と聴きました。
古楽嫌いの私でもアリア2曲は感服。ローザ・フェオラというソプラノは彗星の様に現れた若手だそうで、グラインドボーンのフィガロ≪スザンナ≫でブレイクし、東京でも同じ役を歌った由。
ネットで調べた限りではスザンナは見当たりませんでしたが、N響定期でマーラーの第4交響曲を広上淳一と共演して評判になった方。私はN響は滅多に聴きませんが、既にフェオラの魅力を実際に味わった方が多いのでしょう。美声とテクニックに恵まれた、これから世界を席巻しそうなソプラノです。

最後のメンデルスゾーン第4に続いて、アンコールはモーツァルト「フィガロの結婚」序曲。超高速フィガロで、恐らく先日聴いたラザレフと良い勝負でしょう。古楽器である分、こちらに分があるかも。
コンサートの写真を見ると、ローラーという指揮者は若くてハンサム。演奏以上に人気があることは、会場の熱狂振りで想像が付きます。それにしても英国人は古楽器好きですね。ガーディナー、ピノック、ノリントン、ハーディングと英国出身の指揮者がこのジャンルのリーダーを務めてきました。もちろん日本でも大うけに受けること間違いナシ。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください