ソングバードにはジンクスも通用せず
７月２４日のアメリカはサラトガとデル・マー、それにモンマスでもＧ戦が夫々一鞍づつ行われています。
最初にサラトガ競馬場のコーチング・クラブ・アメリカン・オークス Coaching Club American Oaks (ＧⅠ、３歳牝、９ハロン)から行きましょう。かつてはベルモント春開催で行われていたレースで、これこそがアメリカ本来のオークスと呼べる一戦でした。当時は距離も英国と同じ１マイル半でしたっけ。ＢＣ設立によって大幅に性格が変化したＣＣＡオークス、１番人気が負けることでも知られ、「本命馬の墓場」という異称もあるほど。今年は fast の馬場に５頭立てでしたが、前走で復活したソングバード Songbird が１対５と圧倒的な１番人気。他の４頭は初めてソングバードと対戦する馬たちで、そこに逆転のチャンスがあるかも知れません。
例によってスタートからハナに立ったソングバード、これを２番人気(２対１)でエイコーン・ステークス(ＧⅠ)の覇者カリーナ・ミア Carina Mia が１馬身半程の差で追走。第３コーナーを過ぎた辺りでカリーナ・ミアが外から大本命に並び掛け、２頭が馬体を接するように直線。しかしカリーナ・ミアの抵抗はここまで、再びソングバードが相手を突き放しに掛かると、スタンドからは拍手の嵐。結局、無敗のチャンピオンはカリーナ・ミアに５馬身４分の１差を付けて圧勝しています。更に４馬身差で最低人気(６３対１)のフローラ・ドラ Flora Dora が４番手から追い込んでの３着。今年は「本命馬の墓場」というジンクスは通用しませんでした。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、マイク・スミス騎乗のソングバードに付いては改めて書くことも無いでしょう。９戦して無敗、ＧⅠ戦は５勝目となりました。この記録、何処まで伸びるかだけが話題と言えそうです。
モンマス・パーク競馬場からはボイリング・スプリングス・ステークス Boiling Springs S (芝ＧⅢ、３歳牝、９ハロン)。去年は９月５日に行われたレースですが、今年は１か月以上前倒しされています。firm の馬場に１頭が取り消して７頭立て。前走アローワンス戦に勝って２戦１勝と言う経験の浅いガリレオズ・ソング Galileo’s Song が８対５の１番人気。ヨーロッパでの目覚ましい活躍でガリレオ産駒が人気を集めたのでしょうか。
最低人気(５０対１)のウインター Winter が逃げましたが、５番手を追走したガリレオズ・ソングが外から伸びて一旦は先頭。しかしこれを内から掬うように追い込んだのが後方２番手で待機していた２番人気(９対５)のティン・タイプ・ギャル Tin Type Gal 、外の本命馬を首差捉えての差し切り勝ちです。２馬身４分の１差で４番手を進んでいた３番人気(３対１)のファーボウエン Verbouwen 。
グレアム・モーション厩舎、トレヴァー・マカーシー騎乗のティン・タイプ・ギャルは、去年９月のベルモントでミス・グリロ・ステークス(芝ＧⅢ)に勝っていた馬。今回はそれ以来の勝利でＧ戦２勝目となります。今期は前走ベルモントの一般ステークス(ワイルド・アプローズ・ステークス)５着から始動し、金曜日に登録していたレイク・ジョージ・ステークス(芝ＧⅡ)を回避しての勝利でした。目標は秋の芝コースＧⅠ戦でしょう。
最後はデル・マー競馬場のマラソン・レース、クーガーⅡ世・ハンデキャップ Cougar Ⅱ H (ＧⅢ、３歳上、１２ハロン)。当初６頭が登録していましたが、本命になる筈のクラーク・ハンデ(ＧⅠ)勝馬ホッパチュニティー Hoppertunity が熱発のため取り消し。他に１頭も取り消して fast の馬場に４頭立てと言う何とも寂しいメンバーになってしまいました。押し出されるように去年のサンタ・アニタ・ゴールド・カップ(ＧⅠ)の勝馬ハード・エイシズ Hard Aces が２対５の１番人気。
スタートから先手を奪ったハード・エイシズでしたが、最初のスタンド前では４頭が一団の競馬。向正面に向いても先頭を走っていたハード・エイシズでしたが、第３コーナーで２番手に付けていた２番人気(３対１)のクイック・カサブランカ Quick Casablanca が外から並び掛けて一旦は先頭を奪います。しかしここから巻き返した本命馬、２頭の叩き合いを半馬身制して結局は逃げ切り勝ちとなりました。２馬身４分の１差で最後方を進んだ３番人気(５対１)のセイヴィーズ・ロード Seve’s Road が３着。
ジョン・サドラー厩舎、サンティアゴ・ゴンザレス騎乗のハード・エイシズは、上記ゴールド・カップ以来の勝星ですが、その間は４戦してサンタ・アニタ・ハンデ２着、今年のサンタ・アニタ・ゴールド・カップ３着など、３度掲示板に載っていました。これで通算成績が３３戦７勝となる６歳牡馬です。
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