ペインの新曲とチェンのプロムス・デビュー

火曜日のプロムスは、この音楽祭には無くてはならない存在の指揮者・アンドリュー・デイヴィスが、かつて首席指揮者を務めていたBBC交響楽団を振るコンサートです。
今回も合唱を伴う作品が2曲、今年のプロムス「声」付き演奏会の連続記録更新と言った所。

7月26日 ≪Prom 15≫
チャイコフスキー/幻想曲「テンペスト」
アンソニー・ペイン Anthony Payne/大地、海、空について Of Land, Sea and Sky(BBC委嘱作品、世界初演)
     ~休憩~
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ヴォーン=ウイリアムズ/知られざる地方へ
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 指揮/サー・アンドリュー・デイヴィス Sir Andrew Davis
 ヴァイオリン/レイ・チェン Ray Chen
 合唱/BBCシンフォニー・コーラス BBC Symphony Chorus

冒頭のチャイコフスキーは、もちろんシェークスピア特集の一環です。

続いては英国を代表する作曲家、アンソニー・ペインのBBC委嘱作が世界初演されました。ペインは1936年8月2日生まれですから、あと1週間ほどで80歳を迎えます。
ペインと言えば、自身の作品よりエルガーの第3交響曲と威風堂々行進曲の第6番のオーケストレーションで有名でしょう。今回の新作は合唱と管弦楽による30分ほどの大作で、詞はペイン自身が書いたものだそうです。
テーマは自然と、フランス北部を流れてイギリス海峡に注ぐソム河を扱ったものの由。盛んに「馬」という単語が出てきます。ペインには「雨と風の交響曲」という作品もありますから、大自然をテーマにした作品が多いものと思われます。

後半は中国の若手ヴァイオリニスト、レイ・チェンのソロでブルッフの有名な協奏曲から。見事なテクニックで客席を沸かせ、アンコールはパガニーニのカプリスから第21番。

最後も合唱作品で、ヴォーン=ウイリアムズの知られざる傑作「知られざる地方へ」。ウォルト・ホイットマンの「草の葉」をテキストにしたもので、知られざる地方とは「あの世」、つまり死を意味します。
ヴォーン=ウイリアムズとホイットマンの「草の葉」と言えば「海の交響曲」を連想しますが、こちらは遥かにコンパクトな単一楽章の合唱作品です。
確かスコアは比較的最近ブージーから市販されたと思いますが、私は残念ながら入手していませんので、ブライトコプフのヴォーカル・スコア版をペトルッチでダウンロードして楽しみました。もし日本でナマ演奏を聴ける機会があるなら、フル・スコアを取り寄せる価値あり。

 

 

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