ガーディナーのロメオとジュリエットは異稿版?

ノリントン、ハイティンクと続いたプロムス、30日は古楽器系の巨匠サー・ジョン・エリオット・ガーディナーが得意のベルリオーズを披露しました。
もちろんシェークスピア没後400年に因んで劇的交響曲「ロメオとジュリエット」でしたが・・・。

7月30日 ≪Prom 20≫
ベルリオーズ/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」(フランス語歌唱)
 オルケストル・レヴォルシオネール・エ・ロマンティーク Orchestre Révolutionnaire et Romantique
 指揮/サー・ジョン・エリオット・ガーディナー Sir John Eliot Gardiner
 メゾ・ソプラノ/ジュリー・ブーリアンヌ Julie Boulianne
 テノール/ジャン=ポール・フシェクール Jean-Paul Fouchécourt
 バス/ローラン・ナウリ Laurent Naouri
 合唱/モンテヴェルディ・コール Monteverdi Choir 、スコットランド・ナショナル青年合唱団 National Youth Choir of Scotland

特に作品に付いては新しい発見もあるまい、とペータース版のスコアを手に聴き始めたのですが、最後の第4部に入って躓きます。
最初のマブ女王のスケルツォまでは問題なく進んできましたが、そのあとジュリエットの葬列に入る前に耳慣れない合唱ピースが・・・。やれやれ何時ものガーディナー御大、得意の異稿版を取り上げたのか、果て又最新研究の校訂版か?
そう言えば冒頭、司会進行のペニー・ゴア女史がオリヴァー・ナッセンのオーケストレーションによる云々と紹介してましたっけ。

例によって最新研究事情、CDリリースなどに疎い私は、多分ガーディナーのことだから何処かからスケッチなどを探し出してきて、ナッセン同僚にオーケストレーションを依頼したんでしょう、と勝手に解釈しました。この新規挿入部は5分ほど。
これに続いて演奏されたジュリエットの葬列も、最後のオケのみによる後奏の前に何小節かの加筆部が加えられていました。へぇ~、こんなのアリか!
これ以外は特にペータース版(何十年も前に買った古いポケット・スコアです)と変りは無く、演奏時間約1時間40分強で終了。普通のテンポで演奏すれば、この交響曲は1時間半チョイで終わるはずだから、やっぱり若干補強部分を追加していることが判りました。

そうそう、ガーディナーはこの曲を録音しているということを思い出し、NMLで探すとありましたね。で、こちらは演奏時間が2時間を超えてる。こりゃダメだと思いつつ再生してみると、これは従来版とは並びも違う代物。ガーディナーとしても様々なアプローチを試みているらしく、プロムスで演奏したのは折衷版でしょうか。
何とも狐に摘ままれたようなロメジュリでしたが、それにしても有名なオルケストル・レヴォルシオネール・エ・ロマンティークという団体、アンサンブルが酷過ぎませんか?
音盤で聴いている分にはピタリと合った合奏と、古楽器による新鮮な音色で「ベルリオーズに新たな世界を拓く」とか何とか宣伝できそうですが、ナマで聴く彼等はこんなものでしょうか?

レコードで聴いてビックリ、ナマで聴いてガッカリという事例はかつてスイス・ロマンド管で経験したことがありましたが、久し振りにギャップの大きさに驚いたプロムスではありました。
それでも大喝采で迎えるロンドンのクラシック好き、なんて優しいんでしょうか。

 

 

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