ダービー馬、秋へ動く
3日間連続でG戦が行われてきた夏のドーヴィル競馬場、昨日8月15日はその3日目で、G戦が3鞍行われました。GⅠ戦こそ無かったものの、仏ダービー馬2頭が揃って顔を見せ、マカヒキを応援にこの秋渡仏するファンには見逃せない一日でした。
安定して good の馬場で行われた3鞍、先ずリューレー賞 Prix de Lieurey (GⅢ、3歳牝、1600メートル)は仏1000ギニーと同じコース、同距離とあってクラシック組から4頭が参戦してきました。しかし4対1の1番人気に推されたシャルトルーズ Chartreuse はクラシック不参加の1頭、前走クロエ賞(GⅢ)の2着馬です。
レースは8番人気(143対10)のスラヴァ Surava が逃げ、シャルトルーズは2番手の内。前を捉えた本命馬に迫ったのは、後方3番手から追い込んだ2番人気(11対2)のトリクシア Trixia 。最後は2頭が並んでゴール板を通過しましたが、トリクシアがシャルトルーズをハナ差捉えていました。1馬身差でやはり後方から追い込んだ12番人気(239対10)の伏兵エイム・トゥー・プリーズ Aim to Please が3着。4頭出走していた仏1000ギニー参戦組では、クラシック10着のエイム・トゥー・プリーズが最先着でした。
アラン・ド・ロワイヤー=デュプレ厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗のトリクシアは、去年秋のドーヴィルでレゼルヴォアール賞(GⅢ)に勝って4戦無敗でしたが、今期は4月にグロット賞(GⅢ)で4着したあと休養。クラシックは無縁だった実力馬の復活です。秋の活躍が楽しみになりました。
続いてはギョーム・ドルナーノ賞 Prix Guillaume d’Ornano (GⅡ、3歳、2000メートル)。今年の仏ダービー1・2着馬を含む9頭が出走してきましたが、何故か23対10の1番人気に支持されたのはダービーには参戦しなかったアルトラ Ultra 。去年無敗でジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)を制し、今期は久々の前走ユージェーヌ・アダム賞(GⅡ)で復活の2着と好走した馬ですね。仏ダービーの2頭では、2着だったザラク Zarak が29対10の2番人気で上回り、勝ったアルマンザー Almanzor は3対1の3番人気と評価を落としています。
英国から参戦した3頭のうちの1頭で5番人気(8対1)のロイヤル・アーティラリー Royal Artillery が逃げましたが、中団で待機したザラクが残り300メートルで先頭。そのまま押し切るかに見えましたが、後方に控えていたアルマンザーが持ち前の瞬発力を爆発させ、残り75ヤードで抜け出すと、ザラクに1馬身差を付けてダービー馬の実力を見せ付けました。1馬身4分の1差でロイヤル・アーティラリーが3着に粘り、最後方を進んだアルトラは6着がやっと。終わって見れば仏ダービーと同じ着順で、着差はダービーで1馬身半差だったものが1馬身に縮まっただけでした。
アルマンザーは言うまでもなく今年のクラシックを総なめした感のあるジャン=クロード・ルジェ師の管理馬で、仏ダービーと同じジャン=ベルナール・アイケム騎乗。これまでアルマンザーはアイケム騎手とスミオン騎手とが交互に乗り替わってきましたが、ヴェテランのアイケムが連続で騎乗したのは今回が初めてでした。(スミオンはザラクに騎乗)
順当に秋へ始動したアルマンザー、凱旋門賞のオッズはレース前の16対1から8対1(コラル)、あるいは10対1(スカイベット)に上昇。尤もルジェ師は次走に愛チャンピオン・ステークスを予定しており、凱旋門賞はその結果を見て判断したい、と慎重です。切れ味のある瞬発力、血統などを考え、アスコットのチャンピオン・ステークスと凱旋門賞の間で判断が揺れるでしょう。
月曜日最後のG戦は、ギョーム・ドルナーノ賞と同じ条件による古馬のゴントー=ビロン賞 Prix Gontaut-Biron (GⅢ、4歳上、2000メートル)。こちらは5頭立てと小頭数でしたが、去年の仏ダービー馬ニュー・ベイ New Bay が登場し、3対10と圧倒的な1番人気。今シーズン初めにエクスバリー賞(GⅢ)とダルクール賞(GⅡ)に連勝したガーリンガリ Garlingari が唯一の相手と見られ、18対5の2番人気で続きます。
スタートは抜群だったニュー・ベイでしたが、英国から参戦した3番人気(106対10)でハンディキャップ・クラスのアルテナス Arthenus にハナを譲って2~3番手に控えます。後方に待機したガーリンガリを待つようにスパートした大本命、最後はアルテナスを1馬身半捉えて人気に応えて快勝。ガーリンガリは追い込むも更に1馬身4分の1差届かず3着でした。
アンドレ・ファーブル厩舎、ヴィンセント・シャミノー騎乗のニュー・ベイは、去年仏ダービーに勝ったあとこの日のカードでもあるギョーム・ドルナーノ賞、ニエル賞と連勝を重ね、凱旋門賞は3着。今期初戦のイスパハン賞(GⅠ)ではエイシンヒカリに千切られて6着と期待を裏切りましたが、あれは不良馬場と休養明けと言う不利が重なったものと見て良いでしょう。順当に凱旋門賞での雪辱を目指します。しかし2着が格下だったということもあってか、オッズはレース前と変わらず16対1に据え置かれました。
前年と今年の仏ダービーが揃って秋に向け始動しましたが、2頭とも順調な様子。ニュー・ベイはフォア賞から本番という路線でしょうが、アルマンザーは上記の様に別ルートで、ニエル賞には向かわないでしょう。マカヒキがニエル賞を使うのか否かは聞いていませんが、いずれにしても有力候補たちが出揃ってきました。
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