2016ヨーク・イボア開催3日目
ヨーク競馬場のイボア・フェスティヴァルも3日目。この日は新たにG戦に格上げされたレースも含めて3鞍のG戦が行われました。馬場は前日までと同じ good to firm で始まりましたが、レースが開始される頃から雨が降り始め、good にまで軟化。これが結果にも微妙に影響したようです。
この日最初のG戦、ロンスデール・カップ Lonsdale Cup (GⅡ、3歳上、2マイル88ヤード)は good to firm の発表下で行われ、7頭立て。去年のアスコット・ゴールド・カップ勝馬で、ジャパン・カップにも参戦(14着)したトリップ・トゥー・パリ Trip to Paris が10対3の1番人気。
4番人気(9対2)のクエスト・フォー・モア Quest For More が逃げ、トリップ・トゥー・パリは3番手追走。2番手を進んだ2番人気(7対2)のパラセイター Pallasator が残り1ハロンで逃げ馬に並び掛けましたが、ペースが絶妙だったか、クエスト・フォー・モアが二の足を使って再び加速すると、追い縋るパラセイターに3馬身半差を付ける堂々の逃げ切り勝ち。6番手から伸びた5番人気(6対1)のウィックロウ・ブレイヴ Wicklow Brave が首差で3着に入り、トリップ・トゥー・パリは更に3馬身4分の1差の4着に終わりました。
ロジャー・チャールトン厩舎、ジョージ・ベイカー騎乗のクエスト・フォー・モアは、これがG戦初勝利となる6歳せん馬。去年ニューカッスルで伝統のハンデ戦ノーザンバーランド・プレート(16ハロン)に勝ち、グッドウッド・カップは2着、メルボルン・カップにも遠征して9着に入っていました。今期はヨークのリステッド戦で2・3着となり、馬場が重過ぎたアスコット・ゴールド・カップを回避し、前年2着のグッドウッド・カップは6着。今回は得意の馬場での快勝です。今年もメルボルン・カップ遠征があるのでしょうか。
続いてはシティー・オブ・ヨーク・ステークス City of York S (GⅢ、3歳上、7ハロン)。前年まではリステッド戦として行われてきましたが、今年からGⅢに格上げされました。私が調べた限りでは1978年創設、2008年は施行されていませんから、今年が38回目に当たると思われます。1頭が取り消して10頭立て、このレースから馬場は good に軟化しました。ここ2戦続けてGⅠ戦に出走している3歳牝馬のネモラリア Nemoralia が15対8の1番人気。
7番人気(14対1)のバーチウッド Birchwood が逃げましたが、前半は後方で待機したネモラリアが2ハロン地点で内を衝き、残り1ハロンで先頭に立つと、中団から伸びる4番人気(11対2)のソー・ビラヴド So Beloved に1馬身4分の3差を付けて期待に応えました。半馬身差で5番手から伸びた6番人気(14対1)のジャロータ Jallota が3着。
勝ったネモラリアはジェレミー・ノセダ厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗。去年2歳時にBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフに挑戦して3着と健闘しており、今期は同じヨークのリステッド戦に勝ち、コロネーション・ステークス2着、ジャン・プラ賞4着とGⅠ戦でも通用することを証明してきました。記念すべき第1回GⅢ戦に勝ったのも当然と言えるでしょう。
このあとはドンカスターのパーク・ステークスに出走予定で、秋・冬のアメリカ遠征も視野に入っています。
3日目最後のG戦は、2歳馬にも出走権がある短距離のGⅠ戦、ナンソープ・ステークス Nunthorpe S (GⅠ、2歳上、5ハロン)。1頭が取り消しても19頭立てと言う多頭数。2歳馬は2頭が参戦してきましたが、15対8の1番人気に支持されたのは4歳馬のリマート Limato 。前走ニューマーケットのジュライ・ステークス(GⅠ)勝馬です。
10番人気(25対1)のテイク・カヴァー Take Cover が逃げ、これを先行していた2番人気(9対2)のメッカズ・エンジェル Mecca’s Angel が1ハロンから交わして先頭に立ち、そのまま逃げ切り勝ち。リマートも先行から残り1ハロンで2番手まで上がるも、前を捉えにかかるも2馬身及ばず2着。更に2馬身差でテイク・カヴァーが3着に粘っていました。
メッカズ・エンジェルは去年に続いて2連覇。マイケル・ダッズ厩舎、ポール・マルレナン騎手ももちろん2連覇達成でしたが、ダッズ師は何時雨が降り出すかで夜も眠れなかった由。馬場が固過ぎても、重過ぎてもダメという同馬にとっては理想的なコンディションになりました。幸運を味方につけての2連覇です。
93年のナンソープ史で、2連覇はメッカズ・エンジェルが7頭目。古い記録を繙けば、1926年と27年のハイボーン2世 Highborn Ⅱ を筆頭に、1942・43年のリンクレイター Linklater 、1949・50年は高名なアバーナント Abernant 、続く1951・52年にはロイヤル・セレナード Royal Serenade が連覇し、更に1958年と59年にライト・ボーイ Right Boy 、2008年と2009年にボーダーレスコット Borderlescott が偉業を達成してきました。牝馬としてはメッカズ・エンジェルが初となります。
しかしナンソープには3連覇した馬が2頭あり、1928年から1930年までタグ・エンド Tag End が、1980年から1982年までは懐かしいシャーポ Sharpo が達成(何れも牡馬)したことは記憶に新しいところです。来年、今年5歳牝馬のメッカズ・エンジェルは3頭目の3連覇を目指すことになりますが・・・。
最近のコメント