来年のクラシック候補続々

8月第3週の週末はカラー競馬場で秋に向けた重要なG戦が纏めて行われますが、昨日の日曜日にも夫々のGⅠ戦に向けたトライアル戦が3鞍行われています。馬場は yielding to soft と重く、愈々秋らしいコースになってきました。

先ずフューチュリティー・ステークス Futurity S (GⅡ、2歳、7ハロン)は秋のGⅠナショナル・ステークスへのトライアルに当たる2歳G戦で、2歳チャンピオンというより来年のクラシック候補を見つけるレースでもあります。
1頭が取り消して4頭立てという寂しいメンバーになりましたが、レースの目的としては見応え十分だったと言えそうです。父エイダン、息子ジョセフの管理馬が3頭を占める中、1対4の断然1番人気に指示されたチャーチル Churchill は、前走タイロス・ステークス(GⅢ)に勝って既にクラシック候補筆頭に上がっている1頭。ここでの勝ち方に注目と行った所でしょう。

ジョセフ・オブライエン厩舎の3番人気(12対1)アルカーダ Arcada がペースを作り、チャーチルは3番手。鞍上シーマス・ヘファーナンのゴーサインに応えて進出を開始したチャーチル、最後方から追い上げるボルジャー厩舎の2番人気(5対1)ラジオ・サイレンス Radio Silence に2馬身差を付けての楽勝でした。4分の3馬身差でアルカーダが3着。ここは未だトライアルの段階ですから、まぁこんなもんでしょう。
デビュー戦こそ3着だったチャーチルはこれで3連勝。目下の所ダービーの本命馬と目されていますが、オブライエン師は“ギニー・タイプだ”と断言しています。更に“未だ馬自身は寝ている状態で、馬場は今日より良い方が適している”とも。寝ていてもこの楽勝ですから、目覚めればどれ程かとも思いますが、タイプだという2000ギニーのオッズは7対1で、現時点では1番人気となっています。

続いては、愛チャンピオン・ステークスの前哨戦と位置づけられるロイヤル・ホイップ・ステークス Royal Whip S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)。7頭が出走し、去年の英チャンピオン・ステークスと今年のトトソルズ・ゴールド・カップを制しているウェルド厩舎のファシネイティング・ロック Fascinating Rock と、今年のダービー2着以来の休養明けとなるオブライエン厩舎のユーエス・アーミー・レンジャー Us Army Ranger との一騎打ちという様相。
今年の3歳馬はレヴェルが高いということで、ユーエス・アーミー・レンジャーがイーヴンの1番人気、ファシネイティング・ロックは2対1の2番人気で続きます。当初オブライエン厩舎は去年の勝馬ファウンド Found を登録していましたが、結局は4日前のヨークシャー・オークス(2着)からの連闘は避けたようです。

レースは4番人気(10対1)のサクセス・デイズ Success Days が逃げ、ファシネイティング・ロックは2番手を、ユーエス・アーミー・レンジャーは最後方から徐々に進出する構え。しかし2強対決は次第に雲行きが怪しくなり、何とサクセス・デイズの逃げ切り勝ち。ファシネイティング・ロックも前を追い詰めましたが、結局4分の3馬身届きませんでした。2馬身半差で3着に食い込んだのは、3番手を追走していたボルジャー厩舎の5番人気(14対1)ムーンライト・マジック Moonlight Magic で、典型的な行った行ったの競馬になっています。ユーエス・アーミー・レンジャーは4着止まり。
勝ったサクセス・デイズはケン・コンドン厩舎、シェーン・フォリー騎乗の4歳馬で、去年はG戦に2連勝して英ダービーに挑戦(12頭立て12着)していた陣営のエース。今期はカラーのリステッド戦2着、ムーアズブリッジ・ステークス(GⅢ)2着、そして前走トトソルズ・ゴールド・カップ(GⅠ)3着を経てシーズン初勝利。ファシネイティング・ロックに雪辱を果たした形ですが、明らかに馬が成長していると言えそうです。元々重馬場を得意とするタイプで、愛チャンピオン・ステークスが目標。結果次第ではアスコットのチャンピオン・ステークス参戦もありそうです。
4着に終わったユーエス・アーミー・レンジャーですが、オブライエン師はその走りに大いに満足した様子。何と言ってもダービー以来の競馬ですし、ここは未だ調整段階。4着とは言え後方から上がって行った脚は流石で、状態が整えば愛チャンピオンの有力候補であることには間違いありません。

最後は、2歳牝馬によるデビュタント・ステークス Debutant S (GⅡ、2歳牝、7ハロン)。当然ながらモイグレア・スタッド・ステークス(GⅠ)へのステップ・レースでもあります。ここは9頭と頭数が揃い、やはりエイダン・オブライエン厩舎の馬が人気。3頭を出走させてきましたが、1番人気はロイヤル・アスコットでアルバニー・ステークス(GⅢ)を制したブレイヴ・アンナ Brave Anna ではなく、前走グッドウッドで初勝利を挙げたばかりのロードデンドロン Rhododendron という新星。未勝利戦勝ちの内容に余程の成長力が見出されたのでしょう。
最低人気(50対1)のオー・グレイス Oh Grace が逃げましたが、3ハロン地点からはオブライエン厩舎の4番人気(10対1)ハイドランジア Hydrangea (紫陽花の学名)が替って先頭。ここに襲い掛かったのが中団の外で待機し、残り1ハロンで末脚を爆発させたロードデンドロン。ハイドランジアを頭差捉えてオブライエン師のワン・ツー・フィニッシュです。1馬身4分の1差の3着には、先行していたジョセフ・オブライエン厩舎、弟ドンナチャ・オブライエンが騎乗する5番人気(14対1)のイントリケイトリー Intricately が食い込み、正にオブライエン軍団独占のデビュタントとなりました。

エイダン・オブライエン師はこのレース11勝目。人気に応えて勝ったロードデンドロンは、カラーの7ハロン戦でデビューして2着。2走目にグローリアス・グッドウッドに遠征して7ハロンで初勝利を挙げ、これで3戦2勝となります。当然ながらモイグレア・スタッドでGⅠ制覇を目指しますが、またもやガリレオ Galileo の娘と言うことで、来年のクラシックを見据えた1頭であることは間違いありません。
ところで馬名のロードデンドロンとは石楠花(シャクナゲ)の学名で、2着のハイドランジアも植物の学名を馬名にしたもの。今回は石楠花が紫陽花を頭差で制したことになります。来年のクラシックは植物の勉強が必要ですよ。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください